51 / 75
第七章クリスマスは家族で一緒にいなきゃいけないよ?
7-6見られちゃったぁっ!!
しおりを挟むクリスマスイブは予定通りお兄ちゃんは帰ってこなかった。
せっかく内緒であのリボンの服着て待っていたのに‥‥‥
いや、来ないのわかっているんだけど、ほら、何と言うかこう、気分的にそんな感じで分かっているのについつい無駄遣いまでしてしまってしかもこんな恥ずかしい格好して、恥ずかしすぎるので上にいつものような服着たりとか意味ないよなぁ~って思いながらお兄ちゃんの部屋でゴロゴロとスマホで恋愛小説見たりしていたけど‥‥‥
やっぱり帰ってこない。
仕方ないのでお風呂に入って明日の為に寝ましょうか。
私は仕方なくお風呂に向かった。
* * *
「ふう~、明日は紫乃の家でクリスマスパーティーかぁ。本当は家族でいつもみたいにしたかったのにね‥‥‥」
湯船につかりながらそんな事をぼんやりと考えている。
「あれ? 誰か入っていたか?」
脱衣所からお兄ちゃんの声がした。
「あ、お兄ちゃんお帰り!」
「由紀恵か、ごめん手洗いうがいしたらすぐ出てくよ」
曇りガラス越しにお兄ちゃんはそう言って手を洗ってうがいをしている様だった。
私は何となくお兄ちゃんに聞く。
「お兄ちゃんお疲れ様。明日のパーティー大丈夫だよね?」
「ああ、大丈夫だよ。そうそう、お店のケーキもらってきたぞ! 明日はみんなで食べような!」
やった!
お兄ちゃんのバイト先のお店のケーキは美味しいのだ。
私はにこにこしているとお兄ちゃんが変な事言い出す。
「それより由紀恵、なんでこんな所にリボンが落ちてるんだ?こんなに沢山?」
リボン?
そんなものは‥‥‥
あっ!
「ん? 洗濯物籠にまで入っている??」
「駄目お兄ちゃん! それ引っぱっちゃダメぇっ!!」
ばしゃっ!
私は慌てて湯船から上がり扉を開ける。
そして今にも洗い物籠まで手繰り寄せたそのリボンをお兄ちゃんから奪い取る!
「お、お兄ちゃんはダメ! これは私のなんだから!!」
「え、えっと、由紀恵??」
はーはーと肩で息をする私。
しかしお兄ちゃんはそんな私を見て固まっている。
私を見て?
私は思わず自分を見てみる‥‥‥
「!?」
そう、タオルも巻かないで慌ててお風呂から出てきた。
だからもちろん裸のまま‥‥‥
「い、嫌ぁぁぁぁあああああぁぁぁっ!!!!!」
深夜の脱衣所で私の叫び声がこだまするのであった。
* * * * *
「はぁぁぁぁぁぁ~、見られた」
翌日私は着替えながら昨日の晩の事を思い出していた。
完全に見られた。
しかも全部‥‥‥
そりゃあ、お兄ちゃんの事は好きだけどいきなり裸を見られるのは流石に恥ずかしすぎる。
しかもその後のお兄ちゃんの一言、本当に頭にくる。
―― 回想中 ――
「あ、ごめん由紀恵。でも小学生の時と変わらないから見ても大丈夫だ」
「いや、ちゃんと成長しているから、胸だって今のブラきつくなっているから!!」
「とにかく出てくよ、ごめんな」
「あっ‥‥‥ もう、いやぁぁああああぁぁぁぁっっ!」
―― 回想終わり ――
お兄ちゃんの一言に逆に胸突き出してよく見ろとでも言わんばかりに成長をアピールしてしまった。
思わず自分で胸を両手で押し上げて!
それはそれはしっかりと。
しかしあの恥ずかしい「私をプレゼント」リボン下着は絶対にお兄ちゃんには見られるわけにはいかない。
裸を見られるのとリボン下着を見られるのではまだ裸を見られた方がましよ!
私はそんな事を思いながら交換用のプレゼントを持ってリビングへと向かう。
リビングではお兄ちゃんがケーキの箱を持って待っていた。
お兄ちゃんの顔を見ると思わず顔が熱くなってくる。
「来たか、じゃあそろそろ行こうか?」
「‥‥‥う、うん////」
全く、お兄ちゃんはいつもと変わらず平然としている。
私なんかまだ恥ずかしくて死にそうだっていうのに。
人の気も知らないでお兄ちゃんはとか思いながら私たちは紫乃の家へ向かうのだった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
兄貴がイケメンすぎる件
みららぐ
恋愛
義理の兄貴とワケあって二人暮らしをしている主人公の世奈。
しかしその兄貴がイケメンすぎるせいで、何人彼氏が出来ても兄貴に会わせた直後にその都度彼氏にフラれてしまうという事態を繰り返していた。
しかしそんな時、クラス替えの際に世奈は一人の男子生徒、翔太に一目惚れをされてしまう。
「僕と付き合って!」
そしてこれを皮切りに、ずっと冷たかった幼なじみの健からも告白を受ける。
「俺とアイツ、どっちが好きなの?」
兄貴に会わせばまた離れるかもしれない、だけど人より堂々とした性格を持つ翔太か。
それとも、兄貴のことを唯一知っているけど、なかなか素直になれない健か。
世奈が恋人として選ぶのは……どっち?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる