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第九章:道に迷う

9-14封印の場所

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 ルラがチートスキル「最強」を発動させながら走り出した。
 

「ルラっ! 一人じゃ!!」

「大丈夫、あたしは『最強』なんだもん!!」


 まったくあの娘は人の言う事を聞かない。
 いくらルラがチートスキル「最強」を持っていても多勢に無勢だってこともある。

「もう、ルラったら!」

 そう叫びながら私も駆け出す。
 いくらなんでも心配だもの。


「リルさんルラさん! 長老、私たちも!!」

『おうさね! 皆の衆いくだでよ!!』


『『『おうさねっ!』』』


 どうやらイリカさんやオーガの皆さんも来てくれるようだけど、相手はあのサイクロプス。
 しかも複数いる様で近くまで行ったら数体がうごめいていた。

 いや、なんか増えている!?


「イリカさん、あれってもしかして封印してあった場所ですか?」

「えっと、近いです。正確な場所は分かりませんが封印はこのひょうたんと同じものでおこなっているらしいです」


 走りながらイリカさんに聞くとやはり封印の場所に近い。
 もしかしたらここが七万もの巨人族を封印した場所なのだろうか?


「イリカさん、ここが七万の巨人族を封印した場所ですか!?」

「封印は数か所、合計で七万のはずです。各封印場所はどのくらいいるかは分かりません!!」


 となると、ここに封印されているのは多いか少ないかもわからない。
 でも今はとにかく目の前のサイクロプスたちを倒す事に集中しないと!


『ぐろ?』

『ぐろっほ、ぐろろろろろろっ!』

『ぐろぉおおおおおぉ!』


 どうやらサイクロプスたちもこっちに気付いたようでこん棒や岩を持ってこちらに攻撃をして来た。
 
「なんのっ! ぱーんち!!」


 ばごぉっ!


 先頭を走っていたルラに大岩が投げつけられるけどルラはそれいとも簡単に粉砕する。
 そしてそのまま一番近いサイクロプスに飛び蹴りをかます。


「必殺きーっく!」


 ぼごっ!


『ぐろぼっ!』


 ルラに飛び蹴りを喰らったサイクロプスは体をくの字に折り曲げて吹き飛ばされる。
 それを見た他のサイクロプスたちはルラを強敵と見たか一斉に襲いかかる。


「ルラっ!」

「なんの! あたしは『最強』!!」


 押しよるサイクロプスたちだったけどルラはそん攻撃をことごとくかわし、一体ずつ強烈な拳や蹴りを入れていく。


 どがばきぼがっ!!


 そして殴り飛ばされたサイクロプスたちにオーガたちが群がり止めを刺す。


 どすどすどすっ!


『うっしゃー! とっただおぉ!!』


 最初のサイクロプスより全体的に小さい。
 多分「鋼鉄の鎧騎士」くらいの大きさ。
 だからなのか槍や剣も彼らの肌を突き破りトドメがさせた。


「あそこです!!」

 イリカさんがそう叫び指さす先は岩の割れ目からどう考えてもサイズが違うのにサイクロプスたちが出て来ていた。
 どうやらあそこが封印の場所。

 だったら!


「イリカさん、封印のひょうたんを! ルラ、援護して!!」


 私とイリカさんはルラを呼びつけ次々とサイクロプスが出て来る岩の割れ目に駆け寄る。
 そしてイリカさんはあのひょうたんの栓を抜いて呪文を唱え始める。


「魔王様の残したこのアイテム、行きます!! 【吸封印】!!」


 イリカさん力ある言葉を発し、その口先をサイクロプスたちに向ける。


 きゅうぅぅううううぅうぅうぅぅ~


『ぐろ!?』

『ぐろろろろろろろろっ!?』

『ぐろ、ぐろっ!!』


 ぎゅいぃんっ!!


 魔法のひょうたんはその効力を発揮して目の前にいるサイクロプスたちをあの小さなひょうたんの口に吸い込む。
 まるでおとぎ話に出て来るあのひょうたんそっくりに!

「すごい、このひょうたんどんどん巨人族たちを吸い込んでいく!」

 が、その効力を受けない角度から漏れ出たサイクロプスがイリカさんのすぐそばに現れる。


「イリカさん!!」

「あたしは『最強』! はぁっ!」


 ばきっ!


 いきなり現れた二メートルちょっとの小型サイクロプスだったけどルラがすぐに来てくれて蹴り飛ばし、イリカさんのひょうたんの前に転がす。
 すると他のサイクロプス同様にすぐにひょうたんに吸い込まれていった。


「あ、ありがとうございます、ルラさん」

「へへへへ~。あたしが守ってるから大丈夫だよ。それよりイリカさんまだ出て来るの?」

 見れば岩の割れ目から出てきたサイクロプスは最後の一匹をひょうたんに吸い込まれてからもう出てこなくなっていた。

 イリカさんはひょうたんの効力を止め、栓を閉める。

 
「どうやらここは落ち着いたようですね。この予備のひょうたんが何処まで巨人たちを吸い込めるかは分かりませんが他の封印も早急に確認にいかないと」

 そう言ってひょうたんを大事そうに抱きしめるイリカさん。


「ねえ、これってそれと同じものなのかな?」

 先ほどのサイクロプスたちがあふれ出していた岩の割れ目からルラがひび入ったひょうたんを持ってくる。
 だいぶ色がくすんでうっすらとこけなんかが生えていたけど間違いなくこのひょうたんと同じものだ。

「残り四つ、感覚ですがここで一万くらいのサイクロプスを吸い取ったと思うので残り六万ですか……」

「でも他のが必ず封印が解けているって訳じゃないですよね? だったら間に合うんじゃ?」

「そうですね、次の場所へ急ぎましょう!!」



 そう言うイリカさんに私たちは相槌を打って次なる封印の場所へと向かうのだった。
    
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