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依頼者 2

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「まず、始まりは1ヶ月ほど前のことでした。」
 自分は取り敢えず何が起こったのかを話した。
 およそ1ヶ月前、突如として村に転生者を名乗る集団が現れた。
 転生者という存在自体は自分の村でも有名であったが、こんな田舎に現れた事はなく、村の者達はまるで相手にしていなかった。
 転生者達は同じ転生者を集めて回っているようで、その集団の1人はここにも転生者を探しに来たのだと言い出し、適当に近くにいた若者となにやら話をしていた。
 すると、先程まで転生者を信じていなかった若者が話を軽く聞いただけで、その集団についていってしまった。
 その日はその村人と共に転生者の集団はどこかへ行ったのだが、翌日その村人が転生者と共に帰った来た。
 彼らは本物だ、皆も話を聞いてみてくれと、その村人は言った。
 彼は誠実な人だと有名だったので、話だけでも、と転生者と話す人が増えてきた。
 そして、気が付けば村のほとんどの人が転生者集団と交流を持つようになったという。
 そして、我が家にも話が来たのだが胡散臭くて追い返し続けていた。
 なぜなら話を聞きに行っている者達は多額の出費をしていることがわかっていたからだ。
 彼らが本当に転生者かどうかは別として、彼らの狙いが悪徳な金儲けだということはわかっていた。
 ねずみ算的に話を聞きに行く人が増えてきて村には彼らの拠点として、居住地まで用意されてしまった。
 村長ですら彼らと親しくなっているようであった。
 もはや村民はほとんどが取り込まれてしまい、自分は両親に首都の異世界研究所を訪ねて助けを求めてきてほしいと言われた。
 ということを説明した。
「……なるほどね。」
 話を聞きながら彼女、クレアさんはお茶をすすった。
「じゃ、早速君の村へ行こうか。」
 クレアはお茶を一気に飲み干すと、立ち上がりなにやら荷物をまとめ始めた。
「え、でもお休みなんじゃ……。」
「ああ、大丈夫。研究員は私一人だから好きなときに休んで好きなときに仕事始めるから。」
 ということはクレアさんは所長だったのか。
 どうやら彼女はかなりの自由人なようだ。
「えーと、ここって国の研究機関なんですよね?」
「ああ、そうだよ?」
 この部屋を見るに、昔はそれなりに人が居たようだが恐らく彼女のせいで人が離れて行ったのだろう。
 複数の机の上に積み上げられた研究資料と思しき紙の山がそれを物語っている。
「何してるんだい?行くよ?」
「は、はい!」
 せっかくの首都だったのでもう少し楽しみたいところではあったが、我慢しよう。
「さっきの話で色々と聞きたいこともあったから詳しくは汽車で話をさせてもらうよ。」
「りょ、了解です!」
 自分は即座に荷物をまとめ、出されたお茶とお菓子を頬張り、後をついていった。
 すごい美味しかった。
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