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第7話 実はこうして今の二人になった
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(冒険者として強くなる、人助けに必要なのはそれだけだと思ってた)
アイシャはかつてA級の冒険者だった。彼女はソロであるにも関わらず他のパーティーにも引けを取らない功績を数多く残してきた。
そんな彼女が冒険者を辞めたきっかけは、とあるA級の依頼を受けて荷車で移動していた時の事だった。依頼先に着く前、アイシャは荷車から何だか寂れた村があるのに気付いたのである。
(あの村って、確かあの報酬がやたら少ない討伐依頼出してたとこか……)
干ばつに襲われていたその村は、田畑が干からびていて、ボロボロの服を着ている村人達も生気が感じられない。当然、そんな村から相応な報酬を出せるようには思えない。もし次に魔物に襲われようものならひとたまりも無いだろう。
アイシャが村の様子を気にしていると、依頼主である男が様子を伺ってきた。
「どうした、あぁ……。あの村は、もう助からないぞ。あと数時間で荒れ地に変わるだろうな」
「えっ!? なっ、なんで!?」
男の薄情な言葉に、アイシャは驚きを隠せなかった。
「後数時間も経たぬうちに、突発性の魔物の群れが襲い掛かるという予報がでているんだ。十日後にオーランド家から支援が行くつもりだったらしいんだが、それまで持たないだろうってさ」
「そんな……。アタシが今から群れを追い払いに行けば」
A級になるまで努力を重ねた自分なら群れを止められる、そう思い立ち上がるアイシャ。しかし、そんなアイシャを男は止めに入ったのだ。
「おいおい勘弁してくれよ、そしたら俺たちの依頼は誰がやってくれるんだ」
「はぁ!? 別にアンタらの依頼って急ぎじゃ……」
「俺たちも村近くの山に潜んでるかもしれねえ恐ろしい魔物を倒してもらわなきゃ困るんだ……。あの村は確かに気の毒だとは思う。……けど向こうはせいぜいC級程度で、あんたはA級なんだからうちが優先だろう。他の冒険者が来てくれるのを待つしかねえ」
村を襲おうとしている魔物は、危険度で言えばC級程度。しかし、戦力を持たない村人たちでは例えC級でも脅威である。現に今の生気を失った人たちだと一瞬で狩りつくされてしまうだろう。
しかしアイシャからすれば、目の前に助けられるかもしれない村があるのに助けられないという男の話を全く理解できなかった。というよりも、理解を拒んでいた。
「それによ、冒険者ってのは報酬が無いと生きていけないんだろ? あの村を救ったところで報酬は見込めないだろ。悪いことは言わねえ、割に合わねえ仕事は受けるもんじゃないぜ」
「……割に、合わない? だから、助けらんないっての?」
冒険者は、依頼を達成した報酬で自ら或いは家族の暮らしを支えている。稼げない依頼をこなしても自分が生きられなくなってしまっては元も子もない。
そんな事は、A級にまで上り詰めたアイシャのほうが良く知っている。それこそ割に合わなかった依頼に煮え湯を飲まされたことも数えきれない程あった。けれど、それとこれとは訳が違うと思った。
(冒険者って肩書のせいで、目の前の人たちを助けられない? ……なら、もうこんな見てくれの肩書なんていらない)
反論が無くなったアイシャの様子を見た男は、ようやく納得したのかと思い脱力した。
「わかってくれたか。それじゃあ案内の続きを……」
「ならその依頼後回しで。まずはあの村を助けるんでよろ。……あと、それが終わったら冒険者辞めるんで」
「何っ!? おいあんた……ってもういない!?」
アイシャの目に迷いは無かった。これからは冒険者としてでなく、もっと近いところで困っている人に手を差し伸べられるやり方を探す決意をした。その結果、アイシャは依頼の受付をしつつ時々自ら助けに行くという結論に至ったのであった。
ちなみに、この時アイシャが全力で手助けした村は、その後のオーランド家の支援もあり、農業と自営力を随一といえる位に磨き上げた。そして後にワイバーンの群れを無傷で撃退するレベルにまで発展を遂げたのだが、アイシャはその村のことをすっかり忘れていたのである。
(初めは『領地を視察する』というお父様からの指名を受けた、というだけでした)
サナ、本名サナリー・オーランドは公爵令嬢である。ある日サナは、当主である父に領地の様子を一度見てくると良い、という命を受けた。
お忍び用のローブで全身を隠しつつ、彼女が向かったのは冒険者ギルドだった。領地内にあるギルドがどんな物なのか、サナはずっと気になっていたのである。
いざ入ってみると、ギルド内は冒険者たちで賑わっている。油断するとサナ自身が埋もれてしまいそうになる所をどうにか身を交わして掲示板の前まで進む。掲示板には多くの依頼書が貼ってあった。
(この領地で起きている問題が小さなものから大きなものまで、沢山あるのですね。これは座学のみでは得られなかった情報です!)
依頼を流し見していると、ふと一枚の少し古びた依頼書が目に入った。サナにとって見覚えのある地名が書かれていたためだ。その内容に、サナは驚愕した。
「この村、確かお父様の持っていた資料に書いてあった支援先だった様な……、っ! 突発性の魔物の群れ!?」
先日、サナの父が領主としている仕事を少しだけ見る機会があった。その際に見た村の名前が、魔物の脅威に晒されていると知り、サナは愕然とした。
(魔物……昔一体だけ見たことがありますが、とても怖かった事は覚えています。それが群れで村を襲ったとしたら……!)
村に一刻も早く救われてほしいと思ったサナだが、そもそもこの依頼が貼られてから数日も経過している事が紙の古さからわかってしまう。
なぜ誰も受けてくれないのだろう、もしかしたら一つの村が滅びてしまうのに。そんな思いも空しく、その依頼書は職員らしき男性に剥がされてしまったのだ。
それを見たサナは絶望した。依頼書を手に取ったのが冒険者でなく職員、という事は……、依頼は達成されなかったという事になる。
(魔物に、滅ぼされた? 村人たちは一体どうなってしまったの?)
最悪の光景が脳裏に浮かんだサナは、すぐさま職員の男性、もといギルドマスターに話しかけた。
「あの、その依頼……!」
「ん? 何だいお嬢さん?」
「剝がされたという事は……、もしかして村はもう……?」
ローブの胸元を強く握りしめながら、サナは尋ねた。ギルドマスターはサナの何かを悔しがる表情を見て、何を聞きたいのかを察した。
「ああ、これはな。ある冒険者が先日、依頼も受けてないのに魔物の群れを一人で全部倒してくれたんだ。だから依頼を置いておく必要が無くなったのさ」
「……え?」
「ギルドの機密でその人の名前は教えられないんだが、彼女突然辞めちゃったからなぁ……。A級の代わりなんてすぐ出せないってのに全く……」
つまりどういうことなのか、サナはうまく飲み込めなかった。数秒の時間差があってから、魔物の群れが村を襲わなかったという事を理解した。その瞬間、サナは全身の力が抜けてその場にへたり込んでしまった。
「そう、だったのですね。よ、よかった……」
「お、おいおい嬢ちゃん。もしかして君は、この村の出身だったのか?」
「……いえ、地名だけ存じておりました。行ったことも、見たこともありません」
「全く知らない村にそこまで情を持てるなんて、とてもいい娘じゃないか。……ここはあんたには刺激が強すぎる。こんな所にいないで、早くお家に帰りなよ」
ギルドマスターはサナの反応から、冒険者とは程遠い人種なのだろうと思った。見ず知らずの人々の無事を願い、安堵して涙を零すほどに純粋な娘は、少なくとも冒険者では滅多に見かける事がない。依頼の全てに情が移ってしまう者は、良くも悪くも冒険者に向いていないからである。
ギルドマスターからの気遣いを受けたサナだったが、サナは別の事を考えていた。
(ここにいるギルドの職員さんたちは、常に情報を仕入れ続けている。領地の事を知れる上に、私も成長できるかもしれない。……それならば!)
サナには、オーランド家の跡取りとして強くなりたいという決心があった。冒険者としての強さではなく、領主として領地に起こる出来事を受け止める度量が必要だと感じていた。しかし、それは実際に情報が行きかう場所で培う必要がある。
自分が強くなるためには、うってつけの場所だとサナは確信した。決意を胸に、ギルドマスターに大きな声で頼み込んだ。
「……あの! 私をここで働かせてください!」
「はいぃ!? ってかその瞳と紋章……お嬢さん、まさか!?」
サナの予想外な発言と、彼女の正体に気づいた衝撃でギルドマスターは腰を抜かしてしまった。お願いしますとサナが頭を下げると、ギルドマスターは更に慌てて待ったをかける。しかしサナは動かない。
(私は、もっと世間を知らないといけない。領地の事も、人々の事も直接聞いていきたい!)
サナの決意は固く、結局ギルドマスターの承諾を得て、お忍びで職員になることをその場で決めたのだった。
こうして冒険者ギルドには、頼もしい二人の受付が誕生したのであった。これからも、しょーもない依頼ははじかれていく事だろう。
「エンシェントドラゴンの大きな爪、あれでネイルアートをやってみたいと私のネイル魂が疼くんです……!」
「そんな要望にA級雇える訳ないだろ……」
「あはは……、ちょっと見てみたい気もしますけど」
「こらサナ。……その魂でアンタがA級冒険者になるってんなら別だけどさ」
「そうかその手が! そうと決まれば早速冒険者登録と爪のある魔物を片っ端から討伐じゃー!」
「ちょ待て待て……って行っちゃったし、冗談で言ったのに死なれたら寝覚め悪すぎるんだけど……」
「……こっそり護衛を付けておきましょうか?」
「いやそこまでしなくていいから。……ちょーっとだけ手助けしてくるわ」
「わかりました。いってらっしゃい、アイシャさん」
「うぃー」
しょーもない依頼自体は、減ることは無い。ただ、このギルドでの無駄死にや取り越し苦労などは減っているそうだ。
アイシャはかつてA級の冒険者だった。彼女はソロであるにも関わらず他のパーティーにも引けを取らない功績を数多く残してきた。
そんな彼女が冒険者を辞めたきっかけは、とあるA級の依頼を受けて荷車で移動していた時の事だった。依頼先に着く前、アイシャは荷車から何だか寂れた村があるのに気付いたのである。
(あの村って、確かあの報酬がやたら少ない討伐依頼出してたとこか……)
干ばつに襲われていたその村は、田畑が干からびていて、ボロボロの服を着ている村人達も生気が感じられない。当然、そんな村から相応な報酬を出せるようには思えない。もし次に魔物に襲われようものならひとたまりも無いだろう。
アイシャが村の様子を気にしていると、依頼主である男が様子を伺ってきた。
「どうした、あぁ……。あの村は、もう助からないぞ。あと数時間で荒れ地に変わるだろうな」
「えっ!? なっ、なんで!?」
男の薄情な言葉に、アイシャは驚きを隠せなかった。
「後数時間も経たぬうちに、突発性の魔物の群れが襲い掛かるという予報がでているんだ。十日後にオーランド家から支援が行くつもりだったらしいんだが、それまで持たないだろうってさ」
「そんな……。アタシが今から群れを追い払いに行けば」
A級になるまで努力を重ねた自分なら群れを止められる、そう思い立ち上がるアイシャ。しかし、そんなアイシャを男は止めに入ったのだ。
「おいおい勘弁してくれよ、そしたら俺たちの依頼は誰がやってくれるんだ」
「はぁ!? 別にアンタらの依頼って急ぎじゃ……」
「俺たちも村近くの山に潜んでるかもしれねえ恐ろしい魔物を倒してもらわなきゃ困るんだ……。あの村は確かに気の毒だとは思う。……けど向こうはせいぜいC級程度で、あんたはA級なんだからうちが優先だろう。他の冒険者が来てくれるのを待つしかねえ」
村を襲おうとしている魔物は、危険度で言えばC級程度。しかし、戦力を持たない村人たちでは例えC級でも脅威である。現に今の生気を失った人たちだと一瞬で狩りつくされてしまうだろう。
しかしアイシャからすれば、目の前に助けられるかもしれない村があるのに助けられないという男の話を全く理解できなかった。というよりも、理解を拒んでいた。
「それによ、冒険者ってのは報酬が無いと生きていけないんだろ? あの村を救ったところで報酬は見込めないだろ。悪いことは言わねえ、割に合わねえ仕事は受けるもんじゃないぜ」
「……割に、合わない? だから、助けらんないっての?」
冒険者は、依頼を達成した報酬で自ら或いは家族の暮らしを支えている。稼げない依頼をこなしても自分が生きられなくなってしまっては元も子もない。
そんな事は、A級にまで上り詰めたアイシャのほうが良く知っている。それこそ割に合わなかった依頼に煮え湯を飲まされたことも数えきれない程あった。けれど、それとこれとは訳が違うと思った。
(冒険者って肩書のせいで、目の前の人たちを助けられない? ……なら、もうこんな見てくれの肩書なんていらない)
反論が無くなったアイシャの様子を見た男は、ようやく納得したのかと思い脱力した。
「わかってくれたか。それじゃあ案内の続きを……」
「ならその依頼後回しで。まずはあの村を助けるんでよろ。……あと、それが終わったら冒険者辞めるんで」
「何っ!? おいあんた……ってもういない!?」
アイシャの目に迷いは無かった。これからは冒険者としてでなく、もっと近いところで困っている人に手を差し伸べられるやり方を探す決意をした。その結果、アイシャは依頼の受付をしつつ時々自ら助けに行くという結論に至ったのであった。
ちなみに、この時アイシャが全力で手助けした村は、その後のオーランド家の支援もあり、農業と自営力を随一といえる位に磨き上げた。そして後にワイバーンの群れを無傷で撃退するレベルにまで発展を遂げたのだが、アイシャはその村のことをすっかり忘れていたのである。
(初めは『領地を視察する』というお父様からの指名を受けた、というだけでした)
サナ、本名サナリー・オーランドは公爵令嬢である。ある日サナは、当主である父に領地の様子を一度見てくると良い、という命を受けた。
お忍び用のローブで全身を隠しつつ、彼女が向かったのは冒険者ギルドだった。領地内にあるギルドがどんな物なのか、サナはずっと気になっていたのである。
いざ入ってみると、ギルド内は冒険者たちで賑わっている。油断するとサナ自身が埋もれてしまいそうになる所をどうにか身を交わして掲示板の前まで進む。掲示板には多くの依頼書が貼ってあった。
(この領地で起きている問題が小さなものから大きなものまで、沢山あるのですね。これは座学のみでは得られなかった情報です!)
依頼を流し見していると、ふと一枚の少し古びた依頼書が目に入った。サナにとって見覚えのある地名が書かれていたためだ。その内容に、サナは驚愕した。
「この村、確かお父様の持っていた資料に書いてあった支援先だった様な……、っ! 突発性の魔物の群れ!?」
先日、サナの父が領主としている仕事を少しだけ見る機会があった。その際に見た村の名前が、魔物の脅威に晒されていると知り、サナは愕然とした。
(魔物……昔一体だけ見たことがありますが、とても怖かった事は覚えています。それが群れで村を襲ったとしたら……!)
村に一刻も早く救われてほしいと思ったサナだが、そもそもこの依頼が貼られてから数日も経過している事が紙の古さからわかってしまう。
なぜ誰も受けてくれないのだろう、もしかしたら一つの村が滅びてしまうのに。そんな思いも空しく、その依頼書は職員らしき男性に剥がされてしまったのだ。
それを見たサナは絶望した。依頼書を手に取ったのが冒険者でなく職員、という事は……、依頼は達成されなかったという事になる。
(魔物に、滅ぼされた? 村人たちは一体どうなってしまったの?)
最悪の光景が脳裏に浮かんだサナは、すぐさま職員の男性、もといギルドマスターに話しかけた。
「あの、その依頼……!」
「ん? 何だいお嬢さん?」
「剝がされたという事は……、もしかして村はもう……?」
ローブの胸元を強く握りしめながら、サナは尋ねた。ギルドマスターはサナの何かを悔しがる表情を見て、何を聞きたいのかを察した。
「ああ、これはな。ある冒険者が先日、依頼も受けてないのに魔物の群れを一人で全部倒してくれたんだ。だから依頼を置いておく必要が無くなったのさ」
「……え?」
「ギルドの機密でその人の名前は教えられないんだが、彼女突然辞めちゃったからなぁ……。A級の代わりなんてすぐ出せないってのに全く……」
つまりどういうことなのか、サナはうまく飲み込めなかった。数秒の時間差があってから、魔物の群れが村を襲わなかったという事を理解した。その瞬間、サナは全身の力が抜けてその場にへたり込んでしまった。
「そう、だったのですね。よ、よかった……」
「お、おいおい嬢ちゃん。もしかして君は、この村の出身だったのか?」
「……いえ、地名だけ存じておりました。行ったことも、見たこともありません」
「全く知らない村にそこまで情を持てるなんて、とてもいい娘じゃないか。……ここはあんたには刺激が強すぎる。こんな所にいないで、早くお家に帰りなよ」
ギルドマスターはサナの反応から、冒険者とは程遠い人種なのだろうと思った。見ず知らずの人々の無事を願い、安堵して涙を零すほどに純粋な娘は、少なくとも冒険者では滅多に見かける事がない。依頼の全てに情が移ってしまう者は、良くも悪くも冒険者に向いていないからである。
ギルドマスターからの気遣いを受けたサナだったが、サナは別の事を考えていた。
(ここにいるギルドの職員さんたちは、常に情報を仕入れ続けている。領地の事を知れる上に、私も成長できるかもしれない。……それならば!)
サナには、オーランド家の跡取りとして強くなりたいという決心があった。冒険者としての強さではなく、領主として領地に起こる出来事を受け止める度量が必要だと感じていた。しかし、それは実際に情報が行きかう場所で培う必要がある。
自分が強くなるためには、うってつけの場所だとサナは確信した。決意を胸に、ギルドマスターに大きな声で頼み込んだ。
「……あの! 私をここで働かせてください!」
「はいぃ!? ってかその瞳と紋章……お嬢さん、まさか!?」
サナの予想外な発言と、彼女の正体に気づいた衝撃でギルドマスターは腰を抜かしてしまった。お願いしますとサナが頭を下げると、ギルドマスターは更に慌てて待ったをかける。しかしサナは動かない。
(私は、もっと世間を知らないといけない。領地の事も、人々の事も直接聞いていきたい!)
サナの決意は固く、結局ギルドマスターの承諾を得て、お忍びで職員になることをその場で決めたのだった。
こうして冒険者ギルドには、頼もしい二人の受付が誕生したのであった。これからも、しょーもない依頼ははじかれていく事だろう。
「エンシェントドラゴンの大きな爪、あれでネイルアートをやってみたいと私のネイル魂が疼くんです……!」
「そんな要望にA級雇える訳ないだろ……」
「あはは……、ちょっと見てみたい気もしますけど」
「こらサナ。……その魂でアンタがA級冒険者になるってんなら別だけどさ」
「そうかその手が! そうと決まれば早速冒険者登録と爪のある魔物を片っ端から討伐じゃー!」
「ちょ待て待て……って行っちゃったし、冗談で言ったのに死なれたら寝覚め悪すぎるんだけど……」
「……こっそり護衛を付けておきましょうか?」
「いやそこまでしなくていいから。……ちょーっとだけ手助けしてくるわ」
「わかりました。いってらっしゃい、アイシャさん」
「うぃー」
しょーもない依頼自体は、減ることは無い。ただ、このギルドでの無駄死にや取り越し苦労などは減っているそうだ。
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