53 / 75
第七章クリスマスは家族で一緒にいなきゃいけないよ?
7-8ブービートラップだよ
しおりを挟むクリスマスパーティーはつつがなく行われた。
「なにこれ美味しい!」
「本当ですね! このピザも薄くてカリカリだけどすごくおいしい!」
「クリスピーピザで美味しいのは本物‥‥‥」
まだ温かさの残るこのピザは確かに美味しい。
薄い生地がパリパリしていてトロトロのチーズが良い感じになっている。
もう二枚目なのにもっと行けそうだ。
「後ね、私の好きなこれもお願いしたの~」
そう言ってあの黒メガネ白髭のおじいさんマークのフライドチキンを出す。
「紫乃、それって外側美味しいけど中が味薄いのよね?」
「うん、知ってる~ だから骨なしスティックのにしてもらった~」
あ、それって一度食べてみたかったやつだ。
差し出されたそれを一つつまんで食べてみる。
「おおっ! これは行けるわね! ほど良い大きさだから味が全体にちゃんとからんでいる」
これは確かに行ける。
味はオリジナルと同じだけどささみスティックみたいなので食べやすいし味が全体になじんでる。
私はにこにこしながらそれを食べていると紫乃がブルーレイを取り出す。
「さあ、昨日届いたばかりのこの限定特典付きのアニメみんなで見ようよ~ 特典では妹ちゃんの入浴シーンもあるんだよ~」
ぬっふっふっふっふっとか変な笑いしている。
大丈夫か紫乃?
「あ、それこないだテレビ放映終わったばかりのですね? 確か第二期も制作決定したやつですね?」
「‥‥‥お風呂シーンは神回」
なんか食いついて来てるのがいる。
高橋静恵はその箱を取ってみる。
「私あまりアニメとか見ないけど、これって面白いの? えーと、『私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?』ですって? ふーん、ちょっと面白そうね」
何故だろう、このアニメってものすごく親近感があるのよね‥‥‥
そんな事を言いながらアニメ鑑賞会したりケーキを食べたりと楽しくしているとインターホンのベルが鳴った。
「あれ? 誰だろう」
紫乃がインターホンに出るとそこには親友その一が立っていた。
あ、そう言えばこいつも来るんだったっけ?
何今頃来てるのよ?
紫乃は親友その一を迎える為に玄関に向かった。
「ふう、あのバカなんで今頃来るのかしら?」
「ああ、剛志は結局バイトのシフト抜け出せなくて今頃になっちゃったんだよ。紫乃ちゃんには先に連絡してたみたいだけどな」
「え? そうするとお兄ちゃんよくバイト抜け出せたね?」
「そりゃぁ、由紀恵と約束したもの」
そう言っていつもの笑顔を見せてくれる。
どきっ!
完全に不意打ちだ。
しかも私との約束の為って‥‥‥
やっぱりお兄ちゃん優しい。
「いやぁ、友也お前バイト抜け出して正解だよ! すっげー混んでたよ今日は」
部屋に入って来た親友その一はそう言って包みを差し出す。
「イベントの残りのチョコもらってきたよ。みんなで食おうぜ!」
あら、親友一のくせに気が利くじゃない?
紫乃はその包みを受け取りお皿に盛り付ける。
「お疲れ様太田君、しかし太田君にしては気が利くわね?」
「ほんとですね、先輩の爪の垢でも煎じて飲みましたか?」
「別に来なくてもいいのに‥‥‥」
「泉ひどっ! と言うかみんなもひどっ!!」
やっぱり私と同じに感じているんだみんなも。
そんなこと思っていると紫乃がさっきのチョコレートを持ってきた。
それはかわいらしい丸い形や瓶の形、クリスマスツリーの形をしていた。
「へぇ、可愛らしいわね? どれ」
私を含め女子組はそれをつまんで一斉に口に運ぶ。
そこそこの大きさがあるけどこのくらいになら一口で口に入る。
「ん、なんか中に入ってる? うわっ、にがっ!」
私が驚いていると高橋静恵たちもそれに気づいたようだ。
「あれ? これってもしかして‥‥‥」
「んっ、飲み込んじゃった」
「‥‥‥私はこれ弱い」
もの凄く強烈な味と言うか苦みと言うか、とにかく咀嚼して飲み込む。
そして飲み込んだ後に喉が焼けるような感覚がある。
「あ、剛志これって!」
お兄ちゃんはそれまで親友その一と雑談していたけど私たちに気付く。
「お前、これってウイスキーボンボンの方じゃないか? みんなにこんなの喰わせて大丈夫かよ?」
「あれ? ほんとだ。でもお酒は少ないから大丈夫だろ?」
え?
お酒??
「あ~、私ぃお酒弱いのよねぇ~ ねえ長澤君?」
高橋静恵が少し赤い顔でお兄ちゃんに近づく。
そして矢島紗江も。
二人はお兄ちゃんに寄りかかりそうになる。
「ちょっと、お兄ちゃんに何してるのよっ!」
そう言ってお兄ちゃんに近づこうとした私だったけどいきなり視界がゆがんでふらふらとしてしまいその場で倒れてしまった。
そしてだんだんと意識が遠のく。
最後に視界に入ったのは私と同じく倒れている泉かなめの姿だった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる