悪魔の誓い

遠月 詩葉

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「私はこのCグループを担当するシャーネよ。魔術師ランクはB。よろしくね。」

魔術師ランクとは、その名の通り魔術師の実力等級を表している。Gが最下、Sが最上で、Aはこの大陸で三十人、Sに至っては四人しかいない。つまり、Bランクはかなりの実力者ということだ。
因みに、戦闘業登録組合という業者が存在していて、魔術師ランクや剣士ランク等のランク分けと昇級試験はこの組合が一手に引き受けている。そこに登録している人間は言わずもがな全員戦いに生きる人達で、登録と同時に渡されるカードだけで身分証明が成ってしまう。そこから様々な場所に派遣される派遣者、まだ見ぬ景色を求め旅をする冒険者等色んなスタイルの人達がいる。依頼所とも提携しており、難易度の高い討伐依頼は折を見て組合に話が行ったりする、らしい。

 「早速だけど、このCグループは言わば妨害系の魔法を基本としたスタイルで行きます。攻撃系魔法を担当するBグループ、弓や銃を扱うAグループと連携して動いていくわ。そこで、Cグループは全部で三チームに分け妨害魔法を行使。チームaが魔法を使ったら速やかに後ろに周り、魔力を回復。その間にbが妨害、cが待機…。このサイクルで行くわ。そこで、相性の良い属性と魔法を扱う人達と組ませないといけないから、あなたから右回りに一人ずつ得意属性と魔法を教えて?」
「は、はい!僕は水魔法が得意で、霧を出す「ミスト」を媒介とした昇華魔法の「ベノムシャワー」が扱えます!」

おお~、と周りが軽くどよめく。昇華魔法とは、媒介となる魔術を下地として全く別の術式として行使することだ。これには想像力と細かい魔力操作が必要不可欠なので、扱える人は少ない。

「私は光が得意で、「ライト」を媒介にした「フラッシュ」が使えます。」

またもや昇華魔法。およよ、これはもしかして集まった人達皆実力者説…?
ライトは光源を出す魔法、フラッシュは目くらまし魔法だ。
その後もチラホラと昇華魔法を習得している方達が見受けられたが、七割くらいは普通の魔法だった。ちょっと安心。

「はい、それではあなたは?」
「あ、えと…得意魔法は…えーと、特に突出したものはありません!魔法も簡単なものなら一通り扱えると思います。」
「……。」

視線が痛い。突き刺さる。確かにこの流れで「得意な魔法はありません」なんて言ったら、何のためにここに居るんだってなるだろうけど。でも本当なんだ、それ以外なんて言えば良いんだ。 

「こほん…。あなた、名前は?失礼だけど、それだけじゃ判断に困るから扱える中でも高度な妨害魔法をいくつか挙げて貰えるかしら?」
「あ、はい…。名前はメノウ・リファリーです。代表的な魔法は、幻覚系の「フィーリングホロウ」や、麻痺系の「ルーレットパラライ」、地面を泥沼にする「エリアマーシュ」、水分を蒸発させる熱源を出す「サンライズ」、後は…。」
「ちょっと待った。も、もう良いわ。あなたの実力はよーく分かったから!それでは次!」

お?どうやらお眼鏡にかなったらしい。追い出されることがなくて一安心だが、先程とは違う意味の視線が集まっている気がする。気のせいだろうか。
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