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第五章:足止め

5-9ジーグの民襲来

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 何処からともなく現れた三人のスキンヘッド忍者、ローグの民は襲い来る黒づくめ、ジーグの民と剣を交える。


 きんっ!

 ききんっ!!


「ルラ殿たちに手出しはさせんでござる!!」


 そう言いながらクナイの様なモノを投げつける。
 黒づくめたちは勿論それを剣で弾いたり避ける訳だけどおかげで私たちは距離を取れる。

「ちっ!」

 距離を取ってその様子を見る限り黒づくめの数は四人のようだ。 

 エルフは夜目が効く。
 だから多少暗い所では昼間とほとんど変わらず物が見えるので周りをざっと見るけど、こいつら以外はいないみたい。


「あたしは『最強』!」


 と、ここでルラがチートスキル「最強」を使う。

 
 どんっ!


 そしてその場から目にも止まらない速さで動き一瞬で黒づくめの後ろまで移動する。


「なっ!?」

「うっ!?」

 
 これには流石に黒づくめたちも驚くけどその間にルラは二人を殴り飛ばす。


 ばきっ!
 ばきっ!!


「ぐはっ!」

「ぐおっ!」


 ルラに殴り飛ばされた二人は壁にぶつかってずり落ち動かなくなる。


「好機でござる! 行くぞ『ジェット剛流攻撃』!!」

 あまりのルラの動きに一瞬その場が止まった好機を逃さずローグの民の三人は一列に重なりまるで滑るかのように残り二人のジーグの民に襲いかかる。

 そして一番の先頭が剣を振る。
 しかし最初の黒ずくめは身をかわしそれを避ける。
 が、すぐに後ろに控えていた二番目がクナイの様なモノを投げつける。
 流石にそう来るとは思っていなかった黒づくめは慌ててそれを剣で弾き飛ばすとそれを狙ったかのように三番目が二番目の影から出て飛び上がり黒づくめに剣を振るう。


 ざんっ!


「ぐはっ!」

 その一撃は見事に黒づくめを切り伏せる。
 
「もう一度『ジェット剛流攻撃』をかけるでござる、アビシュ、ボッシュ行くでござる!!」

「「おう、でござる!!」」

 先頭の確かソルスタさんだっけ? はそう言いながらまた剣を構える。
 そしてまた一列に並んで残りの黒づくめにまるで滑るかのように突っ込む。


「おのれぇっ!」


 それに黒づくめはナイフを投げると、正面から見れば一瞬で一人だったのが二人に分かれそのナイフを避け、また一人に重なり黒づくめに迫る。


 ぶんっ!


 一番先頭が剣を横に振るとなんと黒づくめは飛び上がりソルスタさん(だっけ?)の肩を踏み台にする。


「何と!? 拙者を踏み台にしたぁっ!?」


 しかし次に控える二番目の、え~と、多分アビシュさんは同時に飛び上がり正面からクナイの様なモノを投げつける。


 きんっ!

 どがっ!


 しかし黒づくめはそれを剣で弾き飛ばし剣を持つ反対の肩で体当たりをする。

「ぐっ、でござる!」

 二番目の多分アビシュさんはバランスを崩すが更にその後ろ、最後のこれも多分ボッシュさんだろうが残っている。

「くそっ!」

 黒づくめが体勢を崩しながら三番目のボッシュさんであろう人に切り伏せられる。


 ざしゅっ!


「ぐはっ!」


 そしてとうとう黒づくめたちは全員倒されるのだった。


 * * * * *


「それではこ奴等の事は我々にお任せあれでござる」

 そう言って気を失っている黒づくめの二人を縛り上げ、猿ぐつわをかませソルスタさんたちは私たちに言う。
 私は気になって聞く。

「そいつらどうするんですか?」

「こ奴等はベルトバッツ様のもとに連れて行き『至高の拷問』にていろいろと吐かせるでござる」

「『至高の拷問』って……」


 何それ怖い!

 
 ガクガクブルブル震えている私を他所にソルスタさんはそれはそれはさわやかな笑顔で親指立てながら言う。


「もうこちらの世界に帰れない程しっかりとやるでござる」


 嫌ぁーっ!
 何それ怖すぎっ!!

 「至高の拷問」って何するのよ!?
 なにする気なのよぉっ!?

 ま、まさかあーんな事やこーんな事をするつもり?
 も、もしかして男性同士でそんな事まで!?


「リル、あなた変なこと考えていない?」

「はっ!? い、いえ、考えてませんよぉ~//////」

 何故かカリナさんに突っこまれる私だったのだ。


 * * * * *


 ジーグの民の襲撃を撃退した私たちは更に遺跡の奥へ行く。
 遺跡は途中から地面に埋もれていた様で、奥へ行けば行くほどじめじめとしてくる。

 しかしそれも大きな空間に辿り着くと終わる。


 そこは広い部屋だった。

 かなり古い遺跡のはずがここだけは奇麗に掃除までされていたようだ。
 そして部屋の一番奥には明かりがともっていて何かの祭壇のような物が有った。


「何ここ? 何かを信仰でもしていたような…… あれって祭壇?」

「カリナ、これは古代魔法王国より古い文字です。これは一体……」

「祭壇、なんだろうな……」

「ああ、しかも竜をかたどっているみたいだな……」


 カリナさんは部屋の中央にまで踏み出て奥にある祭壇を見る。
 なにか文字みたいなのがまわりにびっしり彫り込まれているけど、ネッドさんの話だとかなり古い文字のようだ。


「お姉ちゃん、あれ!」

 物珍しさに周りを見ていたルラがいきなり声を上げる。
 そして指さす先には壁の奥にレリーフが有った。

 それは黒い竜と黒い髪の毛の女性の間から同じく黒髪の少女が出で、そして右に行くにつれ大人の女性になり、男性と一緒に居るとどうやら子供が出来てそしてその子供が老いていくのにその女性だけは年を取らず、やがてその子らが死んでいくのを嘆いているように見える。

「これって……」

 その壮大な物語を語っているようなレリーフは最後に祭壇の方へと向かっていた。


 まるでそれまでの歴史を物語り、最後に大切な事を私たちに伝える為のように。

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