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※第一王子の初恋

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彼女は他と違って見えた。

思わず目が追いかけてしまうほど魅力的だった。

まだ彼女は5歳。

僕の3つ下だと思わないほど落ち着いていて、美しかった。


今日の王家主催のパーティーは僕の...第一王子であるクリストル・ロ・ディーナの婚約者選びの場も兼ねている。

だからこそ僕は思った。

【彼女しかいない】

衝動に赴くまま、父上に...陛下に彼女が良いと言った。

「クロッサム公爵令嬢か。私も、身分や才能等考えた上で良いと思ってお前の婚約者候補にしてたんだが...
最近、辞退されたぞ。
もう既に夫がいるから婚約者等いらない。政略結婚の駒になれなくって申し訳ない...
と言われたんだそうだ。初恋は叶わないものだな。」

父上にそう言われても納得は出来なかった。


彼女の方を見ると、彼女は舞台に上がり、いままさに魔法を披露する場面だった。

魔法は呪文をただ唱えれば良いだけだと思ってた。

だが、彼女は天使の歌声で歌い出したのだ。

歌ってる彼女はとても神秘的で美しかった。

見たことがない文字の呪文が彼女の下から現れ、くるくると彼女を包み込み、彼女の頭上で弾け、光をキラキラさせながら降り注いでいる。

いままで見たことがない綺麗な魔法だった。


光が段々形を作り、歌が終わった直後に光が弾け、人の形になった精霊達が彼女を慈しむように見ていた。

その中の男性が彼女を抱き上げ、なにかを囁くと彼女が泣きながら幸せそうに、恥ずかしそうに、表情を変え、恋する乙女の如く男性を見ていた。


「ほう...あれがもしや夫か?今日紹介出来るって話だったしな。しかもあの感じは精霊王か。
あの年齢で、しかも複数の精霊王達を呼び出せるとは...ただでさえ精霊と契約出来る者が少ないのに...国でぜひ保護しなくては。
国に絶対ほしい人材だが...公爵と話してみるか。」

父上がなにか言ってるかわからなかった。

それだけ彼女に魅了されていた。
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