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粛清

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 翌日。
 実質国王となった父上の軍勢1万が俺の城へと攻め寄せた。
 対するこちらは350の兵のみ。
 母上の手勢も加えて、志願してくれたものも加えてのこの数である。
「逆賊!アルフレッド・シャム・エルドニア!新国王アロン王の命により、謀反の罪で捕縛する!即刻出てこい!」
 相手の指揮官らしき男が叫ぶ。
 どうやら父上はでてきてないらしい。
 というかもう国王になっている。
「出てこぬのなら、領民もろとも処罰する!」
「ご使者殿!まずは名乗られよ!あまりにも無礼であろう!我はシャムス帝国皇帝が孫、そしてエルドニア王国次期国王でもある!大神ミネルバが末裔!アルフレッド・シャム・エルドニアであるぞ!」
 そう、この国はミネルバ神の子がおこした国であると言われている。
 そして、一応効果があるかはわからないが次期国王と名乗っておく。
「これは失礼した!私は現国王アロン王が側近、ジェイガンと申す!」
 ファ○アーエ○ブレムのキャラの名前が出てきた。
 いわゆる序盤のお助けキャラである。
 そして、現国王と強調して言ってきた。
「ジェイガン殿!この首欲しくば、来たりてとたられるがよろしかろう!」
「……そちらの意思は承知した!では、望み通り取りに行って見せよう!」
 一度は言ってみたかった。
 スパルタ国王レオニダスがテルモピュライの戦いで言ったとされるモーロンラベ来たりてとれ
 圧倒的不利な戦いで敵に降伏を迫られた際に放った言葉だとされる。
 300の兵で大軍相手に戦った伝説の戦い。
 今の状況にそっくりだ。
 まぁ、こっちの方がまだましだが。
 相手の指揮官は馬を返し陣の中へと消えていった。
 敵の様子を見るにまだ陣形を整えていないように見える。
 まだ、攻めて来るには時間があると思われる。
 城内に戻り、やるべきことをやるとしよう。

「お呼びでしょうか?」
 ドアを開けセインが入ってくる。
 こちらには自分と母上のみがいる形である。
「あぁ、取り敢えず掛けてくれ。」
 対面に用意されていた椅子へ座るように促す。
 まるで面接である。
 セインは椅子へ座る。
「これより我らは敵陣へ向け突撃する。」
「突撃ですか!?」
 とても驚いている。
「畏まりました!で、では、すぐさま準備いたします!」
 席を立ち、部屋を出ようとする。
「いや、それには及ばない。」
 俺は手を挙げ合図する。
 するとセインが入ってきた扉から武装した者たちが入ってくる。
 俺の横にあった隣の部屋に繋がっている扉からも武装した者が入ってきて皆が武器を構える。
「若!これは一体!?」
 突然のことに身構えながら聞いてくる。
「突然だが1つ聞きたいことがあってな。」
「聞きたいこと?」
 俺は懐から数日前父上から届いた文を取り出した。
「この文は封が切られていなかった。なのにお前は内容を事細かく俺に伝えてきた。なぜ内容を知っていた?」
 文をセインの足元へと投げつける。
「ふ、文を受け取る際に内容も聞いたのです!だからお伝えすることが出来ました!それだけです!」
 恐らくそう言うように言われていたのだろう。
「ならばこれはどういうことか説明してもらおうか?」
 新たに文を取り出し内容を読んで見せる。
「親愛なるアロン王へ。アルフレッド様は軍勢を整え、迎え撃つ準備をしております。集められる兵は1000程は集められるでしょうが、500に留めておきます。戦になった際は機を見て私がアルフレッド様を討ち取りますので約定どおり領民に危害は加えず、その後の私の地位も約定通りにお願い致します。アロン王が下僕 セインより。」
 俺が文を読み上げるとセインは膝から崩れ落ちた。
 セインの顔を見るとこの世の終わりとでも言いそうな顔をしている。
 おそらく先程も部屋を出ていこうとしたのは敵軍にこのことを伝えるためだったのであろう。
「そ、それは何者かの陰謀です!私はそのような文、知りません!」
「お前が昨晩文を書いて何者かに渡しているのを見た者がいる。まぁ、その者は捕えようとしたら自害したから何者かはわからなかったがな。」
 セインは相変わらず絶望に満ちた表情をしている。
 が、直ぐに隠していたナイフを抜き俺に向けて刺そうと突進してきた。
 俺はそれを何もせず受け止める。
 高い金属音が鳴り響く。
「お前の行動は予測出来るんだよ。」
 セインのナイフが体に当たる。
 しかし、俺の体には傷一つ無い。
 服の内側に甲冑を着込んでいたからだ。
 念の為母上にも着てもらっている。
 ナイフを取り上げ投げ捨てる。
「くそ!」
 悔しさを口に出すセイン。
 これでもう言い逃れは出来なくなった。
「取り押さえろ。」
 周りの兵達が取り押さえる。
「ちなみにだがお前の父親、セイルズにも死んでもらうとする。」
「ち、父上は関係ない!殺すなら私だけにしろ!」
 必死である。
 恐らく家のためとか親のためとか色々言われて内通したのだろう。
 しかしそんなことは関係無い。
「災いの目は断たなければならない。息子を殺した男に誰がついてくる?」
「や、やめてくれ!頼む!」
 こいつとは俺がまだ幼い頃から付き従ってくれていた、いわば兄のような存在でもある。
 だが、こいつを許せば他に示しがつかない。
「あの世で自分の行動の軽率さを悔いろ。」
 俺は剣を抜きセインの首を切り落とす。
 人を殺したというのに何も感じない。
 複雑な気分だが、今はそんなことより大事なことがある。
 さぁ、これで不安要素は無くなった。
 後は思う存分戦える。
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