2 / 22
第一章キアマート帝国侵攻
第一話:目覚め
しおりを挟む
彼女は目覚める。
周りに心配する家臣や妹たちの見守る中。
「お姉さまっ!」
「おおぉ、気がつかれたようだ」
まだはっきりとしない頭でぼぉ~っと知っている天上を眺めている。
そして何が有ったか思い出す。
彼女の名前はアザリスタ=ピネリス・ラザ・フォンフォード、十九歳でレベリオ王国の第一王女でサラリーマン……
サラリーマン?
何それ美味しいのとかまだはっきりしない頭で思っている。
魔法学園は筆頭で卒業すると言う頭の持ち主であったが、流石に公衆の面前で婚約破棄されたことは堪えた。
恥ずかしさと悔しさと憤りがこみ上げてくる。
ついでにスカートの中身が短パンだった事も思い出し、更にムカついてくる。
……スカートの中身が短パン?
なんかさっきからおかしい。
そう思っても勝手にそんな言葉が頭に浮かんでくる。
「何なのですの?」
『いや、だからスカートの中に短パン穿いてるのってずるいと思わないか? JKのパンチらなんてそうそう拝めるもんじゃないのにさ』
つぶやいた言葉に誰かが答えた。
おかしいなと思い、もう一度周りを見る。
そこには実妹や腹違いの妹たちが心配そうに覗き込んでいる。
見慣れた顔の家臣もいる。
しかし先程聞こえて来た声は知っている者の声では無かった。
アザリスタはふかふかのベッドから起き上がろうとする。
「お姉さま! まだご無理をしてはいけません、落馬の折に頭を強く打たれたのですから!!」
「そうですお姉さま、今はお身体をお大事にしないといけませんんわ!」
「お姉さま、まだ横になられた方がいいですわ」
「お姉さまおいたわしや」
「姉さま大丈夫~?」
実妹であるロメスタやファリスアート、腹違いの妹フィアーナにアルバリナ、ベアトリアが一斉にアザリスタが起き上がるのをやめさせる。
レベリオ王国には世継ぎがいない。
その代わり見目麗しき可憐な姫君がたくさんいる。
だから王国は政略結婚を企て、隣国との強固な関係を築こうとした。
まったく、国王陛下は后を三人も抱えているのに弟の一人も未だ生れ出てこない。
可愛らしい妹も良いけど可愛らしい弟と言うのも良いものだ、いやむしろ弟欲しい、撫でまくって頬ずりしてこの豊満な胸に抱きかかえ可愛がりたい!!
アザリスタの知られざる性癖の妄想は誰にも聞かれる事は無かったはずだった。
『いやぁ、弟も良いがやはりここは妹だろう? こんなに可愛い妹に囲まれて俺は幸せだなぁ~』
「ちょと待つのですわ、さっきから誰ですの?」
やはりはっきりと聞こえてくる男の声。
まるで耳元で話しているかのように聞こえる。
アザリスタのはきょろきょろと周りを見るもののそれらしき人物はいない。
「お姉さま? どうしたのですか??」
「ロメスタ、きっとアザリスタお姉さまはまだ興奮されているのですわ。アザリスタお姉さま、今はとにかくお休みになられてくださいまし……」
実妹のロメスタはぎゅっとアザリスタの手を握る。
腹違いで一番年齢の大きなフィアーナもそっと二人の手の上にその手を置く。
はたから見れば美しい姉妹愛。
『いやぁ、美人の女の子に手を握られるだなんてうれしいねぇ~』
しかしまたもや聞こえるあの声。
「落ち着くのですわ、私。私は大丈夫、電波など聞こえないのですわ」
『電波言うなよ! 失礼な!!』
思わずそう自分に言い聞かすとあの声は不服そうにそう言う。
流石にこれにはアザリスタも驚き声をあげる。
「一体誰ですの!? 無礼者、この私をアザリスタ=ピネリス・ラザ・フォンフォードと知っての狼藉ですの!?」
いきなりそう叫ぶので周りの姉妹たちも家臣たちもびっくり。
「アザリスタお姉さま!?」
「お姉さま、お気を確かに!」
「お姉さま落ち着いて!」
「お姉さま!」
「姉さま怖いよぉ~」
姉妹たちはいきなりのアザリスタのその行動にどうして良いのか分からずおどおどとする。
するとアザリスタはハッとして大きく息を吐いて姉妹や家臣たちに言う。
「すみませんわ、まだ頭がはっきりしませんの。もう少し静かに休みたいので一人にしていただけますかしら?」
そう言うアザリスタに姉妹たちは顔を見合わせて何か言いたげではあったものの、長女の命令を無視するわけにはいかない。
なので何か有ったらすぐに呼んでほしいと伝えておずおずとこの部屋から出て行く。
そして誰もいなくなってからアザリスタはベッドから起き上がり言う。
「さあ、これで誰もいなくなりましたわ。出て来るがいいですわ!」
『いや、出るも何も俺はずっとここに居るんだが、あんたの中にな』
「へっ?」
アザリスタにあるまじき間の抜けた声が出てしまうのだった。
周りに心配する家臣や妹たちの見守る中。
「お姉さまっ!」
「おおぉ、気がつかれたようだ」
まだはっきりとしない頭でぼぉ~っと知っている天上を眺めている。
そして何が有ったか思い出す。
彼女の名前はアザリスタ=ピネリス・ラザ・フォンフォード、十九歳でレベリオ王国の第一王女でサラリーマン……
サラリーマン?
何それ美味しいのとかまだはっきりしない頭で思っている。
魔法学園は筆頭で卒業すると言う頭の持ち主であったが、流石に公衆の面前で婚約破棄されたことは堪えた。
恥ずかしさと悔しさと憤りがこみ上げてくる。
ついでにスカートの中身が短パンだった事も思い出し、更にムカついてくる。
……スカートの中身が短パン?
なんかさっきからおかしい。
そう思っても勝手にそんな言葉が頭に浮かんでくる。
「何なのですの?」
『いや、だからスカートの中に短パン穿いてるのってずるいと思わないか? JKのパンチらなんてそうそう拝めるもんじゃないのにさ』
つぶやいた言葉に誰かが答えた。
おかしいなと思い、もう一度周りを見る。
そこには実妹や腹違いの妹たちが心配そうに覗き込んでいる。
見慣れた顔の家臣もいる。
しかし先程聞こえて来た声は知っている者の声では無かった。
アザリスタはふかふかのベッドから起き上がろうとする。
「お姉さま! まだご無理をしてはいけません、落馬の折に頭を強く打たれたのですから!!」
「そうですお姉さま、今はお身体をお大事にしないといけませんんわ!」
「お姉さま、まだ横になられた方がいいですわ」
「お姉さまおいたわしや」
「姉さま大丈夫~?」
実妹であるロメスタやファリスアート、腹違いの妹フィアーナにアルバリナ、ベアトリアが一斉にアザリスタが起き上がるのをやめさせる。
レベリオ王国には世継ぎがいない。
その代わり見目麗しき可憐な姫君がたくさんいる。
だから王国は政略結婚を企て、隣国との強固な関係を築こうとした。
まったく、国王陛下は后を三人も抱えているのに弟の一人も未だ生れ出てこない。
可愛らしい妹も良いけど可愛らしい弟と言うのも良いものだ、いやむしろ弟欲しい、撫でまくって頬ずりしてこの豊満な胸に抱きかかえ可愛がりたい!!
アザリスタの知られざる性癖の妄想は誰にも聞かれる事は無かったはずだった。
『いやぁ、弟も良いがやはりここは妹だろう? こんなに可愛い妹に囲まれて俺は幸せだなぁ~』
「ちょと待つのですわ、さっきから誰ですの?」
やはりはっきりと聞こえてくる男の声。
まるで耳元で話しているかのように聞こえる。
アザリスタのはきょろきょろと周りを見るもののそれらしき人物はいない。
「お姉さま? どうしたのですか??」
「ロメスタ、きっとアザリスタお姉さまはまだ興奮されているのですわ。アザリスタお姉さま、今はとにかくお休みになられてくださいまし……」
実妹のロメスタはぎゅっとアザリスタの手を握る。
腹違いで一番年齢の大きなフィアーナもそっと二人の手の上にその手を置く。
はたから見れば美しい姉妹愛。
『いやぁ、美人の女の子に手を握られるだなんてうれしいねぇ~』
しかしまたもや聞こえるあの声。
「落ち着くのですわ、私。私は大丈夫、電波など聞こえないのですわ」
『電波言うなよ! 失礼な!!』
思わずそう自分に言い聞かすとあの声は不服そうにそう言う。
流石にこれにはアザリスタも驚き声をあげる。
「一体誰ですの!? 無礼者、この私をアザリスタ=ピネリス・ラザ・フォンフォードと知っての狼藉ですの!?」
いきなりそう叫ぶので周りの姉妹たちも家臣たちもびっくり。
「アザリスタお姉さま!?」
「お姉さま、お気を確かに!」
「お姉さま落ち着いて!」
「お姉さま!」
「姉さま怖いよぉ~」
姉妹たちはいきなりのアザリスタのその行動にどうして良いのか分からずおどおどとする。
するとアザリスタはハッとして大きく息を吐いて姉妹や家臣たちに言う。
「すみませんわ、まだ頭がはっきりしませんの。もう少し静かに休みたいので一人にしていただけますかしら?」
そう言うアザリスタに姉妹たちは顔を見合わせて何か言いたげではあったものの、長女の命令を無視するわけにはいかない。
なので何か有ったらすぐに呼んでほしいと伝えておずおずとこの部屋から出て行く。
そして誰もいなくなってからアザリスタはベッドから起き上がり言う。
「さあ、これで誰もいなくなりましたわ。出て来るがいいですわ!」
『いや、出るも何も俺はずっとここに居るんだが、あんたの中にな』
「へっ?」
アザリスタにあるまじき間の抜けた声が出てしまうのだった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
屋敷のバルコニーから突き落とされて死んだはずの私、実は生きていました。犯人は伯爵。人生のドン底に突き落として社会的に抹殺します。
夜桜
恋愛
【正式タイトル】
屋敷のバルコニーから突き落とされて死んだはずの私、実は生きていました。犯人は伯爵。人生のドン底に突き落として社会的に抹殺します。
~婚約破棄ですか? 構いません!
田舎令嬢は後に憧れの公爵様に拾われ、幸せに生きるようです~
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる