悪魔の誓い

遠月 詩葉

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「と、言うわけで…。なんか私の案がすんなり通っちゃったんだよね。」

現在、セインと合流した私は、宿屋の一室にいた。買い物は既に済ませてある。即効性のある治癒ポーションと魔力ポーションもストック出来るだけ買った。そしてグループ内での話をセインに語っている最中というわけだ。

「…その、ずっと疑問に思っていたんですが…。」
「ん?なに?」
「メノウのその実践的な知識は何処で覚えたんですか?」
「んー。元々本を読むのは好きだったし、私の家には何故か戦闘に関するものや応用系の本ばっかりあったから。それに加えて、ディルと身体を共有してからは読書している最中にここは間違ってるだのこうした方が効率が良いだの、色々教えてくれてね。旅を始めた時も色々アドバイスをくれたから、いつの間にか身についてたみたい。」
「なるほど…。という事は、ディルさんはメノウにとって先生みたいなものなんですかね?」

ディルが先生…。ほわわーんと頭の中で学者帽を被って眼鏡を装着したディルが浮かび上がる。に、似合わない…。

『ちょっと、変な想像しないでよ。失礼だな。』
(ご、ごめん。)
「うーん、でも確かにそんなようなものかも。ディルには本当にお世話になってるし、感謝してるよ。」
『……。』
「あ、ディルが照れた~。」
「ええ?一度しか直に話した事はないですけど、彼が照れるなんて想像できないんですが…。」
『うっさいな、照れてなんかないよ!』

全く、ツンデレなんだから。でもそういう所がかわい…

『いい加減やめないと一時的に身体の所有権奪うけど?』

…ごめんなさい。

「ま、まあとにかく、私の知識は本とディルの受け売りなんだ。あと、魔力量は人より多めらしいよ。」
「そうですか…。でも、知識があってもいざと言う時体が動かないなんて事よくあります。だから、無理だけはしない事。」
「もう、分かってるってば!」
「では、約束してください。良いですね?」
「…うん、約束。」

こうして私達は指切りを交わした。子供の頃以来の小指に伝わる感触に、何となくこそばゆい感覚に陥る。

「あ、そろそろ夕飯の時間じゃない?行こうよ。」
「分かりました。丁度お腹も空いた所ですしね。」
「今日のメニューは何かな~?」
『食べすぎて動けないなんて事無いようにね。』
(ちょっと!そんな大食らいじゃないもん!)

…でも、三食食べるようになって体重は明らかに増加傾向にある。ちょっと複雑。
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