上 下
38 / 75
第六章お兄ちゃんは妹がもらったラブレターを気にしなきゃいけないよ?

6-3こういった話が嫌いな女子はいない

しおりを挟む

 私はいつものファミレスに呼び出された。


 「苺ラテで良いんだっけ?」

 「‥‥‥頼むわ」


 紫乃に頼んでドリンクバーの飲み物を持ってきてもらう。


 「それで、由紀恵ちゃん後輩の女の子からラブレターもらったんだって!?」

 「そ、それってどんな子でした?」

 「‥‥‥同性愛」


 いきなり人を呼び出して何なのこの人たちは!!


 「あの、私そう言った趣味無いんですけど?」

 「いやいやいや、そうだとしてもこういった話はきちんとケリをつけないと後々こじれるわよ? 最悪長澤君の命が危険にさらされるわ!」

 興奮気味の高橋静恵は目を輝かせてそう言う。
 説得力の欠片も無い。

 「そうですね、愛情のもつれから由紀恵ちゃんの思い人さえいなければ由紀恵ちゃんが自分のモノになるって思っちゃうんですよ」

 なんとなく矢島紗江も興奮してうっとりとした表情でどこか遠くを見ている。

 「‥‥‥い、いけない関係、お、お姉さま!!」

 泉かなめもなんか赤い顔してはぁはぁ言っている。


 何なのよこの人たち!!


 「由紀恵ちゃ~ん、持ってきたよぉ~」

 「ありがとう、紫乃。それで私にどうしろと言うんです?」

 冷たい苺ラテをストローで一口飲む私。
 どうもこの人たちはこの状況を楽しんでいる様だ。


 「ここは敵に塩を送るつもりでアドバイスよ。その子にちゃんと明日の放課後に会ってきちんとお断りの返事をする事。じゃ無いとそこまで思われているのだからまとわりつかれるわよ?」

 「そうそう、場合によってはストカーとか!」

 「‥‥‥長澤君家の前の電線柱は私の場所」 


 なんか最後の泉かなめの言葉が非常に引っかかるけど一理はある。


 「なんか高橋さんって同じような経験が有るような口ぶりですね?」

 私がそう言うとみんな一斉に高橋静恵に注目する。
 だが彼女は慌てず騒がず視線だけを外してぽつりと言う。


 「若い頃にはいろいろ有ったのよ‥‥‥」


 うぉぃぃいいいいぃぃっ!
 あったのか!?
 あったのねっ!!!?


 「ま、まさか高橋さんって‥‥‥」

 矢島紗江も驚いている。

 「‥‥‥両刀使い」

 泉かなめがポツリとそう言う。


 いやいや、流石にそれは‥‥‥


 「ま、過ぎた事よ」


 「いえいえっ! むしろそこははっきりとしてもらわないと!!」

 
 思わず私は高橋静恵に喰って掛かる。


 「そうですね、その辺お話をよく聞かないと!」
 
 「めくるめる百合の花園‥‥‥」


 矢島紗江も泉かなめもなんだかんだ言って高橋静恵の話を待つ。


 「う~ん、難しい話が長くなる? 由紀恵ちゃんおかわりいる?」

 「頼むわ! 今忙しくて手が離せないから!!」


 私たちは高橋静恵の昔話を聞くためにがん首揃えて待つ。







 「うーん、やっぱり由紀恵ちゃん気付かない? じゃあ今度はアップルティー入りの抹茶ラテだぁ~!!」

 一人紫乃だけ向こうで盛り上がっていたようだった。
  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」 俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。 学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。 その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。 少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。 ……どうやら彼は鈍感なようです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 【作者より】 九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。 また、R15は保険です。 毎朝20時投稿! 【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

兄貴がイケメンすぎる件

みららぐ
恋愛
義理の兄貴とワケあって二人暮らしをしている主人公の世奈。 しかしその兄貴がイケメンすぎるせいで、何人彼氏が出来ても兄貴に会わせた直後にその都度彼氏にフラれてしまうという事態を繰り返していた。 しかしそんな時、クラス替えの際に世奈は一人の男子生徒、翔太に一目惚れをされてしまう。 「僕と付き合って!」 そしてこれを皮切りに、ずっと冷たかった幼なじみの健からも告白を受ける。 「俺とアイツ、どっちが好きなの?」 兄貴に会わせばまた離れるかもしれない、だけど人より堂々とした性格を持つ翔太か。 それとも、兄貴のことを唯一知っているけど、なかなか素直になれない健か。 世奈が恋人として選ぶのは……どっち?

処理中です...