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第十三章:魔法学園の日々

13-14お部屋

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 私とルラはヤリスに連れられて彼女の部屋にやって来ていた。


「こ、これは……」

 是非とも私たちに見せたいものがあると言っていたヤリスの部屋には沢山の女神様グッズがあふれていた。
 そう、エルハイミさんの大人バージョン、女神様の姿の絵とか彫刻とかがいろいろと。


「うわぁ~エルハイミさんだらけ~」

「ふっふっふっふっふっふっ、どう? 凄いでしょう! こっちなんか女神様の姿じゃなくて本来の姿のエルハイミ様よ!!」

 そう言って奥のカーテンを開くとエルフの村で会った私たちと同じくらいの年齢っぽいエルハイミさんの肖像画が有った。


「ああっ! 始祖様!! いつ見てもお美しい。あなた様の血がこの私に出た事を心より感謝します!!」


 ぴょこっ!


 そう言ってヤリスは体をうっすらと輝かしこめかみの上に三つずつのあの癖っ毛を出す。
 本来ヤリスはこっちの姿が本当で、「覚醒者」とか呼ばれるエルハイミさんの血が濃く出た存在だとか。
 「覚醒者」はその外観に反して普通の人では考えられない身体能力や魔力を保有してさながら超人の様になる。
 
「ヤリス、地が出てるのですけど……」

「おっと、いけない。興奮しちゃった。でもすごいでしょ、私のコレクション!」

 いや、凄いは凄いけどなんでまたエルハイミさんばかり……
 そんな事を思っているとヤリスはいつもの青髪の美少女に戻る。

 そして私たちの目前でいきなり服を脱ぎ始めた。


「ちょ、ちょっとヤリス何やってんですか!?」

「え? 着替えよ着替え。いちいち使用人呼んで着替えるの面倒くさいじゃない。それにリルやルラに見られても平気だし、むしろそのままもっと仲良くなりたいなぁ~♡」

「ん~? またヤリスあたしのおっぱい触るの?」

「いいの!?」

「駄目に決まってます! ルラもヤリスにおっぱい触らせない!!」


 こいつら、まさかそう言う関係じゃないでしょうね?
 「ぶぅ~」とか言いながらヤリスはさっさと服を脱ぎ下着姿になる。
 ちなみに胸当てしてなかったので大きな胸がたゆんと揺れている。


「くっ、やっぱりうらやましい……」

「ん? 何リル、触りたい?」

「違います! ヤリスはその、大きいから私の苦悩なんか分からないでしょうに……」

 からからと笑いながらヤリスは服を着る。
 そして私たちを呼び寄せて部屋に設置されているソファーに座るように言う。


「だから、この後相談なんだけど、リルとルラ本気で私の後宮に来ない?」

「あの、ヤリス後宮の意味知ってます?」

 真顔でそう言うヤリスに私は軽くため息を吐いてから聞く。
 するとヤリスはにまぁ~っと笑って小声で言う。

「知ってるわよ、女の子同士で裸のお付き合いする所でしょ? とってもいいことする場所だって聞いたわよ。気持ちいいらしいしね~」

「あの、本来後宮って王様とかが世継ぎを設ける為の施設なんですけど……」

「え? お父様の子作りする所だったの!?」

 おーいぃぃぃっ!!
 言い方ぁっ!!
 ストレートすぎるって!!

「ヤ、ヤリスもしかして知らなかったのですか……」

「いや、エッチな事も出来る場所だって聞いてたけど、世継ぎを作る為のモノだったなんて…… じゃあ、あたしの後宮はどうなるの!?」

「知りませんってば! と言うか私たちは入りませんからねそんな所!! 大体にしてなんでヤリスは女の子が好きなんですか?」

 考えてみればなんでヤリスは女の子に興味を持っているのだろう?
 普通はこの位の歳になれば異性の方が気になると言うモノなのに。

「うーん、なんでって言われてもなぁ~。始祖母エルハイミ様に会ってからかな、すっごくきれいで優しくて。男なんかよりずっと強くて……」

「そりゃぁ、相手は女神様やってますからね……」

 確かにエルハイミさんのあれはずるい。
 エルフの私たちより可愛らしいし、美人だ。
 そのうえ胸だってしっかりと大きい。
 
 女神様やってるのだから当たり前と言えば当たり前なんだけど……


「シェル様も何度か来て下さって覚醒した私の力を押さえる方法を教えてくれたけど、あの晩のことが忘れられないのよ///////」

「はいっ!?」

 赤くなって頬に手を当てていやんいやんするヤリス。
 ちょっと待て、まさかシェルさんヤリスにまで手を出しているのか!?
 エルハイミさん一途じゃなかったのかぁっ!?

「シェ、シェルさん一体何をしたのよ……」

 いまだ目をつぶって頬を赤く染めいやんいやんしているヤリス。
 もしかしてヤリスの性癖を曲げたのはシェルさんなのか?


「お姉ちゃんこのクッキー美味しいよ~」

「ルラは私のこのクッキーもあげるからちょっとそっちに行ってなさい」

 私はヤリスの両肩に手を載せて言う。

「シェルさんが何したか気になるけど、ヤリス女の子同士では不毛ですよ? うちのユカ父さんとマーヤ母さんを見ていれば分かるでしょう?」

「でも女神様のお力を借りれば大丈夫なんでしょう? 子作り出来るって聞いたわよ?」

 だぁーっ!!
 エルハイミさん、あなたって人はぁっ!!

 ダメだこの世界。
 おかしいよ本当に。


「そうそう、それで今晩は晩餐会が開かれるからリルとルラにもドレスを準備しなきゃだよね。誰か」

 ヤリスがそう言って手を叩くとメイドさんたちが入って来た。
 さっき脱ぎ散らかしたヤリスのドレスとかも回収して一番偉そうな人がヤリスの横に来る。

「何でしょうか?」

「今晩の晩餐会にこの二人のドレスを見繕って。私とおそろいで!」

 ヤリスがそう言うとそのメイドさんは「かしこまりました」と言って頭を下げてからぱちんと指を鳴らす。
 するとメイドさんたちが私とルラを取り囲んで引っ張っていく。


「えっ、えっ、ええぇっ!?」

「うーん、何ぃ~?」


 私とルラはメイドさんたちに連れられて奥の部屋でお着換えを始めさせられるのだった。


 * * *


「へぇ、やっぱりエルフ族だから似合うわね~」

「ううぅ、下着まで脱がされた……」

 メイドさんたちは私とルラの衣服を引っぺがし、下着まで脱がした。
 勿論その後新しい下着を穿かせられ奇麗なドレスを何着か着せられ、その都度ヤリスに確認で見せると言う着せ替え人形状態だった。


「ねぇ~ヤリス、もう着替えなくていいよね?」

「うん、ルラも似合ってるわよそのドレス」

 今はヤリスも同じドレスを着ている。
 緑を基調としたドレスは胸元に淡い色の緑のリボンが大きくつけられている。
 私もルラも髪の毛を私が右、ルラが左に高く巻き付けられている。
 
 ヤリスは胸が大きいからリボンではなく肩から胸元まで薄緑の透明の羽織をしている。


「ふっふっふっふっふっ、これでアニシス様にも私とリルたちの中が進展している事をアピールできるわね!」

「なんですかそれは?」

「この国では同じドレスを着ると言う事は、それだけ仲がいいって証拠よ! そのまま添い遂げてもいいって意味なのよ!!」

「脱ぎます!」


 力説するヤリスに私は思わずドレスの胸元を掴み服を脱ごうとする。

「あああぁぁっ! もう晩餐会始まるからダメぇっ!」

 慌ててヤリスは私に縋り付く。
 一瞬奇麗なドレスで喜んだ私がバカだった。


「お姉ちゃん、もうどうでもいいよ~。お腹すいた。早くご飯食べに行こうよぉ~」

 しかしルラはそんなことお構いなしにドレスのすそを持ち上げて扉の方へ行く。
 私は大きなため息を吐いてから仕方なしにそのまま晩餐会へと向かうのだった。


 * * * * *


「馬子にも衣裳ですね。リルもルラもとても良く似合ってますよ」


 会場へ行くと既にファイナス長老やソルガさんも着替えていた。
 ファイナス長老も見た目は二十歳ちょっとの女性だから着込んだ紫のドレスがとてもよく似合っている。
 ソルガさんも心なしか凛々しく見えるような服装なのでちょっと驚いた。
 ソルミナ教授が見たらそのまま押し倒していたかも。


「まぁまぁまぁ、リルさんもルラさんもとても奇麗ですわ~」

 ファイナス長老、ソルガさんと話をしていたらアニシス様が来た。
 こちらも真っ赤なドレスで美人だからとても人目を引く。
 エルフより白いのではないかと言う肌を惜しげもなく露出し、あの大きな胸も胸元が大胆に開いているのでたゆんたゆん揺れている。
    
「ヤリス、お二方と同じドレスと言う事は……」

「はい、アイシスお姉さま。リルとルラは私の恋人です!」

「違いますから!」

 後ろから紺色の大人のドレスのアイシス様が来た。
 更にその後ろにはミリンディアさん、エレノアさん、ハーミリアさん、クロアさんもそれぞれのドレスを着てやって来ていた。

 私はヤリスの言葉を即否定する。
 まったく、既成事実でも出ってあげるつもりか?
 
 私が肩で息をしていると、アイシス様はにっこりと笑てアニシス様に言う。

「そうですか。良かったですねアニシス」

「ほんと良かったですわ~、もうヤリスにリルさんとルラさんを寝取られたかと思っちゃいました~」

 いや、無いからそんな事!
 まったくこの人たちは……

 
 私が呆れていると王様がやってきたようだ。
 王様が来場する声が上がるとみんな一斉にそちらを見る。

 そしてカムリグラシア王が悠然とやって来た。


「此度はささやかであるが晩餐会を用意した。明日より始まる本議会で皆も忙しくなるだろう。今宵は十分に楽しんで英気を養ってもらいた」


 そう言って手渡された杯を掲げる。
 私たちも近くにあった飲み物を掲げてそれに応じる。



 こうしてささやかと言う言葉に似つかわしくない晩餐会と言う宴が始まるのだった。

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