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第十四章:脈動

14-3アリーリヤ

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「あの、何故私たちの事を知っているんですか?」

 
 薄っすらと笑アリーリヤさんに私は私は思わず聞いてしまった。
 だって今日初めて、さっき会ったばかりなのにアリーリヤさんは私たちの事に詳しい。


「大魔導士杯で優勝したチームでしょ? あと、ティナの国の第一王女アニシア=ルド・シーナ・ティナ王女もいたわね」


 アリーリヤさんはそう言って前を見る。
 
 あ~、確かに。
 そう言えばあの大会で私たちのチーム、「エルフは私の嫁」チームは優勝をした。
 それは学園外にも知られていても不思議ではない。

「な、なるほど……」

 一応は納得できたけど、何故アリーリヤさんは私の隣に来て座るのだろう?

「でもアリーリヤさんなんで私の隣に……」


「ほらそこ! 私語は慎みなさい!! ここ試験に出すわよ!?」

 なおもアリーリヤさんに聞こうとしたらソルミナ教授に怒られた。
 確かに今は講義中。
 私は仕方なく、大人しく受講に戻るのだった。


 * * * * *


「あっ」

 受講が終わってアリーリヤさんに話をしようとしたらさっさと教室を出て行ってしまった。
 何となく彼女が気になってもう少し話を聞こうとしたのに。

「ねえリルって、もしかしてあの子の事が気になるの?」

「え? あ、あぁ、ちょっとね」

「なっ!? まさか一目ぼれ? 私と言う者がありながら浮気!?」

 いや、いつ私がヤリスとそういう関係になった?
 そのその浮気ってなによ、浮気って!?

「お姉ちゃん、あのアリーリヤさんって人が気になるんだ~」

「気になると言うか、やたらと私たちに詳しかったじゃない。さっき自己紹介でウェージム大陸から来たって言ってたのにここボヘーミャでの事も詳しいからちょっとね……」

「まあ、ここボヘーミャも一応はウェージム大陸だけどね~。大陸最南端の位置だけど」

 ヤリスがそう言うので思い出す。
 そう言えば学園都市ボヘーミャってウェージム大陸にあるんだった。

 四季がほとんどなく、何時も暖かい気候で季節感が無いからすっかり忘れてたけど、ここもウェージム大陸だった。

「じゃあ、なんでそんな回りくどい言い方なんかを……」

 私はそう思いながらソルミナ教授の研究室に行くためにノートなどをまとめてカバンにしまうのだった。


 * * *


「アリーリヤ? 確か一般の学生よ。成績は結構よかったわね、入試は一般の部では筆頭よ?」

 ソルミナ教授の研究室に行って聞いてみるとそう教えてくれた。
 なるほど、一般入試の子だったのか。
 入試の一般の部では筆頭と言うとかなり頭の良い人あんだろうなぁ~。

「もうリルったらずっとあの子に気を取られて! ほんとうに浮気ね!!」

「お姉ちゃんうわき~うわきぃ~」

「ルラ、あんた浮気の意味知ってるの?」
   
「知らないよ、ヤリスが言ってたから真似てみた~」

 この娘はっ!

「それよりリル、なんでソルミナ教授の所に来るのよ? エルフの胸を大きくする研究は頓挫していて駄目だったって結論になったんじゃないの?」

「ぐっ、そ、それはそうなんですがソルミナ教授が来いって言うから……」

 ソルミナ教授と一緒になって研究していたエルフの胸を大きくする研究は、エルフ族以外の相手と乳繰り合わないといけないらしい。
 どうやら植物で言う受粉効果と言うか、他の種族による刺激がエルフの身体に影響を及ぼすようだという事が分かった。
 
 しかし私やソルミナ教授にそれを実証する術はない。

 だって好きでもない異種族の人と乳繰り合うなんてとんでもない事だ。
 それに、ただ乳繰り合うだけじゃなく、その、何と言うか男女の関係にもならなければいけないらしい////////。

 正直そう言った経験が私もソルミナ教授も全くない。
 と言うか、そう言うのって本当に好きな人と夫婦になってからじゃないとしちゃいけない事だもん。
 ステキな旦那様に出会うまで絶対に操は守らなきゃいけないんだもん。

 そう、私とソルミナ教授はぐっとこぶしを握って頷いたものだった。

   
「じゃあ、なんでここへ?」

「それはね、アニシスからの依頼の為よ。アニシスから新型の魔晶石核を作るために精霊魔法が使える人事が必要なの。リルとルラは精霊魔法使えるでしょう?」

 いや、確かに使えるけどそれ程凄いのが使える訳じゃない。
 それでも精霊魔法が使える人事はエルフ族以外人族はほとんどいないから貴重になる。

「そう言う事ですか。アニシス様が必要とするなら協力しないとですね」

「あ~っ! リルまたひいき!! まさかリルって私よりアニシス様が良いの!? また浮気!?」

「お姉ちゃんうわき~うわき~」

「ちっがーうでしょうに!!」


 思わす叫ぶ私だったのだ。 

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