18 / 75
第三章お兄ちゃんの面倒は私が見てます、私を通さないといけないよ!
3-11 いとこたち
しおりを挟むおじちゃんの家は農家なのでやたらと広い。
なのでお盆と正月はちょくちょく遊びに来るのだけど今年は啓一伯父さんたちも来ていた。
「久しぶりだな友也、由紀恵。元気にしていたか?」
「はい、啓一おじさん」
「元気にしてたよ! それより恵姉たちが変わったんでびっくりしました」
私はお父さんの兄にあたる啓一伯父さんに挨拶しながら恵姉と唯ちゃんを見る、主に胸を。
「由紀恵ちゃんだって背がぐっと延びて美人になったじゃない? 学校でもモテモテでしょ?」
おばあちゃんに怒られた恵姉はたわわな胸をTシャツに着替えていた。
それでもTシャツを押し上げる胸は高橋静恵にも劣らない。
「由紀恵ちゃんだもんね~。もう彼氏とかできた?」
同じ年の唯ちゃんもここぞとばかり聞いてくる。
ぽよん
前のめりになると羨ましい事に胸が揺れている。
「そんなの出来るはず無いわよ。私は受験生ですからね」
内心のため息に気付かれないようにそう言う。
すると同じ受験生の唯ちゃんも大きくため息をつく。
「そうだよねぇ~。私もとうとう受験かぁ~。由紀恵ちゃんってどこ志望?」
「え? 桜川東高だよ」
「え? 由紀恵ちゃん頭良かったよね? てっきり県央高校目指してると思ったんだけど!?」
「県央はお兄ちゃんいないもん。桜川東高校一択だよ?」
「相変わらず由紀恵ちゃんは友ちゃん大好きだね? 愛されてるねぇ、友ちゃん」
にへらぁ~と笑いながら恵姉はお兄ちゃんのほっぺをつつく。
うっ!
それ私もしたい!!
「やめろって。最近は由紀恵しつこいぐらいで大変なんだぞ? 受験勉強だからって俺の部屋で勉強会やっても逆に俺が教わっている始末だしな」
お兄ちゃんは恵姉の手を払い除け口を尖らす。
そんな仕草も可愛い♡
「友兄ぃ、ねーちゃんたちばっかかまって無いで俺と遊ぼうよ! またザリガニ釣り行こうよ!」
我慢できなくなった裕君はお兄ちゃんの手を引っ張る。
「はははっ、だが先ずはお墓参りが先だよ。ちゃんとご先祖様を迎えないとな」
おじいちゃんはそう言ってお茶をすする。
「はい、準備出来ましたよ」
おばあちゃんがそう言って居間にやって来た。
「それじゃ、お墓に行くか」
おじいちゃんのその言葉を合図に私たちはお墓参りに行くのだった。
* * * * *
「うーん、やっぱりここは夕方になると涼しいね?」
「だよね。家もここから車で十五分くらいしか離れていないけどやっぱりおじいちゃんの家は涼しいよね」
縁側で唯ちゃんとスイカを食べながら話をしている。
お兄ちゃんと裕君は近くの小川にザリガニ釣りに行っている。
もうそろそろ帰ってくる頃だ。
「あれ? 二人ともこんな所にいたんだ。よいしょっと」
恵姉もやってきてスイカの切れ端に手を伸ばす。
「ところで由紀恵ちゃん、友ちゃんって彼女出来た?」
「ぶっ!!!!」
私は思わずかじっていたスイカを吹き出してしまった。
「な、何? 恵姉!?」
「うーん、久しぶりに会って友ちゃんかっこよくなったなぁって思ってね。なんかさわやかになったと言うか」
「ああ、それ分かる! 友ちゃんかっこよくなったよね!!」
お兄ちゃんが褒められるのは素直にうれしいけど、恵姉もいきなりだわね。
唯ちゃんも両手を合わせてうんうんと頷いている。
「お兄ちゃんには変な虫付けさせません! 勿論彼女なんてもっての外!! お兄ちゃんの貞操は私が守ります!!」
「相変わらずねぇ、由紀恵ちゃんは」
恵姉はスイカの種を庭先に吹き飛ばしながらおもむろに言う。
「でもさ、私が由紀恵ちゃんのお義姉さんになるのは良いよね?」
「はぁいっ!?」
「ほら、いとこなら結婚出来るし」
「あっ! お姉ちゃんずるい! 友ちゃんは私も好きなのに!!」
いやいやいや!
なにそれ!?
恵姉と唯ちゃんがお兄ちゃんの事好きって、なにそれっ!?
私はアワアワしていると恵姉はにっこりと笑って私に言う。
「とりあえず友ちゃんに彼女がいないってのは朗報ね♪ ありがとう由紀恵ちゃん」
「お姉ちゃん、抜け駆けは許さないからね! こうなったら私も友ちゃんにアピールする!!」
唯ちゃんまで何積極的になってるのよ!!
「だ、駄目だよ! お兄ちゃんは私の何だから!!」
「ん~、でもほら、由紀恵ちゃんじゃ結婚とかできないでしょ? 大丈夫だよ、結婚しても友ちゃんはずっと由紀恵ちゃんのお兄ちゃんだから」
いや、そうだけどそうじゃ無い!!
私はゆらりと立ち上がり恵姉を指さし言い放つ!
「恵姉は今から私の敵です! 唯ちゃんとも同盟は破棄されました!! お兄ちゃんは絶対に渡さないからね!!」
「ありゃ? 由紀恵ちゃんなら応援してくれると思ったのに?」
「由紀恵ちゃん、同盟破棄って何っ!?」
意外そうな顔をする姉妹たち。
しかしお兄ちゃんに近づく者は何人たりとも許さない!
私が逆毛でフーフー怒っていると恵姉はすっと私の頭を抱いてあのたわわな胸に顔を押し付ける。
「ん~! 由紀恵ちゃんのそう言う所も可愛いいっ! 唯じゃこの反応ないもんなぁ!」
「あ、お姉ちゃん友ちゃんだけでなく由紀恵ちゃんまで!?」
恵姉に抱かれ必死に逃げようとする私だけど、この胸やわらかくて気持ちいいかも‥‥‥
「はっ!?」
それでも私は我に返り慌てて恵姉の胸から抜け出す。
そんな私に恵姉は残念そうに言う。
「まあ、友ちゃんが私を選んでくれないとこの話は始まらないからね。それまではちゃんとフェアで行くから安心してね、由紀恵ちゃん♪」
軽くウィンクしてくる恵姉。
「本当にフェアだよね? 友ちゃんおっぱい好きだからお姉ちゃん、それ使うの禁止だよ!?」
唯ちゃんは恵姉の胸を指さしながら自分の胸も寄せてあげてみる。
胸かっ!?
やっぱり胸なのかぁッ!?
「えー? 私のとりえってこれくらいだから最大限に活用しようと思ったのに、友ちゃんなら触るくらい許すのに~」
「なっ!?」
「お姉ちゃんずるい! じゃあ私も友ちゃんに触ってもらう!」
こらこら!
何破廉恥な事言ってるのよこの姉妹は!!
「お、女の価値は胸だけじゃないわよ!!」
「でも友ちゃんおっぱい大好きだし~」
「私だってこれからもっと大きくなってお姉ちゃんにだって負けないからね!」
思わず胸元の服をつかんでしまう私だったけどこの二人は既に私が眼中にいない。
「だ、駄目ったら駄目だからね!! もう、お兄ちゃんおバカぁ! なんでそんなにおっぱい好きなのよ! 私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?」
私の叫びが静かな夕刻に響くのだった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
兄貴がイケメンすぎる件
みららぐ
恋愛
義理の兄貴とワケあって二人暮らしをしている主人公の世奈。
しかしその兄貴がイケメンすぎるせいで、何人彼氏が出来ても兄貴に会わせた直後にその都度彼氏にフラれてしまうという事態を繰り返していた。
しかしそんな時、クラス替えの際に世奈は一人の男子生徒、翔太に一目惚れをされてしまう。
「僕と付き合って!」
そしてこれを皮切りに、ずっと冷たかった幼なじみの健からも告白を受ける。
「俺とアイツ、どっちが好きなの?」
兄貴に会わせばまた離れるかもしれない、だけど人より堂々とした性格を持つ翔太か。
それとも、兄貴のことを唯一知っているけど、なかなか素直になれない健か。
世奈が恋人として選ぶのは……どっち?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる