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第一章Hello日本デース
1-4(土)由紀恵は可愛い妹デース
しおりを挟むホームセンターで紫乃と会ってリンダを紹介し、とりあえず必要な日用雑貨を買い、ペット売り場でしばし癒されてから家に帰る。
「ただいまデース! ママさん買ってきたデース!!」
「あら、リンダちゃんありがとうね。あら? 由紀恵どうしたの疲れたような顔して??」
「うん、ホームセンターで紫乃と会ったの。それでリンダ含めていろいろと‥‥‥」
あの後やっぱり紫乃とリンダはやたらと意気投合してあたしの知らない話で大いに盛り上がっていた。
あきれてあたしはペット売り場に行こうとするとみんなついてきてわいわいと。
でもまあ子犬たちが可愛かったし触れたから大満足!
「それと、これは由紀恵にデース!」
リンダは荷物を開けながら途中の百均で買った物を取り出す。
オーストラリアには百均のようなお店は無いらしくもの凄く感動していた。
ぽん。
いきなり頭に何かをつけられる。
「OH-っ! 由紀恵にあってマース!!」
「あ、ほんとだ、可愛いじゃないか由紀恵」
お兄ちゃんが私を可愛いって!?
何つけてくれたのよリンダ!?
私は慌てて鏡を見る。
ネコミミ‥‥‥?
カチューシャに猫のような耳がついたパーティーグッズのようだ。
私がそれを見て愕然としているとリンダがやって来てスカートの中に手を入れる!?
「ひゃっ!? リ、リンダ!?」
「後はこれをつければ完璧デース!」
そう言ってお尻の上、パンツに何か挟み込んだ!?
「ちょっ! リンダやめてよ!?」
「ハーイ、出来ましたデース!!」
お兄ちゃんが笑っている?
リンダはパチパチと拍手している。
私は思わずもう一度鏡を見る。
スカートの中から頭の上のネコミミと同じ色、黒色の尻尾が垂れ下がっている?
「ネコだネコだ。あははははっ! 由紀恵可愛いじゃないか!!」
お兄ちゃんはこらえきれずに笑い出した。
「なっ!?」
「由紀恵聞きましたデース。私由紀恵より少し早く生まれたデース、だから私由紀恵のお姉さんデース! 由紀恵私の可愛い妹デース!!」
「なっ! だ、だからってなんで私がこんな格好をするのよ!?」
「日本では妹は可愛いデース。正義デース。ネコミミデース! 出来ればメイド服着せたいデース!!」
どんな妹よ!?
一体日本の妹を何だと思っているのよ!?
「あははははっ、ああ笑った。でも由紀恵確かに似合ってて可愛いぞ?」
「え? ほ、本当!?」
「うん、そうだな、由紀恵のメイド姿も見たいかも?」
うっ!?
な、何それ!?
お兄ちゃんが私のメイド服姿を!?
そ、そしてあれやこれやと奉仕させる気なの!?
だ、駄目よっ!
私たち兄妹なんだから!!
思わず赤くなって両手を頬に当ていやんいやんとくねくねしてしまう私。
「由紀恵おかしいデース? そんなにネコミミよかったデースか? さっきペットで犬ばかり見てたデース」
「はっ!? あ、ああ、私は猫より犬の方が好きなのよ」
「OH-! 由紀恵は舐め犬でしたかデース!」
「違うわよっ! よくわからないけどなんか卑猥な感じするわよ! 何それっ!?」
「お姉さんにご奉仕するデース!!」
リンダはけらけら笑いながら言うけどなんか屈辱的ね!?
その後リンダは自分の買って来た物や学校へ行くための配布された制服を着てみたりとしばらく騒いでいた。
* * * * *
「明日はこの街の名所でも見て回ろうか?」
夕飯時にお父さんはそう言いながら私たちを見る。
とはいえ、この街にそんなに有名な所は無い。
「OH-そう言えば紫乃が明日面白いお店連れて行ってくれる言ってましたデース。私紫乃とデートデース」
リンダは慣れないお箸に悪戦苦闘しながら最後には諦めてフォークでご飯を食べている。
しかし、紫乃と一緒かぁ‥‥‥
なんかものすごく不安になってくるわね‥‥‥
「由紀恵も一緒に来るデース」
不安に思っているとリンダが私を覗き込んでそう言ってきた。
「私も一緒なの?」
「勿論デース! お姉ちゃんと一緒デース!!」
だから誰が姉よ!?
しかし紫乃と一緒じゃ不安なのは確かにある。
仕方ない、明日はこの二人に付き合うしか無いかぁ。
私は軽くため息を自分のお茶碗に吐くのだった。
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