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令和のかき氷と昭和のかき氷
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真夏の夏休み。熱い。とにかく熱い。アイスを食べながら宿題をして姉に「行儀が悪いわよ」とお叱りを受ける私。だが、許してくれ姉上。私は今滅茶苦茶熱いのだ。エアコンは壊れてしまい御者が来るまで残り二時間。保冷剤と適度な水分補給でなんとか私達は生きているがそろそろ限界に近い。
こんな熱い中夏休みの宿題に勤しんでいる私を逆に褒めて欲しい。
「熱いね~。業者が来るまで二人とも頑張って。なんなら涼しいスーパーとかに居ても良いんだよ。熱中症になったら大変だし」
「ママが熱い蒸し風呂の中にいるのに私達だけ涼しい所には居られないよ。それにスーパーじゃ宿題出来ないし」
「そうよ。それに私熱いのには慣れてるから平気よ」
娘二人は私と同じ苦しみの中に居てくれるのは嬉しいが、やはり母としてもし熱中症になったりでもしたら大変だ。私は何とか押し入れから扇風機を取り出してコンセントに差し扇風機が娘達に行くように向ける。これなら少しは涼しくなるはず。
「そうだ、二人ともカキ氷食べない?」
カキ氷と聞くと次女の手が止まった。
「かき氷! 食べる! ママシロップはメロン? 抹茶? 苺とレモンも! 後果物も乗せたい! ありったけ載せちゃおう!」
「なら私去年買ったかき氷機出してくるわ」
こんな暑い中二人はかき氷と聞くと張り切って準備にとり掛かった。私も果物やシロップの用意をしてかき氷の準備をする。
「母さん。なんか古いかき氷機も見つかったんだけど」
長女は昭和にありそうな古いかき氷機を持っていた。それには見覚えがあった。まさかまだあったとは思わなかったが。
「それ、私がまだ小さかった頃に使ってた物だね。懐かしいなぁ~、大きな氷を挟んでぐるぐる回して削ったの」
「じゃあ、これも使いましょう」
「新しいのがあるのに?」
「うん。昭和のかき氷も食べてみたいわ」
そして私達一家は小さなかき氷屋を開く事になった。
「って言っても。昔みたいに大きな氷無いよ。今から作るにしても時間掛かるし」
それを聞いて長女はガッカリしてしまった。
近くで話を聞いていた次女は「ちょっと出掛けてくる!」と言って自転車に乗って何処かに行ってしまう。
「どうする連れ戻す?」
「いや、何処に行くかは知らないが何を欲しくて探しに行ったのかは分かる。多分そのうち帰ってくるからその間に私達はかき氷でも作って待っててあげよう」
「そうね」
飛び出した次女を遠目で見送り私達は家の中に入ってかき氷作りに取り掛かる。
大きめのタッパに天然水を入れて冷凍庫入れて凍らせる。後は待つのみ。今ある氷はみんな小さいのばっかりだから三人分ならこれで十分かな。
果物を切ったり丸くしたり、飾り切りしたりしているとてんこ盛りになってしまった。残れば明日でも食べられるから使うものは置いておいて残りは冷蔵庫に入らておく。
長女が器と去年のかき氷機を用意してくれる。小さい氷を入れて器を向けて押さおると上から雪のように氷が降り積もった。硝子の器の中に小さな氷の山が出来るとそれを長女に渡す。
「ありがとう」と受け取った長女はメロンを沢山乗せてメロンの飾り切りをかき氷のてっぺんに乗せるとかき氷シロップのメロン味をかき氷の周りにかけた。満足したのか顔をドヤ顔にしながら自分のスマホで色んな角度から写真をとる。
私も自分の器に氷を削ってかき氷を作り上からいちご味のシロップのみをかける。
「それだけ? いちごとか乗せれば良いのに」
「良いんだよ。これが私の知るかき氷だからね」
私達二人でかき氷を完食するとインターホンが鳴る。玄関を開ければ業者の人が来てくれた。
それから業者の人がエアコンを直し部屋は涼しくなった。これで蒸し風呂生活もおさらば。業者の人にはお礼にスイカのかき氷をご馳走した。業者の人は遠慮するがそれで負ける私ではない。私の圧に根負けした業者はかき氷を受け取って食べてくれた。エアコンも治りすっかり涼しくなった我が家だが、次女がいつまで経っても帰って来ない。少し心配になり私は探しに行こうと玄関に行くと丁度次女が自転車を押して帰って来た。
「ママ、ただいま」
「おかえりって、何処に行ってたの。心配したんだよ」
「実は……」
娘が視線を泳がすと精肉屋の店長さんと長男君と次男君。そして商店街や近所の顔見知りな人が沢山来ていた。私が次女に説明を求めるように見ると娘はあっさり白状した。
「最初はお肉屋さんだけ行ってたの。大きい氷あるかなって」
時は一時間半前に戻り
私はある所に向かっていた。それは商店街のお肉屋さん。昨日のたこ焼きパーティー楽しかったなぁ~。私は自転車を漕ぎながら汗を流し商店街迄急いだ。お肉屋さんなら大きな氷があるかもしれない。そして熱い思いをしてようやくお肉屋さんに着いた。
「おっ次女か。昨日ぶり、たこ焼きありがとう」
「昨日ぶりです。たこ焼きはお粗末様です。後から焼いたのはママとお姉ちゃんですが。今日はお肉とコロッケを買いに来たんじゃ無いの」
「珍しいな。では、今日は何をお探しかな」
私の言葉に少し驚きながらも私にお水をくれて接客をしてくれるお兄ちゃん。
「ここに大きな氷はありますか?」
「氷?」
私は頷くとお兄ちゃんは「待っててくれ」と言ってお店の中に行ってしまった。少し待つとお兄ちゃんが戻って来て店長のおじちゃんと兄ちゃんも来た。
「氷が欲しいのか?」
「うん。出来るだけ大きめの氷の塊が欲しいです! 今日はうちでかき氷を作るんだけどママが昔使ってたかき氷機が見つかって」
私の説明でなんとなく理解してくれたおじちゃん。そしてその場に居て聞いていたお兄ちゃんと兄ちゃんは「大きい氷ならあるぞ」と言ってくれた。
「確かにあるにはある。どっかの馬鹿次男がかき氷を作るなんて言うがうちにはかき氷機なんて無い。それなのに埋まる程のバカでかい氷を作り困っていたのだ。それを貰ってくれるか?」
「良いんですか? 勿論、嬉しいです!」
氷を貰うことに成功。後は持って帰るだけ。すると商店街の顔見知りの人達が精肉店に集まって来た。
「なんだぁ。譲ちゃんかき氷食べるんけ?」
「うん、ママとお姉ちゃんと三人で!」
「じゃあ氷運ぶの手伝うから俺にもかき氷くれねぇか?」
「私も」
「俺達も」
精肉屋のおじちゃん達も私にそう聞くと思わず私は「良いですよ!」と答えた。そして顔見知りの人達は次々にお店を閉めて私と共に氷を運んでくれた。果物屋さんはお店にある果物を持ってきたりと自分達のお店の商品を持ってくる人がちらほらといた。
そしてまた熱い中氷を運び現在にいたる。正直少し溶けたが。
「なるほど」
「という訳で今日一日限定かき氷屋さんを開かない?」
「うちはかき氷屋になった覚えは無いよ。それに皆さんお店は?」
「今日一日お休み」
商店街の人達は声を揃えて言った。
母はなんだかんだ言いながら皆を家に入れた。冷えた冷たい風が私の肌に張り付く汗を一瞬で冷やし私の体を冷やしてくれる。私は思わず「涼しい~」と声に出してしまった。
「おかえり」
「ただいま。お姉ちゃん」
リビングでお姉ちゃんはかき氷に抹茶のシロップと上から練乳をかけて白玉とあんこを乗せて私にくれた。私の好きな抹茶味!
「それ食べたら次はチョコミントにしてあげる」
「そんなに食べたらお腹壊すよ~」
なんて言いながら私はかき氷を一口食べた。
美味しぃ~抹茶のほろ苦さと練乳が合う。さすがお姉ちゃん。私は頭を痛くしながらもかき氷を食べ進めていた。ママが気になりちらっと見てみると知り合いを全員家に入れて色々と何か受け取っていた。
果物屋さんだったら果物。
パン屋さんだったら色んなパンの詰め合わせ。
ケーキ屋さんはケーキとホイップクリームとか持ってきていた。あれかき氷にかけるの?
靴屋さんまで来ている。なんかママにタバコ渡してる。八百屋さんは白菜やら色んな野菜を貰っていた。勿論お肉屋さんも来ている、なんだったらお兄ちゃん達も。お肉をママに渡していた。
リビングを見渡すと、結構大所帯になってしまいもしかしたら私は、やってしまったのかもしれない。
「まずかったかな」
「あら、私の作ったかき氷不味かった?」
姉上、違うそういう意味じゃない。お姉ちゃんが作ってくれたチョコミントのかき氷はとても絶品だよ。私はいつの間にか二杯目を食べている。
「違う違う。人がいっぱい来たからママは嫌だったかな~って」
誤解を解いて言うとお姉ちゃんはほっとした顔をしながらママを見ていた。
「そんな事ないと思うわ。だって、母さんも楽しそうに見えるもの」
私もママの方を見るとお肉屋さんの店長さんと何か話をしていた。業者の人はいつの間にか帰って行き皆それぞれ自分達のかき氷機でかき氷を作っていた。昔の人はシロップのみだが私達令和の女の子は色々とアレンジしたりオシャレなかき氷を生み出す。ママが食べているいちご味のかき氷を食べるとかき氷のシャリシャリといちごの甘みがして美味しいが普通の安心する変わらない味だった。お姉ちゃんが作ってくれたかき氷を食べ終えて私も去年のかき氷機で器に氷も盛り盛りに盛ってママ達が使ってるシロップに一色一色七色のように少し掛けて味に合わせてフルーツを盛り付けた。名付けてレインボーかき氷。
ネーミングセンスは古いしダサいが味と映えはとても良かった。私一人じゃ食べきれなくママやお姉ちゃん、周りの人が食べてくれてなんとか完食出来た。
「ふぅ、食べ過ぎた」
「逆に腹壊すぞ」
お肉屋の次男兄ちゃんが少しぬるいお茶をくれた。冷えた体に丁度いい。さっきまでは熱い熱いと言って嘆いていたのに今ではすっかりと冷え切ってしまったいる。
腹休みに皆のかき氷を見て回って一口貰ってはあっという間に日が暮れた。
皆も片付けてからそれぞれお店と家に帰って行き私達も今日限定かき氷屋を閉店する。
使ったかき氷機二つを綺麗に洗って箱に入れて直す。トイレに行ってスマホを見ると写真には今日撮った色んなかき氷と知人の人達が写っている。後で写真にしてアルバムに入れたい。
やっぱり夏にはかき氷が一番。
今日の晩御飯は何かな?
こんな熱い中夏休みの宿題に勤しんでいる私を逆に褒めて欲しい。
「熱いね~。業者が来るまで二人とも頑張って。なんなら涼しいスーパーとかに居ても良いんだよ。熱中症になったら大変だし」
「ママが熱い蒸し風呂の中にいるのに私達だけ涼しい所には居られないよ。それにスーパーじゃ宿題出来ないし」
「そうよ。それに私熱いのには慣れてるから平気よ」
娘二人は私と同じ苦しみの中に居てくれるのは嬉しいが、やはり母としてもし熱中症になったりでもしたら大変だ。私は何とか押し入れから扇風機を取り出してコンセントに差し扇風機が娘達に行くように向ける。これなら少しは涼しくなるはず。
「そうだ、二人ともカキ氷食べない?」
カキ氷と聞くと次女の手が止まった。
「かき氷! 食べる! ママシロップはメロン? 抹茶? 苺とレモンも! 後果物も乗せたい! ありったけ載せちゃおう!」
「なら私去年買ったかき氷機出してくるわ」
こんな暑い中二人はかき氷と聞くと張り切って準備にとり掛かった。私も果物やシロップの用意をしてかき氷の準備をする。
「母さん。なんか古いかき氷機も見つかったんだけど」
長女は昭和にありそうな古いかき氷機を持っていた。それには見覚えがあった。まさかまだあったとは思わなかったが。
「それ、私がまだ小さかった頃に使ってた物だね。懐かしいなぁ~、大きな氷を挟んでぐるぐる回して削ったの」
「じゃあ、これも使いましょう」
「新しいのがあるのに?」
「うん。昭和のかき氷も食べてみたいわ」
そして私達一家は小さなかき氷屋を開く事になった。
「って言っても。昔みたいに大きな氷無いよ。今から作るにしても時間掛かるし」
それを聞いて長女はガッカリしてしまった。
近くで話を聞いていた次女は「ちょっと出掛けてくる!」と言って自転車に乗って何処かに行ってしまう。
「どうする連れ戻す?」
「いや、何処に行くかは知らないが何を欲しくて探しに行ったのかは分かる。多分そのうち帰ってくるからその間に私達はかき氷でも作って待っててあげよう」
「そうね」
飛び出した次女を遠目で見送り私達は家の中に入ってかき氷作りに取り掛かる。
大きめのタッパに天然水を入れて冷凍庫入れて凍らせる。後は待つのみ。今ある氷はみんな小さいのばっかりだから三人分ならこれで十分かな。
果物を切ったり丸くしたり、飾り切りしたりしているとてんこ盛りになってしまった。残れば明日でも食べられるから使うものは置いておいて残りは冷蔵庫に入らておく。
長女が器と去年のかき氷機を用意してくれる。小さい氷を入れて器を向けて押さおると上から雪のように氷が降り積もった。硝子の器の中に小さな氷の山が出来るとそれを長女に渡す。
「ありがとう」と受け取った長女はメロンを沢山乗せてメロンの飾り切りをかき氷のてっぺんに乗せるとかき氷シロップのメロン味をかき氷の周りにかけた。満足したのか顔をドヤ顔にしながら自分のスマホで色んな角度から写真をとる。
私も自分の器に氷を削ってかき氷を作り上からいちご味のシロップのみをかける。
「それだけ? いちごとか乗せれば良いのに」
「良いんだよ。これが私の知るかき氷だからね」
私達二人でかき氷を完食するとインターホンが鳴る。玄関を開ければ業者の人が来てくれた。
それから業者の人がエアコンを直し部屋は涼しくなった。これで蒸し風呂生活もおさらば。業者の人にはお礼にスイカのかき氷をご馳走した。業者の人は遠慮するがそれで負ける私ではない。私の圧に根負けした業者はかき氷を受け取って食べてくれた。エアコンも治りすっかり涼しくなった我が家だが、次女がいつまで経っても帰って来ない。少し心配になり私は探しに行こうと玄関に行くと丁度次女が自転車を押して帰って来た。
「ママ、ただいま」
「おかえりって、何処に行ってたの。心配したんだよ」
「実は……」
娘が視線を泳がすと精肉屋の店長さんと長男君と次男君。そして商店街や近所の顔見知りな人が沢山来ていた。私が次女に説明を求めるように見ると娘はあっさり白状した。
「最初はお肉屋さんだけ行ってたの。大きい氷あるかなって」
時は一時間半前に戻り
私はある所に向かっていた。それは商店街のお肉屋さん。昨日のたこ焼きパーティー楽しかったなぁ~。私は自転車を漕ぎながら汗を流し商店街迄急いだ。お肉屋さんなら大きな氷があるかもしれない。そして熱い思いをしてようやくお肉屋さんに着いた。
「おっ次女か。昨日ぶり、たこ焼きありがとう」
「昨日ぶりです。たこ焼きはお粗末様です。後から焼いたのはママとお姉ちゃんですが。今日はお肉とコロッケを買いに来たんじゃ無いの」
「珍しいな。では、今日は何をお探しかな」
私の言葉に少し驚きながらも私にお水をくれて接客をしてくれるお兄ちゃん。
「ここに大きな氷はありますか?」
「氷?」
私は頷くとお兄ちゃんは「待っててくれ」と言ってお店の中に行ってしまった。少し待つとお兄ちゃんが戻って来て店長のおじちゃんと兄ちゃんも来た。
「氷が欲しいのか?」
「うん。出来るだけ大きめの氷の塊が欲しいです! 今日はうちでかき氷を作るんだけどママが昔使ってたかき氷機が見つかって」
私の説明でなんとなく理解してくれたおじちゃん。そしてその場に居て聞いていたお兄ちゃんと兄ちゃんは「大きい氷ならあるぞ」と言ってくれた。
「確かにあるにはある。どっかの馬鹿次男がかき氷を作るなんて言うがうちにはかき氷機なんて無い。それなのに埋まる程のバカでかい氷を作り困っていたのだ。それを貰ってくれるか?」
「良いんですか? 勿論、嬉しいです!」
氷を貰うことに成功。後は持って帰るだけ。すると商店街の顔見知りの人達が精肉店に集まって来た。
「なんだぁ。譲ちゃんかき氷食べるんけ?」
「うん、ママとお姉ちゃんと三人で!」
「じゃあ氷運ぶの手伝うから俺にもかき氷くれねぇか?」
「私も」
「俺達も」
精肉屋のおじちゃん達も私にそう聞くと思わず私は「良いですよ!」と答えた。そして顔見知りの人達は次々にお店を閉めて私と共に氷を運んでくれた。果物屋さんはお店にある果物を持ってきたりと自分達のお店の商品を持ってくる人がちらほらといた。
そしてまた熱い中氷を運び現在にいたる。正直少し溶けたが。
「なるほど」
「という訳で今日一日限定かき氷屋さんを開かない?」
「うちはかき氷屋になった覚えは無いよ。それに皆さんお店は?」
「今日一日お休み」
商店街の人達は声を揃えて言った。
母はなんだかんだ言いながら皆を家に入れた。冷えた冷たい風が私の肌に張り付く汗を一瞬で冷やし私の体を冷やしてくれる。私は思わず「涼しい~」と声に出してしまった。
「おかえり」
「ただいま。お姉ちゃん」
リビングでお姉ちゃんはかき氷に抹茶のシロップと上から練乳をかけて白玉とあんこを乗せて私にくれた。私の好きな抹茶味!
「それ食べたら次はチョコミントにしてあげる」
「そんなに食べたらお腹壊すよ~」
なんて言いながら私はかき氷を一口食べた。
美味しぃ~抹茶のほろ苦さと練乳が合う。さすがお姉ちゃん。私は頭を痛くしながらもかき氷を食べ進めていた。ママが気になりちらっと見てみると知り合いを全員家に入れて色々と何か受け取っていた。
果物屋さんだったら果物。
パン屋さんだったら色んなパンの詰め合わせ。
ケーキ屋さんはケーキとホイップクリームとか持ってきていた。あれかき氷にかけるの?
靴屋さんまで来ている。なんかママにタバコ渡してる。八百屋さんは白菜やら色んな野菜を貰っていた。勿論お肉屋さんも来ている、なんだったらお兄ちゃん達も。お肉をママに渡していた。
リビングを見渡すと、結構大所帯になってしまいもしかしたら私は、やってしまったのかもしれない。
「まずかったかな」
「あら、私の作ったかき氷不味かった?」
姉上、違うそういう意味じゃない。お姉ちゃんが作ってくれたチョコミントのかき氷はとても絶品だよ。私はいつの間にか二杯目を食べている。
「違う違う。人がいっぱい来たからママは嫌だったかな~って」
誤解を解いて言うとお姉ちゃんはほっとした顔をしながらママを見ていた。
「そんな事ないと思うわ。だって、母さんも楽しそうに見えるもの」
私もママの方を見るとお肉屋さんの店長さんと何か話をしていた。業者の人はいつの間にか帰って行き皆それぞれ自分達のかき氷機でかき氷を作っていた。昔の人はシロップのみだが私達令和の女の子は色々とアレンジしたりオシャレなかき氷を生み出す。ママが食べているいちご味のかき氷を食べるとかき氷のシャリシャリといちごの甘みがして美味しいが普通の安心する変わらない味だった。お姉ちゃんが作ってくれたかき氷を食べ終えて私も去年のかき氷機で器に氷も盛り盛りに盛ってママ達が使ってるシロップに一色一色七色のように少し掛けて味に合わせてフルーツを盛り付けた。名付けてレインボーかき氷。
ネーミングセンスは古いしダサいが味と映えはとても良かった。私一人じゃ食べきれなくママやお姉ちゃん、周りの人が食べてくれてなんとか完食出来た。
「ふぅ、食べ過ぎた」
「逆に腹壊すぞ」
お肉屋の次男兄ちゃんが少しぬるいお茶をくれた。冷えた体に丁度いい。さっきまでは熱い熱いと言って嘆いていたのに今ではすっかりと冷え切ってしまったいる。
腹休みに皆のかき氷を見て回って一口貰ってはあっという間に日が暮れた。
皆も片付けてからそれぞれお店と家に帰って行き私達も今日限定かき氷屋を閉店する。
使ったかき氷機二つを綺麗に洗って箱に入れて直す。トイレに行ってスマホを見ると写真には今日撮った色んなかき氷と知人の人達が写っている。後で写真にしてアルバムに入れたい。
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