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第十一話:悪意のつもりはないけど
しおりを挟むいきなり高飛車な笑い声で名前を呼ばれて私はその声の主を見る。
美人で金髪碧眼、ドリルの髪の毛をぶら下げ扇子を口元で覆い不敵な笑みを浮かべる彼女はそう!
‥‥‥誰だっけ?
「ちょっとリリアーヌさん! 本気で私の事忘れていますわね!?」
「すいません、どちらさまでしたっけ?」
思わず本音を言うと彼女は背景を真っ暗にして稲妻を落とす。
かっ!
ぴかぴか、ガラガラどっしゃーん!!
よろけながらもなんとか踏みとどまる。
「くっ、やはりあなたと言う人は! 幼少の頃より私の存在をいつもいつも忘れていて、ソリオン様との婚約の時も抜け駆けをして! いい事、私の名はパンデューラ=ビラン・シーナ・ラグレスですわ!! あなたの永遠のライバルですわ!!」
びびしぃっ!
扇子をこちらに向けて彼女は私を睨む。
えーと。
パンデューラ‥‥‥
ああっ!
思い出した!!
ゲームの中で私と一緒にマリアーナをどちらが沢山困らせるかと勝負して最後にマリアーナについて私にざまぁしてきた奴だ!!
「リリアーヌさん、いい事? 私はパンデューラ、あなたの永遠のライバル。‥‥‥そうね、あなたには許嫁が出来たけどずいぶんとその子にご執心の様ね? いいわ、ならば勝負よ! 私もその子を落として見せますわ!!」
私がそんな事を思い出していると、びしっと私のマリアーナに扇子を向けて宣言をする!?
なんですとぉっ!?
私のマリアーナに手を出す気か!?
「これはこれは、ラグレス家のパンデューラ殿では無いですか? パンデューラ殿もマリアーナさんにご興味が有るのですか? それはとても良いですね!」
「あら、ソリオン様、ご機嫌麗しゅうございます。そうですわね、リリアーヌさんが興味を持つ者を私が振り向かせれば私の勝ちと言う事ですわよね? おーっほっほっほっ」
「ええ、そうですねぇ。 ふふふふふっ」
キラーン!
キキラーン!!
二人して目を光らせ私とマリアーナを見る。
何それっ!?
私の可愛いマリアーナをどうするつもりよ!?
いや、なんかイザーラも、アスラーズもラズベルさえも同じ顔している!?
こ、これって私のざまぁフラグなの!?
私は一人頭を抱えてどうにかしなければと焦るのだった。
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