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リベート
29(side.??)
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「カルヴァーンが倒された…?」
まさかの事態に俺は暫し呆然としてしまった。カルヴァーンは危険度Aの魔物だ。使役するのにどれだけ手間取ったか。そんなカルヴァーンが制御下から外れた。俺は頭を抱える。
「くそっ!計画が台無しだ!どうする…どうする…!?」
いっその事、自分の手で直接…。そこまで考えて、頭を振る。今俺が相手の前に姿を現すのは得策ではない。それにここからリベートまで徒歩で数日の距離がある。カルヴァーンを制した人間が誰かわからない以上、迂闊には動けない。
「気が立ってるわね。」
「カリア…。」
気配もなく俺の後ろに現れたのは、四大魔公の一人、カリアだ。四大魔公とは、悪魔の中でも特に力が強い存在。大抵の悪魔はこいつらの命令に背けない。背いたところで消されるのがオチだからだ。しかし、数百年前からこの四大魔公の意見が二分されている。四大魔公のカリアやカーツが唱える、人間を抹殺しようとする過激派と、残りの二人が唱える、現状維持の穏便派。その勢力図はずっと均衡状態にあった。…十年前までは。
「あいつを抹殺してから、悪魔達の支持は過激派へと集まりつつある。そんなに焦らなくても大丈夫よ。」
「…お前が消したそいつは、人間に殺されたということにしてるんだっけか?」
「ええ。その方が人間に対する殺意が増幅するからね。都合が良いのよ。勢力図も崩せたし。」
ふふふ、と妖艶な笑みを浮かべる彼女の言動は、空恐ろしいものだった。こいつを敵に回すのは余りにも厄介。味方でよかったと心から思う。
「あなたをこちら側に勧誘してから、スムーズに準備が整ったわ。あなたの家柄のお陰かしらね?」
「…ふん。俺の家は性質上、貴族や商人に多くのパイプがあるからな。ちょっと弱みを突いたら面白いくらいにこちらに転がったぜ?」
「ええ。だから大丈夫。今回の作戦が成らなかったのは残念だけど、これはほんの序章なのだから。」
「ああ…。」
「それより次に移動しましょう?何時までもここに留まっている必要は無いわ。もう、仕込みは終わったのでしょう?」
「勿論、抜かりない。」
「じゃあ、私の転移術で次の街へ一気に移動するわよ。」
「本当に便利だな。」
「ふふ、それ程でも。」
銀色に輝くレイピアを腰に下げた男と青髪の女性、カリアは、その瞬間その街から姿を消した。
まさかの事態に俺は暫し呆然としてしまった。カルヴァーンは危険度Aの魔物だ。使役するのにどれだけ手間取ったか。そんなカルヴァーンが制御下から外れた。俺は頭を抱える。
「くそっ!計画が台無しだ!どうする…どうする…!?」
いっその事、自分の手で直接…。そこまで考えて、頭を振る。今俺が相手の前に姿を現すのは得策ではない。それにここからリベートまで徒歩で数日の距離がある。カルヴァーンを制した人間が誰かわからない以上、迂闊には動けない。
「気が立ってるわね。」
「カリア…。」
気配もなく俺の後ろに現れたのは、四大魔公の一人、カリアだ。四大魔公とは、悪魔の中でも特に力が強い存在。大抵の悪魔はこいつらの命令に背けない。背いたところで消されるのがオチだからだ。しかし、数百年前からこの四大魔公の意見が二分されている。四大魔公のカリアやカーツが唱える、人間を抹殺しようとする過激派と、残りの二人が唱える、現状維持の穏便派。その勢力図はずっと均衡状態にあった。…十年前までは。
「あいつを抹殺してから、悪魔達の支持は過激派へと集まりつつある。そんなに焦らなくても大丈夫よ。」
「…お前が消したそいつは、人間に殺されたということにしてるんだっけか?」
「ええ。その方が人間に対する殺意が増幅するからね。都合が良いのよ。勢力図も崩せたし。」
ふふふ、と妖艶な笑みを浮かべる彼女の言動は、空恐ろしいものだった。こいつを敵に回すのは余りにも厄介。味方でよかったと心から思う。
「あなたをこちら側に勧誘してから、スムーズに準備が整ったわ。あなたの家柄のお陰かしらね?」
「…ふん。俺の家は性質上、貴族や商人に多くのパイプがあるからな。ちょっと弱みを突いたら面白いくらいにこちらに転がったぜ?」
「ええ。だから大丈夫。今回の作戦が成らなかったのは残念だけど、これはほんの序章なのだから。」
「ああ…。」
「それより次に移動しましょう?何時までもここに留まっている必要は無いわ。もう、仕込みは終わったのでしょう?」
「勿論、抜かりない。」
「じゃあ、私の転移術で次の街へ一気に移動するわよ。」
「本当に便利だな。」
「ふふ、それ程でも。」
銀色に輝くレイピアを腰に下げた男と青髪の女性、カリアは、その瞬間その街から姿を消した。
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