神獣様の森にて。

しゅ

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俺がやっと笑いのツボから抜け出して、ふと気づいた時にはシルの膝の上だった。


あれ?俺、さっきまで自分で座っていたはずだよな?



「し、シル?あの.....?」

「ん?」

チュッチュッ、と顔中に降ってくる甘いキスの雨。

「ん、や、ちょ、しるぅ........。きす待ってくださ.......」

「..........何?」

「なんで俺、シルの膝の上にいるんですか?いつの間に?」

「さっきの間に。なんで、と言われると、笑い転げてる俊が可愛くて愛でたかったから。ほれ、もう待てはいいだろう。」


再開されたキス。むず痒い。

......でも、唇には降ってこない。


「ん、な、なんで.........。」


口にはしてくれないの?


「だって、我は俊から好いてるとわれていないから。」

「な........ッッ!!!」


い、いまさら何を.......!!!!!


「ぜっ全部お見通しなんじゃないんですか.....ッ!!!!」

「.........我だって、言われなきゃ寂しくて悲しくなるのにか?」


........ッッ!!ず、ずるい......!!!


「............し...が....」

「ん.........?」

「............し、る、が...........」

「シルが.....?」

「す、.....き。」

「うん。」

「............ちゃんと、口に........ちょ、ちょうだい.......?」

「........ッッ!!!!! あぁ!!喜んで.....ッ!!!」



ガバッて音が聞こえるくらいに抱きしめられ、唇を貪られた。


「ッッ!!~~~~~~ッッ!?!?ンッ、ぷぁ!し、シル!『待て』!」

「!?」


ピタッと固まったシルをみて、『あ、神獣様も、『待て』効くんだ........。』って思った。

勢いがすごすぎて、思わず実家の犬に対してみたいに扱ってしまった。だって脳裏によぎるくらい、勢いがそっくりなんだもん。実家に帰ると、顔中ベロベロになるまで舐められるんだ。可愛かったなぁ........。って、また現実逃避してしまった。いけないいけない。


「は、はじめてだから、ゆ、ゆっくりして.........?コツとか、色々.......あるでしょう?」

「!! ふふ、それコツはまた追々でいいかなぁ。........今は、可愛く慌てる俊を愛でたい。ゆっくり、というところだけご希望に添おうか。」

「なッ!!も、ん、ぅッ!!」
  






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




文句すら言う隙も与えられず、俺の唇は喰われた。うん。喰われた。


なんか、すごい、口の中舐められてない所、無いんじゃないかなってくらい..........。

.......シル、舌、長いから.........さ?な、なんか、シルの.....あ、アレ、舐めさせられてるみたいに、喉の奥、まで.......ぐぽぐぽされて........。



「達しておったな?」


.........俺の心を読んで、余計な事言わないでほしい。



長い長いキスでへろへろな俺に、シルは『人の心が読める』ことを打ち明けた。人の悪意に敏感なのはそういうことらしい。........俺は顔に8割出ているらしいけど。


「敏感だとは思っていたが、まさか口付けだけで達するほどだとはな.......。」


俺を膝に乗せて、顎を俺の頭の上に乗せた状態で嬉しそうに呟いている。


「..........ニヤニヤしながら反芻しないでください。」

「..........何故わかった?」

「それくらいわかります.........」

「ほう?.......ふふ、そうか。」



嬉しそうな声が聞こえる。背中から、心地良い心音おとも。







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