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始まりの物語。

父様(パパ)の実力

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 「こんにちは。ユリア様。」

わたくしが、訓練を見学していましたら、不意に声をかけられました。

びっくりして、固まってしまいました。

「あぁ、すみません。驚かせてしまいましたね。」

「え、あぁ、わたくしこそすみませんでした。」

見たところは、騎士団の方です。
茶髪で青い目をした優しそうな男の人です。

「僕は、王国騎士団副団長の、ラルフ ブックスです。
団長に頼まれて、見学中、ユリア様の護衛をさせていただきます。よろしくお願いします。」
 
そう言って、ラルフはニッコリと笑いました。
爽やかイケメンです。
女の子が殺到しそうな人ですね。


「こちらこそ、お忙しい中、ありがとうございますわ。」


見学しててわかったことなのですが、騎士団は、剣で戦う人だけではないのですね。
弓矢、やり、暗器などがありました。暗器の人の戦い方は、とてもおもしろかったです。
いろいろな道具を使って、工夫して戦っていました。
また、身軽で素早く、気配を消すのが上手でした。
暗殺者みたいな感じです。
私が、熱心に、そのような人たちを見ていたら、ラルフが教えてくれました。

「あの人達は、暗殺や、諜報を主にしている人達ですよ。
工夫された戦術や、素早さ、気配を消すことに特化しています。」


「そうなんですか!」

わたくしは、面白くて面白くてたまりません。
笑顔が絶えないなんて、いつ以来でしょう。

(可愛い笑顔だなぁ。っ何を考えてるんだ、僕は。
団長に怒られてしまう。)

あら?ラルフったら、おかしいです。
癒やされたような笑みを浮かべたかと思ったら、ハッとしたように無表情になるなんて。
 
「ふふ。」

「楽しそうですね。よかったです。」


あら、父様(パパ)が、他の騎士たちに囲まれていますね。一体どうしたのでしょうか?
ちょっと近づいてみましょう。


「ユリア様、どこに行かれるんですか?」

あ、言うのを忘れてました。私としたことが。

「父様が、囲まれているようなので、近くまで見に行こうかと。
面白そうなので。」

ラルフは、それを聞いて、父様(パパ)の方を見ました。そして、

「たしかに面白そうですね。」

と言ってくれました。

「ふふ。意外と性格、合います?」

「合うかもしれません。」

なかなか見どころのある人です。
気が合うことが判明したところで、1つ、気になったことを、質問しておきます。

「ラルフは、いくつなのですか?」

「僕ですか?僕は、今年で、18になります。」

かなり若いですね。

「若くして、副団長まで上り詰めるなんで、すごいですね。」

「よく言われます。」

ふふ。人柄もいいですね。

「これからも騎士の仕事、頑張ってくださいね。」
 
(この子はすごい。
人を見極めることができる。)

今、わたくしは、ラルフの人柄と、将来性を予想しました。
まず、18で、副団長という地位。
かなりの腕があることがわかります。
そして、慢心をしていない。性格や、物の考え方も、しっかりしています。
なにより、楽しむ、ということをしっています。
楽しめなければ、まっている未来は、破滅だと、私は思っているからです。
かつてのわたくしがそうだったように…
人に好かれなければ、かつてのわたくしの様になりますから…


「さあ、行きましょう。」

「はい。」

わたくしと、ラルフには、確かな繋がりができたように感じます。
お互いに信頼し会える関係になれたのでしょうか?
そうだといいですね。

「皆様、どうしたのですか?」
「「「ユリアお嬢様!」」」


3人くらいに言われましたね。


「聞いてくださいよ!」
「団長ったら、」
「せっかくユリアお嬢様が来ているのに、自分は模擬戦しないっていうんですよ!」
(うんうん)

なんか、皆様、うなずいていますが…


わたくしは父様(パパ)の方を向きます。

面白そうなので、頼んでみましょう。

「パパは見せてくれないのですか?」

 ウルウル

こんしんのお願いポーズです。

「…わかった。」

((((ちょろい!!))))


ふふ、うれしいです。
ついつい笑顔になってしまいます。


「ありがとうございます!」 


「ユリアが喜んでくれるなら、頑張る。」

父様(パパ)が、すごく魅力的なことを言っています。楽しみです!でも…

「お相手は誰がやりますの?」

「僕がやりましょう。」

ラルフが受けてくれました。
父様(パパ)の実力と、ラルフの実力、同時に知れて、一石二鳥ですね!






結果、父様(パパ)の勝ちでした。
でも、ラルフもしっかりついていけてました!他の方とレベルが違って見える戦いでした。
とてもおもしろかったです。
やはり、団長と、副団長の地位は、伊達じゃありませんね!

「パパ、かっこよかったです!」

わたくしは、パパに抱きつきました。
パパは、わたくしを抱きかかえて、

「ユリアのためなら、朝飯前だ。」

と言ってくれました。

「ラルフも、かっこよかったです。
初めて見学した、わたくしでも、すごいことがわかる、戦いぶりでしたよ!」


「もったいなきお言葉です。」

熱心に見学していたら、少し疲れましたね。
それに、パパに抱きかかえられているのは落ち着きます。
でも、寝る前に言わねければ、いけない言葉があります。


「今日は、ありがとうございます。」

パパの迷惑になってしまうので、降りなければ…
わたくしが、降りようと抵抗したら

「私の腕の中で眠っていいぞ。」

ちょっともう、限界なので、本当は、降りなければいけないのですが、パパの言葉に甘えようと思います。



…帰ったら、エリナに、朝に言われたことの答えを言わないと。


わたくしは、そんなことを考えながら、眠りに付きました。
 














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