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第七章:夢の中で
7-3操られるルラ
しおりを挟むジュメル七大使徒の一人、魅惑のアンダリヤはルラに命令を下す。
するとルラはゆらりと立ち上がりぼうっとした表情のまま私を見る。
「ルラ?」
「ふふふふふ、そっちのエルフは完全に我が術中に落ちた! さあこのエルフの小娘を捕らえるのだ!!」
魅惑のアンダリヤはそう言ってルラに命令をするとルラはゆらりと私の方へ歩いてくる。
まさか本当に操られている!?
「ルラ! ちょっと、ルラってば!!」
私がどんなにルラを呼んでも反応がない。
それどころか両の手を前に差し出し私を捕まえようとして来る。
「ルラっ! くっ!!」
壁際にじりじりと下がる私。
逃げようにも出口は魅惑のアンダリヤの後ろの扉一つ。
このままでは操られたルラに捕まっちゃう!
「ふははははははっ、エルフの魔力は人族より多い。当然その魂も内包する魔素が多いからさぞかし『賢者の石』を作るのに役立ってくれるだろうね!」
「『賢者の石』って、そんな物が人の手で出来るって言うの!?」
魅惑のアンダリヤはそう言いながら笑って私を見る。
「賢者の石」とやらはどうやら人工物のようだけど、カリナさんたちから聞いた話だと女神様から人類が授けられた伝説の三種の神器の一つだったはず。
それが人の手で作り出せる?
私がそう疑問に思っていると魅惑のアンダリヤは更に高笑いをして勝手に説明を始める。
「おーっほっほっほっほっほっ! 我がジュメルの技術は世界一ぃ! 代々研究を重ね魔力の根源がマナの中にある魔素だと言う事は突き止めた。そしてその魔素が一番豊富に内包されているのが魂よ! その魂を材料に一番搾りで濃縮還元無濾過中どりの純魂魄を凝縮して作り上げたのがこの真紅に輝く『賢者の石』なのよ!!!!」
聞いてもいないのにべらべらと説明してくれるので、この人工「賢者の石」がもの凄く危なっかしいものだと言う事は分かった。
そしてこのまま捕まると私もその素材にされてしまうと言う事も良く分かった。
「くっ、このままじゃ私も『賢者の石』の素材にされてしまうって事ね!?」
「くっくっくっくっ、理解が速いわね? お利口さんは好きよ。さあ観念なさいな!」
余裕を見せる魅惑のアンダリヤ。
逃げ場のない私。
迫り来るルラ。
「ここまでか!?」
私が覚悟を決めたその瞬間ルラの手が迫る!
むにゅっ!
「きゃっ///////!!」
ルラの手は私の胸に当てられてもにゅもにゅとうごめく。
「むにゃむにゃ~お姉ちゃんおっぱい大きく成ってなぃ~」
「ちょ、ちょっとルラぁ///////!!」
何と私を捕まえるはずのルラは寝ぼけたように私の胸を揉んでいるだけだった。
そして気が付く。
施術の為上半身裸だった私はそのままだったので見事にその胸をさらけ出していた!
「あら、そう言えば胸はそのままだったわね。ふふふふっ残念ねそんな小さなものだなんて」
かっちーん!
勝ち誇る魅惑のアンダリヤ。
その態度と言動にもの凄く頭にくる。
「くっ! これでも『育乳の女神様式マッサージ』でわずかに大きく成ったんだもん! あんっ♡ ちょ、ちょっとルラやめて、そんなに揉まないでってば///////」
馬鹿にしてくる魅惑のアンダリヤに最後の抵抗とばかりに噛みついてみるも、ルラの奴しつこく胸を揉んでくる。
「ふふふふふっ、負け犬の遠吠えね。この私の素晴らしき胸の比ではないわ!」
「ぐっ! こらルラ! いい加減に目を醒ませぇ!!」
頭や肩を押し退けてもルラは私の胸を揉むのをやめない。
しかもなんか上手だし……
「くっ、このままじゃ///////」
「このままじゃなにかしら? おーっほっほっほっ!!」
頬を赤くする私に高笑いする魅惑のアンダリヤを見ながら私は思う。
そう言えばルラは操られているんだった。
それはあの「賢者の石」の力なんじゃないだろうか?
だったらあの神父の時のように!!
「『消し去る』!! 」
「へっ!?」
最後の力を振り絞ってチートスキル「消し去る」を発動させる。
それは照準を定めた通り魅惑のアンダリヤの指についていた賢者の石の指輪を消し去る。
きゅっ!
「んぁっ♡ ちょ、ルラぁつまむなぁそんなとこっ///////!!」
思わずビクンと体が震えてしまったけど、それを最後にルラの動きが止まる。
そして顔をあげて私の顔を見てからきょろきょろと周りを見渡す。
「あ、あれ? あたし何してたのかな??」
「いいからその手を退けなさい! それとつまむなそんなとこ!!」
どうやら正気に戻ったようだけど、まだ私の胸から手を離してくれない。
それに気付いたルラは私の胸を見てからもう一度揉む。
ふにっ!
「んぁ♡ こ、こらぁ、だから揉むなっての!!」
「お姉ちゃんおっぱい大きく成ってないじゃん?」
この娘はぁっ!
私は説明をしようとしたその時だった。
「あ”あ”あ”あああぁぁぁぁぁっ!!!!」
突然魅惑のアンダリヤの悲鳴が上がる。
何事かと思いそちらを見るとムチムチボディーのボンキュパーンだったはずの彼女がエルフかと思うくらいのがりがりの超スレンダーになっていたぁッ!?
「な、なんて事を! この私の魅惑のボディーがっ!!」
「あの、もしかして今まで『賢者の石』であの体を維持していたとか……」
思わず私がそう言うと彼女は、キッ! とこちらを睨んで叫び出す。
「よくもやってくれたわね!! あの身体を手に入れる為にこの私がどれだけ苦労したと思っているの!? なんて事してくれるのよ!! け、『賢者の石』を消し去るとかあったまおっかしいんじゃないの!?」
それはそれはご立腹で言葉遣いもどんどんひどくなってゆく。
私はそんなアンダリヤを見て気付く。
「本当のあなたって、私並みに胸無いのね……」
「きぃいいいぃぃぃっ! よくもよくも私の秘密をぉ! 殺してやる、貴様ら殺してやるぅ!!」
目の色を変える魅惑だったアンダリヤはそう言って呪文を唱え始めるのだった。
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