私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?

さいとう みさき

文字の大きさ
上 下
52 / 75
第七章クリスマスは家族で一緒にいなきゃいけないよ?

7-7紫乃の家

しおりを挟む

 「お待たせ、って、何で先に紫乃ちゃん家に入らないの?」


 お兄ちゃんは紫乃の家の前でたむろしている高橋静恵や矢島紗江、泉かなめたちに首をかしげる。


 「あ、長澤君。良かった。ねえ、ここ本当に紫乃ちゃんの家?」

 「なんかセキュリティー会社のシールとか貼ってありますけど‥‥‥」

 「豪邸‥‥‥」


 みんな何度もスマホの地図ナビとこの家の門を見比べる。

 私たちは慣れているので気になっていなかったけど、初めての人には確かに驚く家かもしれない。

 だって紫乃の家って資産家でこの界隈で一番大きな家なのだから。

 「こんな所にいたら不審者扱いで通報されるよ。ほら、ベル鳴らすよ」

 お兄ちゃんは当たり前に門のベルを鳴らす。
 すると直ぐにインターホンから返事の声がする。

 『はいはいぃ~、あ、友ちゃん~いらっしゃい~。すぐ鍵開けるね~』

 声と同時にインターホンに取り付けられている小さな画面に紫乃の顔が映る。
 この家に来るのも久しぶりね。

 紫乃は画面の向こうで何かやっていると門が自動で空き始めた。

 『ほい、これで良しっと。みんな入って来てね~』

 唖然とする高橋静恵たちを他所に私とお兄ちゃんは門をくぐる。
 勿論その後を慌てて三人は追ってくる。


 「しかし驚いた、紫乃ちゃん家ってお金持ちだったんだね」

 「うわ、門から中庭通って玄関まであんなに距離がある!」

 「‥‥‥監視カメラもいっぱい」


 なんか後ろで騒いでいるけど私とお兄ちゃんは玄関にたどり着きベルを鳴らす。


 ぴんぽーん!


 インターホンの音とは違いなんか安っぽい音だけど昔から変わらない。

 「はいはいぃ~、いらっしゃい~! みんな上がって、上がって~」

 普段着の紫乃はそう言ってニコニコとして私たちを家にあげてくれる。

 
 「ほい、紫乃ちゃんケーキ」

 「やったぁ! 友ちゃんのバイト先のケーキって美味しいんだよねぇ~」


 ケーキの箱を受け取って紫乃はにこにこしながら部屋に案内する。

 しかし、この家いつ来ても広いなぁ。
 廊下から広間に行くまでにまだかかるのだもの。


 「お、お邪魔します」

 「えっと、靴はそろえてっと‥‥‥」

 「‥‥‥あの絵画美術の教科書で見たことある」


 きょろきょろと家の中を見ながら高橋静恵と矢島紗江、泉かなめはついてくる。

 そして私たちはほどなく広間に着く。


 「うわっ!」

 「すごっ!」

 「‥‥‥まさしくパーティー会場」


 見れば広場はクリスマスパーティー場として飾り付けられていた。

 「またずいぶんと飾ったわね?」

 「うん、お父さんに言ったら業者の人呼んで楽しみなさいって準備してくれた~」

 立食パーティーまで出来るようになっている。

 「なんかこれじゃケーキ持ってこなくてもよかったかな?」

 「ううぅん、そんな事無いよ。友ちゃんとこのケーキほんと美味しいから!」


 紫乃はにこにこしながらケーキを出して豪華な料理の真ん中、一段高くなっている台の上に乗せた。


 ちんまりとした可愛らしいケーキはあれでも買えばゆうに三千円を超える。
 しかしこの料理の中に有るとその小ささが際立つ。


 「なんか申し訳ないな‥‥‥」

 「いつもの事よ、気にしちゃダメお兄ちゃん」


 まあ紫乃の家に遊び来るといつもこんな感じなので私はもう慣れていたけど。


 「んじゃ、早速始めようよ!」



 紫乃はそう言ってにっこりと笑うのだった。
 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...