悪魔の誓い

遠月 詩葉

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二人旅

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「さてと、どうしますか?」
「うーん…もう宿はチェックアウトしちゃったから…。どのみち次の町まで徒歩で三日くらいかかるし、もう出発しちゃおうかな?」

ここから次の目的地、リベートまでは街道をひたすら進まなければならない。確か途中にいくつか宿屋も点在しているはずだ。

「わかりました。それじゃあ、行きましょうか。」
「うん!」

それにしても…。まさか私が誰かと旅をすることになるなんて思いもよらなかった。あんな出来事があってから、皆に避けられるようになって…ずっと孤独だったからかもしれない。無性に泣きたくなってしまった。
例え過去を知らないからこそ一緒にいられるだけの関係だとしても、人知れず疲弊していた私の心には何か染み渡るものがある。

「…?どうかしましたか?」
「ううん、なんでもない!」

それでも…いつかは終わりが来る。きっと、そう遠くない未来、彼は離れていく。ならばそれまでは、仲間でありたいと思う。そんな私の願いを悟られないように、小走りになってセインを追い抜いた。

「早く早く!」
「そんな急がなくても町は逃げませんよ…。」
「ノンノン、町は逃げなくても宿の空き部屋は逃げてくのよ!」
「…ああ、確かに。」

これは一本取られました、と屈託なく笑う彼からは、先程の雰囲気を微塵も感じない。吹っ切れたのかどうかはわからないが、少なくとも今は気が抜けてる感じがした。

「さてと、この街道をひたすらまっすぐね。う~ん、見事に地平線。」

つまり要約すると、何もない。なさすぎる。

「まあとにかく、魔物が出ないとも限りませんし、ほどほどに警戒しながら進みましょうか。
「そうね…ここまで遮るものが何もないんじゃ、「サーチ」も意味ないだろうし。」
「サーチ?」

首を傾げながら説明を求めるセイン。

(あれ、そんなにメジャーな魔法じゃないのかな?)

凄く便利なのに、勿体ない。まさか知らないとは思わず、ちょっと得意になりながら説明する。

「えっとね、範囲内に存在する生命反応の位置を察知したり、簡易的に地形を把握したり出来る魔法だよ。ただし、生命体の種族とかはわからないから敵か味方か判断がつかないんだけどね。」
「なるほど…。そんな便利な魔法もあるんですね。」
「うんうん、そのお陰で大した怪我もなく今まで何とか一人旅出来てたってのもあるかな。」

実際、これがなければ今頃は生きていなかったかもしれない。だって攻撃魔法は使えないし、弓の腕前は人並みだし、そもそも遠距離武器だから接近されてしまえばもう絶望しかない。だからこそ、仲間になってくれたセインの存在はそれはもう有難い。神様だと崇め奉りたい程だ。

「まあ、これからは俺も頼ってくださいね。魔法は使えませんが、一通り武術は嗜んでるので。」
「へえ、てことは銃以外も扱えたり?」
「ええ、それなりには。」

なんと、とてもそうは見えない…なんて言ったら怒られるだろうか。

「じゃあ、期待させてもらいま~す!」
「転ばないように気を付けてくださいよ?」

クルリと半回転してセインの方を向いたら、そう苦笑いを零された。そこまで子供っぽかっただろうか。

「大丈夫です~!もう、早く行くよ!」
「はいはい。」
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