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第四章 みんな大好きデース!
4-2(土)とりあえずお仕事デース!
しおりを挟むあたしは引きつった笑いの中、吉野君に撮影されている。
「うぉぉおおおぉぉぉっ! 長澤先輩可愛いですぅ! こっち目線お願いします!!」
「お客さん、踊り子さんには触らないでくださいデース! 一緒に撮影は別料金デース!」
何故かいつの間にかお気に入りのメイドや執事と記念撮影サービスなどと言うオプションが増えていた。
佐々木さんが向こうで黒い笑をしているのは気のせいだろうか?
「ふはははははぁっ! 長澤ぁ、こんな高校に来て何をしているかと思えばなんだその恰好は!? 面白いから僕も来てやったぞ! あ、オプションの撮影お願いします」
おいこら新田泉一郎!
お前には陽子ちゃんと言う者が有りながら何しっかりとデジカメ持って来てんのよ!?
しかもご指名が私って何っ!?
「ううぅ、先輩やっぱりかわいいですね。悔しいけどその恰好似合ってます。新田先輩が様子見るだけとか言ってたけどまだまだ長澤先輩の事気になってるみたいだし、やっぱり強敵です!」
眼鏡のズレを直しながら天川陽子ちゃんがずいっと私の前に出て来る。
この子、新田泉一郎の事が好きで生徒会でも頑張って中央高校を受験すると言う程なのに新田泉一郎はこんな所で何やってんのよ!
「はぁぁ~、長澤先輩の写真待ち受けにしちゃいますね!」
「いや、恥ずかしいからやめて、吉野君!」
ほこほこ顔の吉野君をテーブルにまで案内する。
そしてその後はリンダたちが応対しているけど早速紫乃とリンダが行ったあたり後で何言われる事やら。
「ふむ、僕たちも案内してもらおうか。おい長澤、席にまで案内しろ」
「ぐっ! お、お帰りなさいませ、だ、旦那様、お嬢様ぁ‥‥‥」
「ぶははははははぁっ! なんだそれは長澤ぁ!?」
一応学園祭の出し物とは言えお客様はお客様、私はマニュアル通りに応対をして引きつる笑顔で席にまで案内をして他のスタッフに変わる。
その後も何故か私を指名で撮影会が永遠と。
* * * * *
「ぶはっ! なんなのよ!? 一般人の来客も昨日以上に忙しくなっているじゃない!! それと佐々木さん、アミューズメントのイベントじゃないんだからあの看板止めてっ!」
私が接客する時間帯が何故か出入り口の看板に追加されている。
これではまるでアトラクションの開催時間のようだ。
やっと休憩に入ったあたしは佐々木さんに文句を言う。
「いやいや、誠心誠意をもってご主人様やお嬢様をお迎えするのに必要とされているメイドの笑顔は最高のおもてなしになります! さらに記念撮影の申し込みもうなぎ上り! 売り上げ倍増ですよ!!」
いや、学園祭の出しモノなんだから売上をそんなにあげても‥‥‥
鼻息荒く興奮気味の佐々木さんに呆れつつ私はやっと休憩になったので早速更衣室で着替える。
そしてお兄ちゃんの教室へ向かうつもりだった。
お兄ちゃんのクラスは占いをやっている事になってるけど、ほとんどの人が暇を持て余しているはず。
お手伝いのお兄ちゃんも時間が出来るはずだから一緒に校内を見て回ろうと思っている。
「OH-! 由紀恵もお休みデース! 一緒にお祭り見るデース!!」
「やっとお休みだよぉ~ ねぇねぇ、由紀恵ちゃんどこ行くの?」
更衣室にリンダと紫乃も入って来て着替える。
私は目的のお兄ちゃんのクラスに行く事を伝えると二人も目をらんらんとしてついてくるとか。
まあこうなるのは予想済みなので一緒にお兄ちゃんのクラスに向かおうとすると声を掛けられた。
「長澤先輩! 何処行くんですか? 一緒について行っても良いですか!?」
「ふん、どうもこう言った事はあまり肌合わないが、長澤、お前のおススメを教えろ」
「新田先輩、私も一緒に行きます! ふんすっ!」
ああ、こうなるのよね。
分かっていますとも、分かって。
私は肩を落としてとにかくお兄ちゃんのクラスへと向かうのだった。
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