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第一話:約束
しおりを挟む「お父さんこれ見て!」
私はタブレットをお父さんに見せながらそう言う。
お父さんは私から渡されたタブレットと見て嬉しそうな、そしてしまったと言うよな表情をする。
「学年順位十番以内達成だよ! これで約束通り夏休みは地球の夢の国に連れて行ってくれるんでだよね?」
にっこりとほほ笑む私におとうさなんは嫌そうな顔して言う。
「まさか本当に学年成績十番以内に入るとは……とは言え、あと二日でまた地球へ荷物を運ぶから行くとするとその時だぞ?」
「分かってるって! ちゃんとスケジュールは組んであるから。私が船に乗っても大丈夫なように重量申請の書類は出してあるよ? それともうパスポートは取ったからね」
準部万端でそう言うとお父さんはお母さんを見て言う。
「どうするよ?」
「どうするもこうするも、弟のマルスは部活だし、妹のミリアは塾の夏期講習申し込んじゃったわよ? アズサだけ連れて行ってあげなさいよ」
お母さんはそう言ってため息を吐く。
そして付け加えで言う。
「地球に遊びに行くのは良いけど、ちゃんと課題はしなさいね? それと船の中は狭いから往復でひと月近くも大丈夫?」
「うん、夢に国の為なら我慢できるよ!」
私はアズサ、JCの今はまだ二年生。
夏休みが過ぎて新学期からは三年生になる。
私たちは火星に住んでいて、明日から夏季休暇に入る。
うちの学校は新学期が始まる9月まで丸々一か月以上の休みがあるから、地球に行って帰ってをしても間に合う。
そしてかねてから行ってみたかった地球の夢の国!
私たちの世代ではそこへ遊びに行くのは夢であった。
そもそも地球まで行くチケットが高い。
でも運送会社を営んでいるお父さんなら、貨物運搬の船に一緒に乗って地球までタダで行ける。
そして学年順位十番以内に入ったら夢の国に遊びに連れて行ってくれるって約束だった。
「えへへへへ~お父さんいいよね?」
「はぁ~、しょうがないが覚悟しとけよ? 船の中はそれほど広く無いからつまらなくなってもどうしようもないぞ?」
「覚悟の上よ! ああ、これで憧れの夢の国に行ける!」
弟のマルスや妹のミリアはうらやましがっているけど、みんな予定がある。
なので私だけお父さんの船に乗って一緒に遊びに行く事となる。
「はぁ~、仕方ない、船の掃除しておくか。居住ブロックの部屋は余裕あるが、自分の荷物は自分で管理しろよ?」
「うんっ♪」
私はにっこりと笑ってそう答えるのだった。
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