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第六章:ドドス共和国
6-17ドワーフの人
しおりを挟むそのドワーフの人はのっそりと立ち上がりこちらへやって来る。
「ちょいとそこのエルフの嬢ちゃん。いま儂らドワーフが弱いとかぬかさなかったか?」
ギロリとこちらを睨んでそう言ってくるドワーフの人。
しかしルラは首をかしげて言う。
「え? そんな事言ってないよ~。お酒飲んでるところは強そうには見えないねって言ったけど」
「同じ事じゃ! 誰が弱いだと!? 貴様ドワーフ族を馬鹿にするのか!?」
うっわぁ~。
まさしく酔っ払い。
こんな変なのにからまれたらキリがない。
私は慌てて平謝りに言う。
「すみません、すみません。この子まだ若木で何もわかってないので。良く言い聞かせておきますからご容赦ください」
「ふん、大体にしてお前らのようなエルフがこんな所をふらふらしておるのが悪い! なよなよしたそんな輩は森にでも帰るが良いわ」
「はいはいごめんなさい。ご飯食べたらすぐ出て行きますから」
むっとするルラを押さえながら私は平謝りする。
こんな事でいざこざを起こしてなんていられない。
ただでさえユエバの街やジマの国でごたごたがあったんだ。
穏便で事が済めばそれが一番いい。
と、その時までは思っていた。
「ふん、全くいくら若木だとは言えその成りなのだ、少しは常識と言うもんを理解せんか。全く、体だけでかくて頭が追い付いていないとはな。いや、その胸も金床じゃから仕方ないか。がはははははははっ!」
「なっ!? む、胸は関係ないじゃないですか?」
「ふん、頭がガキで胸もガキであれば常識が無いのも分かる。ドワーフ族なら既に見事にたわわになっておるのにのぉ。そんな成りでは男に見向きもされんじゃろ?」
ぶっちぃーんっ!!
「だぁれが見向きもされない荒野の平原よ!! ちゃんと膨らんでるわよ!!」
あったまきたぁ!
確かに生前の私よりちっちゃいけど今の私は人間にしたらまだ三歳児。
これからだもん。
大人になればきっと最低でもカリナさんやお母さん位にはなるもん!
思わず胸を押さえながらこのドワーフの人を睨み返す。
「ふん、無理じゃな。エルフ族はもともと貧乳。いくら女神様に祈っても貴様らはずっとそのままじゃ! がーはっはっはっはっはっはっ、男か女かもわからんようなその胸、だーれも興味なんぞもたんだろうのぉ~」
そう言って大笑いで残りのお酒を平らげ笑いながら向こうへ行く。
何なのよあれっ!
勝手に絡んできて散々人を馬鹿にして!!
「むきーっ! あったまくるぅっ!!」
「お、お姉ちゃんって胸の話になるとすぐ怒るよね?」
地団太踏んでいる私にルラはそう言う。
なんかそれが余計にイラっと来る。
そりゃぁ元男の子だから分からないかもしれない。
しかし双子の姉妹の妹のくせしてルラの方が若干胸が大きいと言うのがもの凄く納得いかない。
せめて生前の、いや、今のエルフのお母さん以上には育ってもらいたい!!
「なんだい嬢ちゃんたち、育乳の女神様に用があってここへ来たのかい?」
「育乳の女神様??」
ちょうどウェイトレスのおば…… いや、化粧のちょっと濃ゆいお姉さんが料理を持ちながらこちらへ来た。
そして非常に気になるような事を言っている。
「ここドドスには育乳の女神様を祀った神殿があるからね、そのご利益にすがりたくてやって来る女の子たちは多いのさ。あんたらもそうなのかい?」
「ちょっと待ってください、そのお話もっとよく聞かせてもらえますか!?」
私は思わずウェイトレスのお姉さんにずいっと出てそう言う。
するとウェイトレスのお姉さんは苦笑しながら言う。
「このドドスには育乳の女神様を祀った神殿があるのさ。その女神様の元へ行けばご利益があってペタンコの娘だって人並みに大きく成ったって話は多いのさ」
そう言いながらとある方向を見ながら言う。
「この先に大通りがあるからそこを真っ直ぐに中央に向かえば神殿が見えて来る。連日あんたらみたいなのが行列を成しているからすぐに分かるよ」
そう言って注文したお料理をテーブルに置いて行く。
「育乳の女神様…… これよ!」
思わぬところで思わぬ救いの手が!
いくらエルフだからって今の私はお饅頭も良い所。
せめて胸当てのブラジャーが出来るくらいにはなりたい。
「ルラ、ご飯食べたら神殿に行くわよ! ドワーフに好きに言わせておいてなるものですか!!」
「はえ? 別におっぱい大きくなくたっていいじゃない? 動く時邪魔だし」
「ルラぁ! 女の子に生まれたからにはおっぱいの大きさはいわば力の象徴! カースト制の底辺で巨乳共にあざ笑われない為にも最低層から抜け出す必要があるのよ!! せめてBランクにまでカップを大きくしなければ!!」
「Bランク? 何それ??」
きょとんとしているルラを他所に私はナンの焼肉ヨーグルトソース挟みをかじるのだった。
……ほんとだ、ヨーグルト味美味しい♪
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