15 / 36
蜂起
しおりを挟む
「おい、聞いてるんだろ?」
俺は朝飯を食いつつ喋る。
どうせ盗聴されているのだ、確認する必要もないのだが。
「そろそろこの生活にも飽きた。協力してやる。」
「隊長!?」
マイクも良い演技だ。
前々から計画は進めていた。
奴等に悟られぬよう慎重に進めていた。
「良いから、黙ってろ。」
すると、足音が近付いてくる。
聞いたことのない足音だ。
「……出ろ。」
見たこともない人物に出るように指示される。
「た、隊長……。」
「任せろ。」
心配するマイクを他所にその場を後にする。
しかし、マイクにも役目がある。
しっかり果たしてもらわねば。
「一体どういう事だ?」
「何がだ?」
廊下を歩きつつ話す。
見たことのない廊下だ。
俺達は優遇され、ある程度の自由が利いていたがここは始めて見る。
「頑なに協力を拒んだお前が、何故だ。」
「……あの生活にも飽きたんだ。」
そう話しつつ、周囲の情報を頭の中に入れていく。
「流石にあのAIも混乱しているぞ。」
「そうか。」
やはり、こういう突飛な事はエラーを引き起こしやすいようだ。
検証は済んだな。
「入れ。」
「……。」
そう言われて、扉の中へ入る。
そこは、司令部のようになっており、多くの者がヘッドホンに耳を傾けていた。
俺達の部屋を聞いているやつもいるのだろう。
俺を誘導したやつは椅子に座っている男の隣に立った。
どうやら副官のようだ。
「ティム……。」
「久しぶりだな。と言っても俺はずっと見ていたが。」
そこにはティムがいた。
どうやら、ずっと監視していたらしい。
「趣味が悪いな。」
「まぁそう言うな。で、どういう心境の変化だ?」
少し考える。
慎重に言葉を選ばなければこの疑い深い男は騙せない。
「新聞で世界情勢は把握している。そろそろきな臭いんじゃないか?」
「……そうだな。その通りだ。」
ここ数年のアメリカの行動は世界を恐怖に陥れていた。
核抑止もあるお陰で大国同士の大規模な戦闘は、ほぼほぼ発生していない。
中国が核を使おうとしたが、アイによる落下地点予測をアメリカが中国より早く公開したことにより、中国は核を使えなかった。
だが、他国がアメリカの一強を許すわけはなく最近は何やら騒がしいようだ。
アメリカも流石に複数国に対し軍事的圧力を強めることは難しく手を出せないでいた。
ほぼ全ての民間軍事会社もアメリカにはつかいていない。
そして、有力な国と契約することでアメリカの制裁を免れている。
「俺の依頼者は平和を望んでいた。どんな形であれそれが叶った今、それを崩させるわけには行かん。」
「そうか。」
勿論、建前だ。
なんとかこいつらに取り入らなければ作戦は成功しない。
「全員釈放しろ。全員で、全力でお前に協力してやる。」
「……分かった。」
取り敢えず、これで良い。
疑われているのは百も承知だ。
だが、そんな事はどうでも良い。
やってやる。
柏木の最後の依頼を、仇を果たして見せる。
俺は朝飯を食いつつ喋る。
どうせ盗聴されているのだ、確認する必要もないのだが。
「そろそろこの生活にも飽きた。協力してやる。」
「隊長!?」
マイクも良い演技だ。
前々から計画は進めていた。
奴等に悟られぬよう慎重に進めていた。
「良いから、黙ってろ。」
すると、足音が近付いてくる。
聞いたことのない足音だ。
「……出ろ。」
見たこともない人物に出るように指示される。
「た、隊長……。」
「任せろ。」
心配するマイクを他所にその場を後にする。
しかし、マイクにも役目がある。
しっかり果たしてもらわねば。
「一体どういう事だ?」
「何がだ?」
廊下を歩きつつ話す。
見たことのない廊下だ。
俺達は優遇され、ある程度の自由が利いていたがここは始めて見る。
「頑なに協力を拒んだお前が、何故だ。」
「……あの生活にも飽きたんだ。」
そう話しつつ、周囲の情報を頭の中に入れていく。
「流石にあのAIも混乱しているぞ。」
「そうか。」
やはり、こういう突飛な事はエラーを引き起こしやすいようだ。
検証は済んだな。
「入れ。」
「……。」
そう言われて、扉の中へ入る。
そこは、司令部のようになっており、多くの者がヘッドホンに耳を傾けていた。
俺達の部屋を聞いているやつもいるのだろう。
俺を誘導したやつは椅子に座っている男の隣に立った。
どうやら副官のようだ。
「ティム……。」
「久しぶりだな。と言っても俺はずっと見ていたが。」
そこにはティムがいた。
どうやら、ずっと監視していたらしい。
「趣味が悪いな。」
「まぁそう言うな。で、どういう心境の変化だ?」
少し考える。
慎重に言葉を選ばなければこの疑い深い男は騙せない。
「新聞で世界情勢は把握している。そろそろきな臭いんじゃないか?」
「……そうだな。その通りだ。」
ここ数年のアメリカの行動は世界を恐怖に陥れていた。
核抑止もあるお陰で大国同士の大規模な戦闘は、ほぼほぼ発生していない。
中国が核を使おうとしたが、アイによる落下地点予測をアメリカが中国より早く公開したことにより、中国は核を使えなかった。
だが、他国がアメリカの一強を許すわけはなく最近は何やら騒がしいようだ。
アメリカも流石に複数国に対し軍事的圧力を強めることは難しく手を出せないでいた。
ほぼ全ての民間軍事会社もアメリカにはつかいていない。
そして、有力な国と契約することでアメリカの制裁を免れている。
「俺の依頼者は平和を望んでいた。どんな形であれそれが叶った今、それを崩させるわけには行かん。」
「そうか。」
勿論、建前だ。
なんとかこいつらに取り入らなければ作戦は成功しない。
「全員釈放しろ。全員で、全力でお前に協力してやる。」
「……分かった。」
取り敢えず、これで良い。
疑われているのは百も承知だ。
だが、そんな事はどうでも良い。
やってやる。
柏木の最後の依頼を、仇を果たして見せる。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる