上 下
9 / 12
ローリンウルドの話

裏側では

しおりを挟む
メイアーナを信じ、シルクという令嬢のことは関わらないようにしてきた。

だが、そんな私の態度を見てシルクの幼馴染である側近の一人が我慢出来なかったようだ。

彼はシルクのことが大切だから尚更なのだろう。

彼は私の婚約者が問題を起こしているのだから、私が婚約者を諌めなければいけないのだと言ってきた。

だから、言い返したのだ。

そんなに言うならメイアーナが虐めているという確固とした証拠を見せろと。

そもそも虐めているというなら、噂になっているはずだと。

メイアーナは王子妃で将来は王妃となる存在なのだから常に注目されているのは仕方ないことであり、それこそ虐めているなら王子妃として相応しくないと噂になるはずだと。

もし...虐めていないにも関わらずにメイアーナを糾弾し、評判等を落とすつもりなら覚悟するようにと。


彼は納得していなかったが、一時は収まった。

だが、私が見ていない時にシルクという令嬢が彼に色々と言っていたらしい。

制服を一部切られた、教科書をぐちゃぐちゃにされた、筆記用具を高いところに置かれて取るのに苦労した等。

シルクはローリンウルド様に話し掛けていたり近づいているのが原因で、自分が悪いのだと泣いていたらしい。

...原因が分かっているなら何故解決しようとしないのだろうか?

そこが不思議でならない。


ただ、もし...もしもメイアーナが私に女性が近づいているという理由で虐めているのなら...正直嬉しい。

嫉妬しているほど私のことを好いてくれているってことだろう?

そんなこと...嬉しくって心踊ることはないじゃないか!

もしそんな理由で虐めているのなら、嫉妬する暇がないぐらい溺愛したいと思うのに...。


と、話を戻して...シルクが彼に色々言っていたからか、彼は流石に我慢出来なくなったようだ。

申し訳ないという顔をしているが、目がギラついている。

...彼もこれで現実を見れるようになるといいが。

という軽い気持ちで、メイアーナにシルクという令嬢を虐めているか聞いたら...メイアーナ自身が自分を監視しろと言い出して焦った。

私が焦っている間にメイアーナは周りへ声掛けも始めてしまい、取り返しがつかなくなってしまった。

だが、これはこれで良い状況かもしれない。

抵抗している彼をメイアーナの監視要員として無理矢理引き込んで、別の私の側近の一人にシルクを任せた。

別の側近の一人は真面目で厳しいから、色々と任せられるだろう。

それに、シルクの側には頼んだことをきちんとやってくれる者ばかり置いた。

護衛も監視も証拠も...君達、頼んだよ?


私がシルクのほうに行くはずがないのにも関わらずに、シルクは私が護衛してくれるのではと期待していたようだ。

ショックを受けた顔をしている。

私が大切にしたいのも、大事にしたいのもメイアーナだけなのだから...それこそあり得ないだろう?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は天然

西楓
恋愛
死んだと思ったら乙女ゲームの悪役令嬢に転生⁉︎転生したがゲームの存在を知らず天然に振る舞う悪役令嬢に対し、ゲームだと知っているヒロインは…

悪役令嬢ですが、どうやらずっと好きだったみたいです

朝顔
恋愛
リナリアは前世の記憶を思い出して、頭を悩ませた。 この世界が自分の遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気がついたのだ。 そして、自分はどうやら主人公をいじめて、嫉妬に狂って殺そうとまでする悪役令嬢に転生してしまった。 せっかく生まれ変わった人生で断罪されるなんて絶対嫌。 どうにかして攻略対象である王子から逃げたいけど、なぜだか懐つかれてしまって……。 悪役令嬢の王道?の話を書いてみたくてチャレンジしました。 ざまぁはなく、溺愛甘々なお話です。 なろうにも同時投稿

シナリオではヒロインと第一王子が引っ付くことになっているので、脇役の私はーー。

ちょこ
恋愛
婚約者はヒロインさんであるアリスを溺愛しているようです。 そもそもなぜゲームの悪役令嬢である私を婚約破棄したかというと、その原因はヒロインさんにあるようです。 詳しくは知りませんが、殿下たちの会話を盗み聞きした結果、そのように解釈できました。 では私がヒロインさんへ嫌がらせをしなければいいのではないでしょうか? ですが、彼女は事あるごとに私に噛みついてきています。 出会いがしらに「ちょっと顔がいいからって調子に乗るな」と怒鳴ったり、私への悪口を書いた紙をばら撒いていたりします。 当然ながらすべて回収、処分しております。 しかも彼女は自分が嫌がらせを受けていると吹聴して回っているようで、私への悪評はとどまるところを知りません。 まったく……困ったものですわ。 「アリス様っ」 私が登校していると、ヒロインさんが駆け寄ってきます。 「おはようございます」と私は挨拶をしましたが、彼女は私に恨みがましい視線を向けます。 「何の用ですか?」 「あんたって本当に性格悪いのね」 「意味が分かりませんわ」 何を根拠に私が性格が悪いと言っているのでしょうか。 「あんた、殿下たちに色目を使っているって本当なの?」 「色目も何も、私は王太子妃を目指しています。王太子殿下と親しくなるのは当然のことですわ」 「そんなものは愛じゃないわ! 男の愛っていうのはね、もっと情熱的なものなのよ!」 彼女の言葉に対して私は心の底から思います。 ……何を言っているのでしょう? 「それはあなたの妄想でしょう?」 「違うわ! 本当はあんただって分かっているんでしょ!? 好きな人に振り向いて欲しくて意地悪をする。それが女の子なの! それを愛っていうのよ!」 「違いますわ」 「っ……!」 私は彼女を見つめます。 「あなたは人を愛するという言葉の意味をはき違えていますわ」 「……違うもん……あたしは間違ってないもん……」 ヒロインさんは涙を流し、走り去っていきました。 まったく……面倒な人だこと。 そんな面倒な人とは反対に、もう一人の攻略対象であるフレッド殿下は私にとても優しくしてくれます。 今日も学園への通学路を歩いていると、フレッド殿下が私を見つけて駆け寄ってきます。 「おはようアリス」 「おはようございます殿下」 フレッド殿下は私に手を伸ばします。 「学園までエスコートするよ」 「ありがとうございますわ」 私は彼の手を取り歩き出します。 こんな普通の女の子の日常を疑似体験できるなんて夢にも思いませんでしたわ。 このままずっと続けばいいのですが……どうやらそうはいかないみたいですわ。 私はある女子生徒を見ました。 彼女は私と目が合うと、逃げるように走り去ってしまいました。

他には何もいらない

ウリ坊
恋愛
   乙女ゲームの世界に転生した。  悪役令嬢のナタリア。    攻略対象のロイスに、昔から淡い恋心を抱いている。  ある日前世の記憶が戻り、自分が転生して悪役令嬢だと知り、ショックを受ける。    だが、記憶が戻っても、ロイスに対する恋心を捨てきれなかった。

【改稿版】婚約破棄は私から

どくりんご
恋愛
 ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。  乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!  婚約破棄は私から! ※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。 ◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位 ◆3/20 HOT6位  短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)

悪役令嬢の幸せは新月の晩に

シアノ
恋愛
前世に育児放棄の虐待を受けていた記憶を持つ公爵令嬢エレノア。 その名前も世界も、前世に読んだ古い少女漫画と酷似しており、エレノアの立ち位置はヒロインを虐める悪役令嬢のはずであった。 しかし実際には、今世でも彼女はいてもいなくても変わらない、と家族から空気のような扱いを受けている。 幸せを知らないから不幸であるとも気が付かないエレノアは、かつて助けた吸血鬼の少年ルカーシュと新月の晩に言葉を交わすことだけが彼女の生き甲斐であった。 しかしそんな穏やかな日々も長く続くはずもなく……。 吸血鬼×ドアマット系ヒロインの話です。 最後にはハッピーエンドの予定ですが、ヒロインが辛い描写が多いかと思われます。 ルカーシュは子供なのは最初だけですぐに成長します。

悪役令嬢になる前に、王子と婚約解消するはずが!

餡子
恋愛
恋愛小説の世界に悪役令嬢として転生してしまい、ヒーローである第五王子の婚約者になってしまった。 なんとかして円満に婚約解消するはずが、解消出来ないまま明日から物語が始まってしまいそう! このままじゃ悪役令嬢まっしぐら!?

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

処理中です...