7 / 7
第7話 魔王も嫌がるサクーシャの呪い
しおりを挟む
舞台は魔王城の応接室。部屋全体が黒っぽい中で、青白い炎が全体を明るく照らしている。魔界の空気に未だ慣れないディレクタは、目の前に足を組んで座る魔王ベルゼブブの無言の圧に耐え切れず恐る恐る口を開く。
「やっぱりこの城豪華ですよね、維持費とか……」
「間繋ぎの会話なぞ不要だ」
「あ、はい」
ベルゼブブは、とてつもなく怒っていた。近くで控えている幹部や秘書も漏れなく震えあがっている。ディレクタとベルゼブブは既に面識がある仲なのだが、そんなディレクタも戸惑いを隠せないでいる。
彼女は一体何に怒っているのか。台本の内容に不満があるとか、異世界から来た主人公に自分がやられてしまうシナリオになっているから等ではない。彼女の怒りはもう少し根本の箇所にあった。
「ディレクタよ」
「……はい」
「これ、何度目じゃ?」
「えっ……、と」
冷や汗を垂らすディレクタは気まずさに口が乾きまくっている。怒りを抑えきれなくなったベルゼブブは、バンッとテーブルに右の拳を叩きつけて叫んだ。
「我の出番が来る手前で打ち切りになり、別設定で最初からやり直しになるのはこれで何度目だと聞いておるのじゃ!!!」
「は、八度目ですぅっ!!」
なんとこの打ち合わせ自体が八回目だった。その理由はサクーシャが毎回、台本作成を最後まで終えられない事にある。良い転生を考え付いた、と産み出しても途中で飽きて投げ出してしまうのである。
サクーシャの世界で言うところの、『打ち切り』或いは『エタる』である。
魔王ベルゼブブという名前を序盤で出しても、転生者が実際に魔王の所へたどり着く事無く台本が終わってしまう。彼女はこれをもう七度もやられて怒り心頭だった。
「サクーシャの奴が『次こそは強いやつと戦わせてあげるから』と言いながら毎回毎回毎回やる気が続かぬなどと言うふざけた理由で打ち切りにしおってからに……出番詐欺の連続に我もそろそろ我慢の限界じゃぞ!」
「ひえぇ……、申し訳ありません……」
「ふぅ……。すまんな、ディレクタよ。お主が悪いわけでは無いと言うのに」
「いえ、お気持ちはお察ししておりますから……」
いつもなら私に言われても、というスタンスのディレクタなのだが、ベルゼブブの怒濤の怒りと内容の哀れさに思わず罪悪感を抱いた。勢いが落ち着いたベルゼブブは、ディレクタに本音を漏らす。
「我は本当に楽しみにしておるのじゃ。異世界から来たチート級の猛者と戦う事をな」
「……はい。何度も仰られておりますね」
「ああ、我に対抗できる生命体が現時点でこの世界におらぬからの。正直、退屈なのじゃ。早く血湧き肉踊る戦いがしたいぞ……」
「改めて、サクーシャ様に念を押しておきます」
「頼むぞディレクタよ。何故かサクーシャ自身は我と直接会う気が無いようじゃからな」
まあ怖いからだろうなぁ、とサクーシャの心理を察するディレクタは曖昧に頷いた。
「では、この流れでお願い致します。今度こそは転生者がここまでたどり着いて欲しいものですね」
「うむ。……ところで、ディレクタよ」
「何でしょうか?」
「お主は何故その仕事を続けておるのじゃ?」
「何故、ですか……」
これまでディレクタはサクーシャの指示で登場人物達に話をつけて台本を手渡してきた。これから起こる未来を無粋にも伝えてしまうその役目は、人々からかなり疎まれていると言えるだろう。
しかしディレクタはこの仕事を辞めようとは考えていなかった。そこには、彼なりの理由があるのだった。ディレクタは少し考えてからポツポツと語り始めた。
「最初は、気づいたらサクーシャ様の下に居たから、何となく指示に従っていただけでした。けれど、この仕事をやってみている内に感じたんです。……異世界転生とは、本人の力だけじゃ上手くいかないものなんだと」
「ほう」
「これまでの常識が一切通じず、仲間もいない中で見知らぬ世界に放り出されるケースもあります。登場人物たちの協力が無ければ、何も出来ずに死んでしまうのが現実的なオチじゃないですか」
「確かに例えいくらふざけた能力を持っていたとしても、自覚していない状態で我の前に現れたら一ひねりじゃな」
「そういう事です。それなりのお膳立てやお節介は、必要な事なのだと私は思っています」
ディレクタはディレクタなりのやり方で転生者の手助けをする。そこに彼はやりがいを感じていた。誰かに褒められなくとも、会った人たちに嫌われようともやり遂げる、そう決心していたのである。ベルゼブブは、そんな彼の強い意思を気に入っていた。
「だから、どんなに無粋だと言われても私はこの仕事を続けます。……給料もいいですし」
「最後の一言が無ければ良い話で終わったんじゃがのぉ……。お主が嫌われがちなのは仕事柄だけじゃないと思うぞ?」
「あはは、まさかぁ」
「ほれ、そういう所じゃ」
二人は無邪気に笑い合う。人と会うたびに嫌われていくディレクタだが、時々ベルゼブブの様に受け入れてくれる相手もいる。それが彼にとっては大事な癒しとなっている。
「全く……。もしもお主がサクーシャに愛想が尽きたら、我の配下にでもなるがよい。それなりの役割を与えてやると約束しよう」
「……! それじゃあ、次の台本が打ち切りになったらそうさせて貰いましょうかね」
「はっはっは! それは良い考えじゃ! サクーシャにそう伝えておくがよい!」
「ありがとうございます。……では、仕事に戻りますね」
「ああ、息災でな」
ディレクタは立ち上がり、次の現場へと向かう。彼の仕事は、世の創作が続く限り無くならないのだろう。
「あ、次回は幼女系の魔王で行くそうなので姿と口調を変えておいて貰えると……」
「だからお主はいい加減に、余計な一言を言う癖を直さんかぁーっ!」
彼の悪い癖は、当分治りそうになかった。
それから台本通りに転生者が現れて、天から与えられた能力を発揮して順調に事を進めていった。ベルゼブブは今か今かと彼が自分の下へと辿り着く事を楽しみにしている。
……魔王ベルゼブブが転生者と戦える日が来るのを信じて。ご愛読ありがとうございました!
「おいサクーシャ!! また打ち切る気満々では無いかーっ!?」
「やれやれ……、これは転職決定ですかね……?」
「やっぱりこの城豪華ですよね、維持費とか……」
「間繋ぎの会話なぞ不要だ」
「あ、はい」
ベルゼブブは、とてつもなく怒っていた。近くで控えている幹部や秘書も漏れなく震えあがっている。ディレクタとベルゼブブは既に面識がある仲なのだが、そんなディレクタも戸惑いを隠せないでいる。
彼女は一体何に怒っているのか。台本の内容に不満があるとか、異世界から来た主人公に自分がやられてしまうシナリオになっているから等ではない。彼女の怒りはもう少し根本の箇所にあった。
「ディレクタよ」
「……はい」
「これ、何度目じゃ?」
「えっ……、と」
冷や汗を垂らすディレクタは気まずさに口が乾きまくっている。怒りを抑えきれなくなったベルゼブブは、バンッとテーブルに右の拳を叩きつけて叫んだ。
「我の出番が来る手前で打ち切りになり、別設定で最初からやり直しになるのはこれで何度目だと聞いておるのじゃ!!!」
「は、八度目ですぅっ!!」
なんとこの打ち合わせ自体が八回目だった。その理由はサクーシャが毎回、台本作成を最後まで終えられない事にある。良い転生を考え付いた、と産み出しても途中で飽きて投げ出してしまうのである。
サクーシャの世界で言うところの、『打ち切り』或いは『エタる』である。
魔王ベルゼブブという名前を序盤で出しても、転生者が実際に魔王の所へたどり着く事無く台本が終わってしまう。彼女はこれをもう七度もやられて怒り心頭だった。
「サクーシャの奴が『次こそは強いやつと戦わせてあげるから』と言いながら毎回毎回毎回やる気が続かぬなどと言うふざけた理由で打ち切りにしおってからに……出番詐欺の連続に我もそろそろ我慢の限界じゃぞ!」
「ひえぇ……、申し訳ありません……」
「ふぅ……。すまんな、ディレクタよ。お主が悪いわけでは無いと言うのに」
「いえ、お気持ちはお察ししておりますから……」
いつもなら私に言われても、というスタンスのディレクタなのだが、ベルゼブブの怒濤の怒りと内容の哀れさに思わず罪悪感を抱いた。勢いが落ち着いたベルゼブブは、ディレクタに本音を漏らす。
「我は本当に楽しみにしておるのじゃ。異世界から来たチート級の猛者と戦う事をな」
「……はい。何度も仰られておりますね」
「ああ、我に対抗できる生命体が現時点でこの世界におらぬからの。正直、退屈なのじゃ。早く血湧き肉踊る戦いがしたいぞ……」
「改めて、サクーシャ様に念を押しておきます」
「頼むぞディレクタよ。何故かサクーシャ自身は我と直接会う気が無いようじゃからな」
まあ怖いからだろうなぁ、とサクーシャの心理を察するディレクタは曖昧に頷いた。
「では、この流れでお願い致します。今度こそは転生者がここまでたどり着いて欲しいものですね」
「うむ。……ところで、ディレクタよ」
「何でしょうか?」
「お主は何故その仕事を続けておるのじゃ?」
「何故、ですか……」
これまでディレクタはサクーシャの指示で登場人物達に話をつけて台本を手渡してきた。これから起こる未来を無粋にも伝えてしまうその役目は、人々からかなり疎まれていると言えるだろう。
しかしディレクタはこの仕事を辞めようとは考えていなかった。そこには、彼なりの理由があるのだった。ディレクタは少し考えてからポツポツと語り始めた。
「最初は、気づいたらサクーシャ様の下に居たから、何となく指示に従っていただけでした。けれど、この仕事をやってみている内に感じたんです。……異世界転生とは、本人の力だけじゃ上手くいかないものなんだと」
「ほう」
「これまでの常識が一切通じず、仲間もいない中で見知らぬ世界に放り出されるケースもあります。登場人物たちの協力が無ければ、何も出来ずに死んでしまうのが現実的なオチじゃないですか」
「確かに例えいくらふざけた能力を持っていたとしても、自覚していない状態で我の前に現れたら一ひねりじゃな」
「そういう事です。それなりのお膳立てやお節介は、必要な事なのだと私は思っています」
ディレクタはディレクタなりのやり方で転生者の手助けをする。そこに彼はやりがいを感じていた。誰かに褒められなくとも、会った人たちに嫌われようともやり遂げる、そう決心していたのである。ベルゼブブは、そんな彼の強い意思を気に入っていた。
「だから、どんなに無粋だと言われても私はこの仕事を続けます。……給料もいいですし」
「最後の一言が無ければ良い話で終わったんじゃがのぉ……。お主が嫌われがちなのは仕事柄だけじゃないと思うぞ?」
「あはは、まさかぁ」
「ほれ、そういう所じゃ」
二人は無邪気に笑い合う。人と会うたびに嫌われていくディレクタだが、時々ベルゼブブの様に受け入れてくれる相手もいる。それが彼にとっては大事な癒しとなっている。
「全く……。もしもお主がサクーシャに愛想が尽きたら、我の配下にでもなるがよい。それなりの役割を与えてやると約束しよう」
「……! それじゃあ、次の台本が打ち切りになったらそうさせて貰いましょうかね」
「はっはっは! それは良い考えじゃ! サクーシャにそう伝えておくがよい!」
「ありがとうございます。……では、仕事に戻りますね」
「ああ、息災でな」
ディレクタは立ち上がり、次の現場へと向かう。彼の仕事は、世の創作が続く限り無くならないのだろう。
「あ、次回は幼女系の魔王で行くそうなので姿と口調を変えておいて貰えると……」
「だからお主はいい加減に、余計な一言を言う癖を直さんかぁーっ!」
彼の悪い癖は、当分治りそうになかった。
それから台本通りに転生者が現れて、天から与えられた能力を発揮して順調に事を進めていった。ベルゼブブは今か今かと彼が自分の下へと辿り着く事を楽しみにしている。
……魔王ベルゼブブが転生者と戦える日が来るのを信じて。ご愛読ありがとうございました!
「おいサクーシャ!! また打ち切る気満々では無いかーっ!?」
「やれやれ……、これは転職決定ですかね……?」
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
わたしだけノット・ファンタジー! いろいろヒドイ異世界生活。
月芝
ファンタジー
「てめぇらに、最低のファンタジーをお見舞いしてやるから、覚悟しな」
異世界ノットガルドを魔王の脅威から救うためにと送り込まれた若者たち。
その数八十名。
のはずが、フタを開けてみれば三千人ってどういうこと?
女神からの恩恵であるギフトと、世界の壁を越えた際に発現するスキル。
二つの異能を武器に全員が勇者として戦うことに。
しかし実際に行ってみたら、なにやら雲行きが……。
混迷する異世界の地に、諸事情につき一番最後に降り立った天野凛音。
残り物のギフトとしょぼいスキルが合わさる時、最凶ヒロインが爆誕する!
うっかりヤバい女を迎え入れてしまったノットガルドに、明日はあるのか。
「とりあえず殺る。そして漁る。だってモノに罪はないもの」
それが天野凛音のポリシー。
ないない尽くしの渇いた大地。
わりとヘビーな戦いの荒野をザクザク突き進む。
ハチャメチャ、むちゃくちゃ、ヒロイックファンタジー。
ここに開幕。
転生特典:錬金術師スキルを習得しました!
Lunaire
ファンタジー
ブラック企業で働く平凡なサラリーマン・佐藤優馬は、ある日突然異世界に転生する。
目を覚ますと、そこは見知らぬ森の中。彼に与えられたのは、「錬金術師」としてのスキルと、手持ちのレシピブック。
素材を組み合わせてアイテムを作る能力を持った優馬は、錬金術を駆使して日々の生活を切り開いていく。
そんな彼のもとに集まったのは、精霊の力を持つエルフの少女・リリア、白くフワフワの毛並みを持つ精霊獣・コハク。彼らは王都を拠点にしながら、異世界に潜む脅威と向き合い、冒険と日常を繰り返す。
精霊の力を狙う謎の勢力、そして自然に異変をもたらす黒い霧の存在――。異世界の危機に立ち向かう中で、仲間との絆と友情を深めていく優馬たちは、過酷な試練を乗り越え、少しずつ成長していく。
彼らの日々は、精霊と対話し、魔物と戦う激しい冒険ばかりではない。旅の合間には、仲間と共に料理を楽しんだり、王都の市場を散策して珍しい食材を見つけたりと、ほのぼのとした時間も大切にしている。美味しいご飯を囲むひととき、精霊たちと心を通わせる瞬間――その一つ一つが、彼らの力の源になる。
錬金術と精霊魔法が織りなす異世界冒険ファンタジー。戦いと日常が交錯する物語の中で、優馬たちはどんな未来を掴むのか。
他作品の詳細はこちら:
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。
音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。
その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。
16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。
後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる