悪魔の誓い

遠月 詩葉

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カネール

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「そうだ!僕が捕まる直前、男が水の中に石をいくつか投げ入れるのを見たんだ。」
「石?」
「うん。遠目からだったし確実なことは言えないけど…魔毒水晶だと思う。」
『魔毒水晶か…。それを取り除かない限り、根本的な解決には至らないだろうね。』
「魔毒水晶…それが、魔力を蝕む毒を?」
『そう。悪魔領でたまに取れて、半永久的に魔毒を排出し続けるんだ。と言っても微弱な量ではあるけど…水の中に複数入れて、それを摂取し続けるなら魔力を奪うには十分すぎるね。』

水の中にある水晶を取り出す方法…。潜るしかないのでは?でも、汚染されてる水の中に飛び込むのは危険だ。

「…なら、体全体を泡で包み込んで、酸素を中に供給出来れば…。」
「水と…風ですかね?」
「うーん…これは…新たに魔法を作らないといけないかも。でも、理論構築に時間がかかりすぎちゃう…。」
『要は、泡を結界のように使ってその中の空気を循環させれば良いんでしょ?そのくらいなら…一日くれれば組み立てられると思う。』
「え!?」
「…やっぱり、兄さんは凄いや。確か、昔もたくさん魔法を考えてたよね。」

た、たくさん…?もしかしなくても、ディルって天才なのでは…。そう言えば、四大魔公だか何とか言ってたし、実は私にとって遠い存在なんだ…。そう思うと、少し寂しく感じる。

「じゃあ、魔法の開発はディルに任せて、俺達は他の準備をしましょう。」
「あ、私はディルの手伝い…というか、魔法の作り方が滅茶苦茶気になるから教わりたいんだけど…。」
『そんな一朝一夕で作れるようになる訳じゃないけど…まあいいよ。』
「やった!ありがと!」
「それじゃあ、僕とそこの…。」
「セインです。」
「セイン兄ちゃんは準備を進めるから、よろしく。」
「任せて!」
『って、実際にやるのは僕なんだけど…。』

見てない知らない聞こえない。こう言うのはノリと勢いが大事なのだ。

「さてと、じゃあディル、まずはどうすれば良いの?」
『僕の場合はだけど、まず望む結果を細かく指定して、そうするにはどうすれば良いのか考えながら魔法陣を組むかな。』
「魔法陣…やっぱり組まなきゃだよねぇ…。」
『当たり前でしょ。というか、メノウは魔法陣の性質は知ってるの?』
「え?……あ、あはは…。」

束の間の沈黙。そしてため息。既存の魔法は既に魔法陣が存在してるからその回路の通りに魔力を通せば魔法が発動する。これによって何が起こるかって、魔法陣の仕組みを全く知らない魔術師が続出する。そう、私みたいに。

『まず、そこから説明する必要があるね…。』
「うう…面目ないです…。」

こうして、ディル先生による魔法陣講座が始まったのであった。
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