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第十四話:どっちがフラグなの!?
しおりを挟む私の十四歳の誕生日は学園の敷地内にある迎賓館を貸し切り盛大に行われた。
「おめでとう、リリアーヌ」
「ありがとうございますわ、お父様、お母様」
娘を祝うと言う事でザイナス家の領地から王都へわざわざ両親がやって来た。
在学中はこう言った事は全て自分でやらなければならない決まりで、いくら侯爵家でもそれは同じだった。
そう言えば、ソリオン様がお茶会を開いたときもこの迎賓館を使っていて全てソリオン様のプロデュースでやったらしい。
今回私の誕生日会は執事のセバスルチャンに任せて無難な仕様にしてもらったはず。
だから普通にしていれば波風はたたないはずなのだが‥‥‥
「おめでとうリリアーヌ殿。これは私からのプレゼントだよ」
「おめでとうございますですわリリアーヌ様。どうぞ受け取って欲しいですわ」
「リリアーヌ様おめでとうございます。更にお美しく成られて、感無量ですよ! これは我が領地の特産品です。どうぞお納めください」
「おめでとう姉さま。ほら、僕からのプレゼントだよ」
「おーっほっほっほっ、今日の所は勝負は無しで良いですわ! リリアーヌさんお誕生日おめでとうですわ。これ私からでしてよ」
なんやかんやでみんなも来てくれた。
ただ、ソリオン様や弟のラズベルまでなんかやたらと大きな誕生日プレゼントを贈って来てくれる。
そしてみんないつものいがみ合いを始める。
「リリアーヌ殿は私のプレゼントにきっと満足してくれるよ」
「いえいえ、同じ女性であるからこそわかるリリアーヌ様にうってつけのプレゼントはこの私、イザーラ=ゾロ・シーナ・アマデウスが一番ですわ!」
「イザーラさん、同じ女性だからと言ってリリアーヌ様の好みが同じとは限らないよ? その点、私アスラーズのこれはきっとリリアーヌ様もご満足いただける品」
「姉さんの好みはとっくに調べ尽くしているよ。姉さんが喜ぶものなら僕が一番よく知っているさ」
「おーっほっほっほっほっ、毎日切磋琢磨している私が一番リリアーヌさんの事を知っていましてよ! この私パンデューラにはリリアーヌさんの好きな物くらい丸わかりですわ!」
あー、みんな喧嘩するなら他でやって欲しい。
このイベントどれが正解か分からないから私は気が気じゃない。
さらにみんな美男美女だから騒ぎが起こるとものすごく目立つ。
「あ、あのリリアーヌ様。お誕生日おめでとうございます‥‥‥」
そんな中マリアーナがおずおずと近寄って来て祝福してくれる。
動きやすいスカート短めワンピース姿のマリアーナ。
最近彼女も発育が良くなってきてしっかりと出来始めた胸の谷間がドレスの隙から垣間見れる。
ズッキューン!
はうっ!
瑞々しい肌のその胸に顔をうずめたいぃ!!
「マリアーナ、ありがとう。今日は楽しんで行ってくださいましな」
「あの、それでこれをリリアーヌ様に‥‥‥」
そう言って渡された手紙の様な物を受け取る。
「なにかしら? 開けてもよろしいですの?」
「あ、はい。どうぞ。平民の私にはこれくらいしか出来なくてごめんなさい‥‥‥」
もう、マリアーナは傍に居てくれるだけで十分だと言うのに!
何か有るごとに勝負を挑んできてマリアーナの気を引こうとするパンデューラに見向きもしない可愛いマリアーナ。
一体何をくれたのだろう?
私は中身を見ると一枚の券が入っている。
そして中を読むと「御奉仕券」と書かれている。
「マリアーナこれは?」
「あ、あの、私って平民なもので皆さんの様にリリアーヌ様にプレゼントするものが無くて。それでせめてこの券でリリアーヌ様が必要な時にご奉仕させていただければと‥‥‥ あ、あの、私、体を使ってリリアーヌ様の為に頑張りますから!! 肩揉みでも部屋のお掃除でもお洗濯でも何でも!」
「か、体を使って‥‥‥」
マリアーナのその真剣なまなざしにドキリとしながら私は色々と妄想してしまう。
マリアーナのあの膨らんだ胸で!
マリアーナのあの太ももを枕にして!
マリアーナの体を使って奉仕するって言ってるし、もうそのままベッドで!!
ぶはっ!!
「きゃーっ! リリアーヌ様ぁ!!」
「リリアーヌ様がまた鼻血を吹き出された!!」
「だ、誰か回復魔術師を!!」
こうして盛大に鼻血を吹き出す私の誕生日会はマリアーナの【回復魔法】で落ち着くまで大騒ぎになるのだった。
うん、今回の妄想で本気で出血多量死する所だった。
もしかしてゲームでもここでフラグ立って退場したのかな?
このイベント謎だらけだったのである。
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