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第十三章:魔法学園の日々

13-9ゲート

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 なんだかんだ言ってファイナス長老がやって来た。


「わざわざユカが出迎えに来る事は無かったのに」

「そうもいかないでしょう、ファイナス市長が正式にガレント王国を訪れるとなれば」

 学園の地下室にある沢山のゲートの中の一つが輝き、ファイナス長老とソルガ戦士長がやって来た。
 それを学園長であるユカ父さんやマーヤ母さん、ソルミナ教授にあたしとルラで出迎えていた。

 ファイナス長老は私たちの顔を見て頷いてから言う。


「リルにルラ、マーヤやソルミナも元気そうで何よりです。変わりはありませんか?」

「問題無いですよ~、二人もいい子だしやっと私たちの事をお母さんって呼んでくれるようになったんですよ~」

 マーヤ母さんはにこにこ顔でそう言う。
 
「わ、私も問題無いです。兄さんお久しぶりです」

「ん、ソルミナも変わりが無いようで安心したよ」


 ファイナス長老に返事してすぐにソルミナ教授もそう言いながらソルガさんの前に行くのだけど、その服装が……
 胸元が強調と言うか、大きく開いたそこに思い切り寄せて上げてをしたおっぱいが有った。

 流石に大人のソルミナ教授。
 ちっパイでも寄せて上げればそこそこ見た目は大きくなる。
 しかも胸元が大きく開かれたそれはうっすらと谷間が出来ている!

 くっ、何もしなければ揺れる事さえ怪しい胸なのに、流石は成人エルフ。
 私はその努力に心の中で賞賛の拍手を送るのだった。

 と、私もファイナス長老に挨拶をする。

「ファイナス長老、お久しぶりです。村のみんなは元気ですか?」

「ファイナス長老お久しぶり~」


「リルにルラ、村は相変わらずです。みんな元気にしてはいますが……」


 そこまで行ってファイナス長老は少し暗い表情をする。

「とにかくこちらへどうぞ」

 ユカ父さんはそう言って私たちをここから学園の応接室へを連れて行くのだった。


 * * *


「やはり間違いは無いようです。ジュメルが動き出しています」


 お茶を配り、一口飲んでからファイナス長老はそう切り出した。
 事前に話は来ていてもやはりファイナス長老の口から直接そう聞くとみんなに動揺が走る。
 ユカ父さんはそれを聞き静かに湯呑をテーブルに置いてから聞く。

「やはり事実でしたか。しかしいくら中古とは言えガレント王国の『鋼鉄の鎧騎士』が破壊されるなど、今のジュメルにそれ程の力が?」

「渡りのエルフからの連絡です、それにイージム大陸での話も考えるとまたジュメルが力をつけて来て動き出したと考えるのが妥当でしょう」


 イージム大陸って……

 そう言えば何度かジュメルとか言う面倒くさい人たちがいたな。
 特にドドスの街にいたアンダリヤとかって人は厄介だった。
 私がそんな事を思っているとファイナスっ長老は引き続き話始める。

「ジュメルは新生七大使徒などと呼ばれる指導者を頭に活動が活発化しているようです。しかし、渡りのエルフ、カリナからうち一名は捕らえたとの報告です。リル、ルラはこの話を知ってますね?」

 いきなり話を振られた。
 カリナさんからって言うと、あの「天候の塔」で指輪掲げて大騒ぎしていた人かな?
 
「えっと、なんか指輪掲げて騒いでいた人ですか? 確かにあの後はカリナさんたちが捕らえてましたけど……」

「そこからの情報です。他にもアルーク、イリカ、ドワッジ、テジェロ、ベルスマットと言う連中が世界に散らばっているようです。それと、女神信教からの連絡で既にアンダリヤと言う使徒は滅ぼされたと聞いています」

 あー。
 確かにあの人はジッダさんの仇だった。
 最後にルラにやっつけられ爆発して消えちゃったけど。

 ジュメルって厄介なのが多いなとか思い出していると、ファイナス長老は眉にしわを寄せながら続ける。
 
「しかし問題はスィーフで現れた者は人ならざる姿と聞いています。それが自分の何倍もある『鋼鉄の鎧騎士』を倒したとなると、今後脅威となると思います。ジュメルの怪人では無さそうですし……」

「それでガレント王国へ行くというのですね? 連合軍を動かす為に」

「そうです。世界はやっと落ち着き平穏を手に入れ始めたというのにまたこの世界を動乱に巻き込むわけにはいきません。我々エルフとしてもこの問題は対岸の火では無いのです」

 ファイナス長老はそう言って湯呑を持ち上げる。
 そしてお茶をもう一口飲んでからユカ父さんに言う。


「それと、ジュメルたちの話の中に出て来た双子のエルフとはリルとルラの事だと思います」


「はいっ?」


 ユカ父さんが何か言う前に私は変な声を出してしまった。


「ファイナス市長、それは一体どう言う事ですか?」

 ユカ父さんはそれを聞きずいっと前に出る。
 その様子を見てファイナス長老も私やルラを見てから言う。

「どうやらジュメルはリルとルラのその力を狙っているようなのです」

「リルとルラの力?」

「そう、女神様にも引けを取らないそのスキルをです」




 ファイナス長老のその言葉にこの場にいるみんなが絶句するのだった。
 
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