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草を喰む鹿も

それを襲う狼も

生を搾取する人間も

搾取される人間も


皆土になって

ただの栄養分になる


そこから生まれた木や花が

他の生命を育んで

その生命を他の生命が捕食して

その生命もやがてこの世界の土台になって


そんなやり取りが永遠と繰り返される世界

永遠に循環する箱庭の

私はほんの一部に過ぎない


どんなに苦しみ

咽び泣き

嗚咽を漏らして

他人に貶されて

生を謳歌しようとも


全ての終着点はただの土

その一握りの土に

一体どれほどの価値があるのか


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