6 / 14
06
しおりを挟む俺がやっと笑いのツボから抜け出して、ふと気づいた時にはシルの膝の上だった。
あれ?俺、さっきまで自分で座っていたはずだよな?
「し、シル?あの.....?」
「ん?」
チュッチュッ、と顔中に降ってくる甘いキスの雨。
「ん、や、ちょ、しるぅ........。きす待ってくださ.......」
「..........何?」
「なんで俺、シルの膝の上にいるんですか?いつの間に?」
「さっきの間に。なんで、と言われると、笑い転げてる俊が可愛くて愛でたかったから。ほれ、もう待てはいいだろう。」
再開されたキス。むず痒い。
......でも、唇には降ってこない。
「ん、な、なんで.........。」
口にはしてくれないの?
「だって、我は俊から好いてると告われていないから。」
「な........ッッ!!!」
い、いまさら何を.......!!!!!
「ぜっ全部お見通しなんじゃないんですか.....ッ!!!!」
「.........我だって、言われなきゃ寂しくて悲しくなるのにか?」
........ッッ!!ず、ずるい......!!!
「............し...が....」
「ん.........?」
「............し、る、が...........」
「シルが.....?」
「す、.....き。」
「うん。」
「............ちゃんと、口に........ちょ、ちょうだい.......?」
「........ッッ!!!!! あぁ!!喜んで.....ッ!!!」
ガバッて音が聞こえるくらいに抱きしめられ、唇を貪られた。
「ッッ!!~~~~~~ッッ!?!?ンッ、ぷぁ!し、シル!『待て』!」
「!?」
ピタッと固まったシルをみて、『あ、神獣様も、『待て』効くんだ........。』って思った。
勢いがすごすぎて、思わず実家の犬に対してみたいに扱ってしまった。だって脳裏によぎるくらい、勢いがそっくりなんだもん。実家に帰ると、顔中ベロベロになるまで舐められるんだ。可愛かったなぁ........。って、また現実逃避してしまった。いけないいけない。
「は、はじめてだから、ゆ、ゆっくりして.........?コツとか、色々.......あるでしょう?」
「!! ふふ、それはまた追々でいいかなぁ。........今は、可愛く慌てる俊を愛でたい。ゆっくり、というところだけご希望に添おうか。」
「なッ!!も、ん、ぅッ!!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
文句すら言う隙も与えられず、俺の唇は喰われた。うん。喰われた。
なんか、すごい、口の中舐められてない所、無いんじゃないかなってくらい..........。
.......シル、舌、長いから.........さ?な、なんか、シルの.....あ、アレ、舐めさせられてるみたいに、喉の奥、まで.......ぐぽぐぽされて........。
「達しておったな?」
.........俺の心を読んで、余計な事言わないでほしい。
長い長いキスでへろへろな俺に、シルは『人の心が読める』ことを打ち明けた。人の悪意に敏感なのはそういうことらしい。........俺は顔に8割出ているらしいけど。
「敏感だとは思っていたが、まさか口付けだけで達するほどだとはな.......。」
俺を膝に乗せて、顎を俺の頭の上に乗せた状態で嬉しそうに呟いている。
「..........ニヤニヤしながら反芻しないでください。」
「..........何故わかった?」
「それくらいわかります.........」
「ほう?.......ふふ、そうか。」
嬉しそうな声が聞こえる。背中から、心地良い心音も。
263
お気に入りに追加
458
あなたにおすすめの小説
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま

「婚約を破棄する!」から始まる話は大抵名作だと聞いたので書いてみたら現実に婚約破棄されたんだが
ivy
BL
俺の名前はユビイ・ウォーク
王弟殿下の許嫁として城に住む伯爵家の次男だ。
余談だが趣味で小説を書いている。
そんな俺に友人のセインが「皇太子的な人があざとい美人を片手で抱き寄せながら主人公を指差してお前との婚約は解消だ!から始まる小説は大抵面白い」と言うものだから書き始めて見たらなんとそれが現実になって婚約破棄されたんだが?
全8話完結

王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?
人生1919回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途なαが婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。
・五話完結予定です。
※オメガバースでαが受けっぽいです。
当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。
マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。
いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。
こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。
続編、ゆっくりとですが連載開始します。
「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)

何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら
たけむら
BL
何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら
何でも出来る美形男子高校生(17)×ちょっと詰めが甘い平凡な男子高校生(17)が、とある生徒からの告白をきっかけに大きく関係が変わる話。
特に秀でたところがない花岡李久は、何でもできる幼馴染、月野秋斗に嫉妬して、日々何とか距離を取ろうと奮闘していた。それにも関わらず、その幼馴染に恋人はいるのか、と李久に聞いてくる人が後を絶たない。魔が差した李久は、ある日嘘をついてしまう。それがどんな結果になるのか、あまり考えもしないで…
*別タイトルでpixivに掲載していた作品をこちらでも公開いたしました。

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**

学園の俺様と、辺境地の僕
そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ?
【全12話になります。よろしくお願いします。】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる