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第四章 みんな大好きデース!
4-1(土)お祭りデース
しおりを挟む「うう、昨日は疲れたぁ~」
「由紀恵ちゃんどうしたの朝から~」
「今朝はマッサージしていても反応があまり良くなかったデース」
昨日は学園祭初日で校内関係者だけのお試し的なモノのはずだった。
なのにリンダのせいで私たちの出し物は大盛況。
ローテーションなんて関係なく私は一日中看板猫娘させられた。
今日からは一般の開放もあるので実際は今日からが本番。
でも既に私の体力はつきかけている。
「そうだ、休憩もらったら早速由紀恵たちの出し物見に行くよ。由紀恵のネコミミメイドも拝ませてもらわなきゃだもんな」
お兄ちゃんはそう言って笑っている。
ううぅ、恥ずかしいけどお兄ちゃんが来る宣言してくれた!
私はつきかけていた体力が一気に回復するのを感じる。
「ふーふーっふー、友也とうとう私のもとに来るデース! 捕まえたら逃がさないデース! 友也も私の物になるデース!!」
「何とち狂った事言っているのよ?」
リンダがワキワキと両手をあげてお兄ちゃんに迫る。
それを私が首根っこ掴んで引っ張って引き離す。
「武士の情けデース! 何としても友也を私の物にするデース! 静恵に負けたくないデース!!」
「あんたって子は、お兄ちゃん云々の前にそっちの勝負が先か!?」
「だって由紀恵と友也は私のファミリーデース!! もう家族デース!!」
リンダのその言葉に思わず掴んだ手を離す。
「私兄妹いないデース! でも日本で兄弟できたデース!! もう友也も由紀恵も私の兄弟デース!!」
鼻頭を赤くして少し涙目で両手の拳を握って力説するリンダ。
そう言えばリンダって兄妹いないって言ってたっけ。
「リンダ、あんた‥‥‥」
「だから高橋静恵たちに負けたくないデース!!」
そう言ってお兄ちゃんの腕を取ってあの凶器を押し付ける。
ぽよん
途端に鼻の下伸ばすお兄ちゃん。
「お、お兄ちゃんっ!!!!」
通学路に朝から私の叫びがこだましたのだった。
* * * * *
「長澤さん、今日もしっかりとお願いしますよ! 長澤さんの宣伝のお陰で朝からご主人様とお嬢様がこんなに沢山お越しですよ!!」
佐々木さんがいきなり私の肩をガシッとつかんできた。
そしてメイド服とネコミミカチューシャ、尻尾と何故か猫ブーツまで用意している。
何それっ!?
私が驚いていると更に追い打ちが来た!
「ねぇねぇ、由紀恵ちゃ~ん、あれって吉野君かな?」
言われて見れば入り口の所一番最初に見た顔がいる。
いや、吉野君なのはわかるけど何故カメラ構えているの!?
あ、ちなみに吉野君は私のいた中学の一つ下の後輩だった子。
私を追ってこの高校に入るんだと豪語する後輩君。
それが最前列で並んでいる。
「あれぇ~、新田君や天川さんも来てる~。うわぁ~懐かしいねぇ、由紀恵ちゃん~」
紫乃はのほほ~んと言うけどなんで知った顔がこんなに!?
新田泉一郎は中学時代の元生徒会長で私に告白して玉砕した人物。
そして天川陽子ちゃんは吉野君と同じ一個下の後輩だった娘。
私は頬に一筋の汗を流す。
一般開放早々に嫌な予感しかしない私だった。
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