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断罪の公爵令嬢

精霊の愛し子

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(精霊の愛し子?聞いたことのないものですね…)
『そうだろうね。だから今から説明するよ。いいかい?』
声は楽しそうに言う。
言葉使いが砕けているのは突っ込まないでおきましょうか…
(はい、お願いいたします。)
緊張する…前回はこのようなことはなかったわ。
いったい何が起きてるの?
私の混乱を見透かすように声は言った。
『ふふふ。安心して。きっとこれからの君のためになるよ。それじゃ、説明するね。まず、精霊の愛し子になれる条件から!』
声の説明はこうだった。
この力の解放条件は、
一定の階級の精霊と契約していること。
精霊の血筋であること。
魔力が一定以上あること。
精霊を愛する者であること。
精霊王からの推薦と、神からの許可がおりること。
だった。
突っ込みどころが多すぎて逆に声が出ないです…
『まあ、そうだろうね。そもそも普通の人に精霊は見えないし、見えても契約できない。精霊王に会うなんて無理。精霊の血筋ってのもなかなかないからね…』
(え、家って精霊の血筋なんですか?)
『そうだよ。誰かは内緒。探してみて。』
今回初めて知りました。新事実です。
そして精霊王からの推薦…リヤン達ですね…
でも、神?許可?え、なんか怖くなってきました。
え、この能力どんな力なの…
強すぎる力は身を亡ぼす。
そう、かつてのわたくしのように。
思い出すのは暗くて悲しい、ある国の王妃わたしのこと。

人々のあざ笑う声。無様だと、拘束された私に言った彼女。
何の罪もないパパを殺した…私を陥れた国。
人が死ぬ姿を見て笑った群衆。そして
心が凍っていく。自分がわからなくなる。わたくしは…
また、国に縛り付けられるのはいや!
(私は幸せになりたい。この力がその妨げとなるなら、いりません。)
『え~と、話聞いてくれる?』
はっとする。わたくしってばなにを。
周りが見えなくなっていました…
(すみません。つずけてください。)
『うん、わかった。能力は…』
簡単に、本当にざっくりまとめるとずばり、
(精霊魔法が使えるようになる…?)
『うん。つまり魔力を契約した精霊に借りて魔法を使える、ということだね。契約した精霊ができる魔法は何でもできるから、精霊王と契約しているユリアはうん、やばいね。』
……コメントのしようがありません。この能力、ばれたらもうわたくしの幸せどころか自由すらなくなってしまうわ。
『ユリア、無の精霊王がいるよ?ねえ、もう使えるんだよ。』
(偽装でもしろと?)
『その通り!適当にデザイナーとかにしといたら?』
デザイナーはそこそこ珍しい能力だ。
自分の持つデザインセンスが開花するという単純な効果がある。
(やってみますね。)
リヤンに呼び掛ける。偽装できる魔法を作りたい。
【任せるのじゃ‼】
ぽわっと私の周りが光った。
『うまくできたみたいだね。大丈夫。しっかりできているよ。さあ、そろそろ時間だよ。』
(いろいろありがとうございます。一つ、最後お聞きしても?)
『いいよ。ものにはよるけど。』
(ありがとうございます。では、あなたは何者ですか。)
『僕は、神様だよ。考えてみてよ。天啓は神様からのお告げだよ?』
(やっぱりそうなのですね…)
『時間だ。神殿で祈ってくれればまた話せるからね。それじゃあ、またね。』

気が付くとそこは確かに神殿だった。
天啓は無事?に終了したのだった。



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おまたせいたしました。どこが毎日更新だよ、と思った方、
本当に申し訳ございません。
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