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9.保健室と俺の悩み

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目を瞑ったまま、梓の体温、匂いを堪能していると、


「平太、やっぱまだ調子悪いんでしょ。保健室行くよ。」


と梓に、座った形のまま、所謂お姫様抱っこの形で抱き上げられた。


「ちょ!?!待て待て待て待て!大丈夫だって!俺元気だし!ってか歩けるし!!」


慌ててそう言うけど、今度は梓に無視され、そのまま足早に保健室に連れていかれた。






保健室の扉には『今日先生は出張です☆何かあれば担任の先生に言ってね☆』の貼り紙。


その紙も無視して保健室に入る梓。
そして、ポスンッとベッドの上に降ろされた。


「だ、大丈夫だって、梓..........ね?」


そんなに心配させてしまったのか、確かにちょっと様子おかしくし過ぎたな、と反省していると、梓が俺と目線を合わせながら、そっと口を開く。


「平太、何悩んでるの?」

「へ?」

「元気なのはわかってる。体温もいつも通りだし。.........先週もなんか考えてるみたいだったけど、今日はもっと......................何を考えてるの、平太。」

「い、いや................」


言えない。言えるわけない。『本気であなたに惚れてしまいました。お願いだから俺に飽きないで。』なんて。


「........................俺には言えないのに、あの3人には言えるの?」


そりゃ本人には言えないでしょうよ。....................これも言えないけど。


「え、えと...........」

「そんなに俺って頼りない?平太の事、誰よりも好きなのに、平太は俺の事そんなに信用できない?」


誰よりも、だって。


「はは.............」


その好きは俺の好きとは違う癖に。


「何がおかしいの。」


ちょっと冷たい、拗ねたような、怒った声。


「ん~?だって、好きだって。」

「.........好きだよ。」

「ふふ、俺も好きだよ。」


この流れだったらネタとしていえる。そう思って、俺も『好き』を口にした。いざ言ってみると、スッキリするし、嬉しい。例え一方通行だったとしても、こんなに嬉しいんだ。


「へへ、好き。だいすき。」


1度口に出したら、吹っ切れたのか、1本切れたのか、なんだよくわかんないけど、次々に口から滑り落ちてく。


大丈夫、大丈夫。だって梓にそんな感情ないんだから。俺の『好き』だって、まさか恋愛の方だなんて考えもしないでしょう?









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