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ローリンウルドの話

現実は厳しい...

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メイアーナと私と、メイアーナの監視要員という表向きの理由だけど実はメイアーナを守るための護衛達を引き連れてルルーシュ伯爵家に向かう。

...悲しかったな。

馬車を降りて、メイアーナに手を差し出したのに...無視された上にメイドに抱きつきに行ったのだから。

その後、執事にも抱きついていたのを見たときは思わず嫉妬してしまった。

ずるい。

私にもメイアーナが抱きつきに来てほしい。

いや、私がメイアーナを抱き締めたい。

ぎゅうぎゅうに抱き締めて、私がどれだけメイアーナを想っているか教えてあげたい。

苦しいって言われても、少し緩めるだけでずっと抱き締めていたい。

...ああ、現実は厳しい。


応接室に移動している最中にメイアーナに当主はいるかどうか聞いたが、領地に逃げたから居ないと言われた。

...逃げた、か。

ルルーシュ伯爵家のことを考えると、この婚約で何かしら察したのだろう。

そういえば父上と母上が何か企んでいたっぽいが、ルルーシュ伯爵達が逃げたから悔しそうにしていたのを思い出した。

平和に過ごしたいなら、そりゃ逃げるよな...。


応接室につき、メイアーナが着替えて戻ってくるまでにメイドがお茶を入れてくれたので飲んで落ち着く。

...内心は私服のメイアーナが楽しみで仕方ない。

お茶を飲んだが、あまり効果は無かったようだ。


メイアーナが着替えて戻ってきた。

正直に言おう。

可愛い。


真顔になってしまうぐらい可愛い。

私の心の中でスタンディングオベーションが起こっている。

拍手喝采だ。


メイアーナが座って、ミルクティーを飲んで上機嫌になっている。

可愛い。


隣の護衛の一人に見えない所でつつかれて正気を取り戻す。

とりあえず、困惑している顔を作りメイアーナに問い掛けた。

キョトンとした顔のメイアーナが可愛い。


だが、メイアーナが続けて言った言葉にショックを受けた。

領地でのんびり生活したかった、強制的に婚約...。

ショックを受けて呆然となっていた時に、護衛達がメイアーナは私のことをどう思っているか聞いてしまった。

せめてほんの少しでも...となけなしの希望を持って、メイアーナが答えてくれるのを待つ。

だが、結果は散々だった。

不敬罪になる可能性があるほど印象は最悪なのだと。

頭が真っ白になった。


メイアーナが眠そうにしながらメイドに手を引かれて退室していくのを呆然と見送る。

まさかそんなに酷いとは思わなかった。

努力が足りなかったのか?

もっと想いを伝えた方がいいのか?

確かに王家が悪かったが、謝罪は受けてくれるだろうか?

...許す代わりに婚約解消してくれと言われたら、私は泣くかもしれない。

護衛達を滞在させる説明をするのに来ただけだったが...メイアーナを振り向かせる為に私も滞在することにしよう。

これから頑張るしかない。

...でも、その前に執事にきちんと説明しないとな。
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