上 下
9 / 14

8.複雑な月曜日

しおりを挟む









気がついたら俺は自分の部屋で寝ていた。恐らくアイツらが運んでくれたか、親に連絡をいれてくれたんだろう。お礼にお菓子を贈呈しようと思う。


以降2日間は疲れていたのか、体調が回復せず寝込んでいたので、知恵熱を出したのが金曜日で本当に良かったと思う。






そんなこんなで月曜日。

きてほしくないんだか、きてほしいんだか。よく分からない気持ちだとしても、関係なく朝はやってくるんだなぁ........。





ガラガラ........


「ッッ!! 平太!!!」


梓が真っ先に気づいて俺の方に向かってくる。 ............あ、そういえば土日スマホみてなかったや............


「おはよう、聞いたよ、体調崩したんだって?金曜日元気そうだったから.......気づけなくてごめんね。スマホも見てなかったみたいだし、だいぶ具合悪かったんでしょ?今は?無理してない?」

「.......ん、だいじょうぶ。」


連絡返してなくてごめんな。もう元気だよ。

しゃべれるようにはなったけど、最後までは言えなかった。


「.................そっか。よかった。とりあえずはやく座ろう?おいで。」


おいで、と手を引かれる。そして先に梓が俺の席に座り、俺を膝の上に座らせる。

いつもは正面を向いて座るんだけど、なんとなく今日は横で座った。頭を梓の肩に預ける。


「........平太?」


梓は不思議そうにしてたけど、無視してそっと目を瞑る。








俺は梓が好きだ。

梓も、俺を好きだと言う。


でも、梓は俺と付き合いたいとかそういうアレではないんだろうな。


冗談というか、友達というか............俺、身長低いし、ペットとか、ぬいぐるみみたいな感覚かもしれない。


そんな存在だったとしても、一応されている事は恋人同士がするようなことばかり。俺は、この気持ちに気づいたことで、梓からされることを一つ一つ喜び、そして哀しむんだろうなぁ。


いつ、梓は俺にこういう事に飽きるんだろうな、って。 ............前はいつかは飽きるだろ、早く飽きればいいのにって、思ってたのにね。


男子校だし、梓が俺にこうしている間は、梓は俺のものみたいな、そういう妄想ができる。他の片想いしてる奴らからしたら、ものすごい幸せな立場にいると思うんだ。


あったかい、すっぽりとハマる、まるで自分の巣みたいな梓の膝の上。


梓に彼女が出来たら、いや、好きな人が出来たら。ここはもう俺のじゃなくなるんだ。






...........................やだなぁ、渡したくないなぁ。



一応、好きになってもらえるように努力はする。でも、やっぱ同性だしさ?無理な時は無理じゃん?


だから、今のうちに、めいいっぱい、堪能しとこうかなって。





それが俺の結論だった。











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

紹介なんてされたくありません!

mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。 けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。 断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

その日君は笑った

mahiro
BL
大学で知り合った友人たちが恋人のことで泣く姿を嫌でも見ていた。 それを見ながらそんな風に感情を露に出来る程人を好きなるなんて良いなと思っていたが、まさか平凡な俺が彼らと同じようになるなんて。 最初に書いた作品「泣くなといい聞かせて」の登場人物が出てきます。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。 拙い文章でもお付き合いいただけたこと、誠に感謝申し上げます。 今後ともよろしくお願い致します。

離したくない、離して欲しくない

mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。 久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。 そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。 テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。 翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。 そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

俺(受け)に容赦ないダーリンをどうにかしたい

丸井まー(旧:まー)
BL
受けに物理的に容赦ない攻めのちょっとしたお話。 超絶照れ屋な童貞攻め✕溺愛誘い受け。 ※ツイノベで書いたものです。

繋がれた絆はどこまでも

mahiro
BL
生存率の低いベイリー家。 そんな家に生まれたライトは、次期当主はお前であるのだと父親である国王は言った。 ただし、それは公表せず表では双子の弟であるメイソンが次期当主であるのだと公表するのだという。 当主交代となるそのとき、正式にライトが当主であるのだと公表するのだとか。 それまでは国を離れ、当主となるべく教育を受けてくるようにと指示をされ、国を出ることになったライト。 次期当主が発表される数週間前、ライトはお忍びで国を訪れ、屋敷を訪れた。 そこは昔と大きく異なり、明るく温かな空気が流れていた。 その事に疑問を抱きつつも中へ中へと突き進めば、メイソンと従者であるイザヤが突然抱き合ったのだ。 それを見たライトは、ある決意をし……?

処理中です...