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第八章:ドドスでのエルフ料理?
8-14秘密結社ジュメル
しおりを挟むバーグさんと言う神官の口から出た衝撃の言葉に思わず固まる私とルラ。
エルフの村でも顔見知りのジッタさんと言うエルフの人が殺された?
「ちょっと待ってください、なんでジッタさんが殺されるんですか!?」
私は思わずバーグさんに詰め寄る。
「そうだよ、なんでジッタさんが!!」
ルラもそのあまりの事に同じくバーグさんに詰め寄った。
「まあ落ち着いてくれ。順に話す。まずあんたらエルフの姉妹が特殊な力を持っているってのはジュメルの情報から知った。シェル様の事もあるからあんたらエルフにはそう言う特殊なのが稀に生まれるのだろうくらいに思っていたら、あんたらの力は女神様にも匹敵するって事らしいじゃないか?」
そう言って煙草を灰皿に押し付けて三本目の火を消す。
私とルラは言われた内容に思わず黙り込んでしまう。
「でだ、俺らの女神信教も西の大陸の聖地ユーベルトとそれ程交流がある訳じゃなくてな、世界的に信仰をされている女神様だがその組織力はまちまちさ。唯一その力が世界規模で及んでいるのがあのシーナ商会。俺らとシーナ商会はここドドスで手を組んだって訳さ。だからシェル様がここドドスへ女神様をお連れした。おかげでここドドスは数年に一度女神様にお会いできる場所として大いに発展をしたのだがな」
言いながら四本目の煙草を取り出しくわえるけど火は付けない。
「おかげで俺みたいな雑用係も必要になったって訳さ。だからいろいろと情報が入ってくるって訳だ」
「……ドドスの女神信教とシーナ商会が繋がっていると言うのは理解しました。そしてその組織力で私たちの事を知ったと言うのも。でもジッタさんが殺されたって言うのはどう言う事ですか?」
「それはあんたらエルフが特殊な魂を持っているからさ。もうわかっているだろう? ジッタと言うエルフがどうやって殺されたか?」
そう言いながら火の付いていない煙草をぐしゃっと灰皿に押し込む。
それはこの疲れた様子の神官が一瞬見せた感情だったのかもしれない。
「『賢者の石』ですか…… アンダリヤの作っていた『賢者の石』にジッタさんは魂を取られたって言うんですか?」
「ご名答だ。まさかエルフが標的になるとは思ってもみなかったがな。もともとここドドスでは女性ばかりが失踪していたと言う事件があったんだが、ジッタが殺されてからは失踪事件も無くなった。そしてあの店が出来た」
つまり私たちがもっと早くドドスに来ていればジッタさんは死なずに済んだかもしれないと言う事だ。
「ジュメル!!」
ルラはそう言ってこぶしを握って立ち上がる。
そして私を見て言う。
「お姉ちゃん、ジュメルの連中をやっつけに行こう! 許せない、ジッタさんを!!」
「ルラ、落ち着きなさい。多分ジッタさんを殺したのはアンダリヤよ。あの『賢者の石』を作るのにジッタさんは犠牲になった。そしてその後また『賢者の石』を作ろうとして私たちに壊滅させられた。そして『鉄板亭』の強襲時にアンダリヤは言っていた、他の支部から応援を呼んだって。だから今はここドドスには奴らの拠点がないかもしれないわ……」
実際あの豊胸の店の地下施設もなにも私たちによって壊滅した。
他にアジトみたいなのがあるかどうかは分からないけど「鉄板亭」に乗り込んできた時点では戦力がほとんど無く他の支部から支援を受けていたみたいだった。
「あんたの言う通り今はジュメルの連中の拠点はこのドドスには無くなった。しかし連中は叩いても叩いてもまた湧いて出て来る。全く余計な雑用ばかり増やしてくれる」
バーグさんはそう言って懐から封筒を取り出す。
「これはあんたらに持って行ってもらいたい、ジッタと言うエルフの遺髪だ。既に精霊都市ユグリアのフィナス市長には連絡を取っている」
「ファイナス市長? ファイナス長老と連絡が取れるんですか!?」
バーグさんの言ったそれは連絡のつけようがなかったファイナス長老と連絡が取れると言う事であった。
私やルラはまだまだ未熟でエルフのネットワーク、風の精霊によるメッセージの送信も受信も出来ない。
人の街などでもエルフ族に対して風のメッセンジャーは設置されておらずやはり連絡の取りようがなかった。
しかしここドドスでは精霊都市ユグリアとの連絡が取れると言う事らしい。
そして思い出すのが精霊都市の市長はエルフの長老の一人、ファイナス長老がやっていたと言う事を!
「ファイナス長老に連絡が取れる……」
それはカリナさんたちから離れ私とルラの二人だけでエルフの村へ向かう心細さに一筋の光が差し込んだ気がした。
「あの御仁もあんたらの事は気にしていたが、今回のジッタの件で少し考えが変わったようだな。悪いがあんたらの力については暴露させてもらった」
「えっ!?」
「ばくろって、秘密の力の事教えちゃったの!?」
バーグさんのその言葉に私もルラも驚きを隠せなかった。
エルフの村ではこの力は絶対に秘密にしようとしていた。
そしてカリナさんからもそうする方が良いと言われた。
だからカリナさんもこの力については秘密としていたのに……
「あんたらの力は特殊過ぎるんだよ、ジュメルの連中が目をつけるほどにな……」
そう言いながら又たばこを取り出し今度は火を付けるバーグさんだったのだ。
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