35 / 38
35 互いしか見えない
しおりを挟む
甘い痺れに全身を犯されて放心していると、お義兄様の声が聞こえた。
「クリスの体に触れたのは、俺だけだな? この四年間、他の男には触らせていないな?」
「はい……お義兄様だけです。お義兄様にしか触れさせないし、触れられたくありませんから」
目を細めてお義兄様がふわりと微笑んだ。
そして、小さくなにかを呟く。
「よかった。もし触れた者がいたら、殺してしまうところだ」
声が小さすぎて、なにを言ったから分からない。聞き返そうかと思ったけれど、それよりもわたしには質問したいことがあった。
「わたしのことより、お義兄様はどうなのです? 他の女性と同衾のご経験はあるのですか?」
「え?」
「以前、淑女教育をして下さっていたロマーノ夫人から聞いたことがあります。お義兄様が房事の実施授業を受けるって。どこかのご婦人と、その、触れ合ったの……ですか?」
考えただけでも悲しくて、わたしの瞳から涙が零れ落ちる。
「そのことをロマーノ夫人から聞いた時、わたし、とても苦しくて嫌な気持ちになりました。今それを想像するだけでもすごく辛い。……嫌、嫌です。お義兄様が他の女性と肌を合わせるなんて、絶対に嫌……」
涙を流しながら嗚咽するすわたしに、お義兄様が困ったように眉根を下げながらも口元に笑みを浮かべた。
「本当に、昔から俺を好いてくれていたのだな。嬉しいよ、クリス」
そう言うと、わたしの涙を唇で吸い取ってくれる。
「安心してくれ、俺もクリスだけだ。房事の実施は断ったからな」
「そ、そうなのですか?」
「クリス以外を抱くなんて、考えただけで虫唾が走る。俺はずっとクリスだけを好きだった。欲しいのは今も昔もクリスだけだ」
「嬉しい」
お兄様から触れるだけのキスを何度かされた後、熱の籠った瞳を向けられた。
「おしゃべりはここまでだ。続きがしたい」
「わたしも早くお義兄様と一つになりたい……」
「……くっ、煽り過ぎた。俺が何年この時を待っていたと思っている」
お義兄様の水色の瞳が欲望の色に染まる。
つい先ほどまで指でかき回されていた濡れた秘所に、お義兄様の熱い屹立が当てられた。それが柔らかく濡れた肉を割り開くように少しずつ入ってくる。
最後にそこに何かが入ったのは、もう四年も前のこと。
久し振りすぎて痛みがあるものの、愛する人とひとつになれる喜びで全身が歓喜にむせび泣く。
「あ……あぁっ」
「クリス」
「早く、お義兄様、早く奥まで……きて」
次の瞬間、わたしの体を太くて硬くて熱いものが貫いた。
「は、んぁああっ!」
「クリスの体に触れたのは、俺だけだな? この四年間、他の男には触らせていないな?」
「はい……お義兄様だけです。お義兄様にしか触れさせないし、触れられたくありませんから」
目を細めてお義兄様がふわりと微笑んだ。
そして、小さくなにかを呟く。
「よかった。もし触れた者がいたら、殺してしまうところだ」
声が小さすぎて、なにを言ったから分からない。聞き返そうかと思ったけれど、それよりもわたしには質問したいことがあった。
「わたしのことより、お義兄様はどうなのです? 他の女性と同衾のご経験はあるのですか?」
「え?」
「以前、淑女教育をして下さっていたロマーノ夫人から聞いたことがあります。お義兄様が房事の実施授業を受けるって。どこかのご婦人と、その、触れ合ったの……ですか?」
考えただけでも悲しくて、わたしの瞳から涙が零れ落ちる。
「そのことをロマーノ夫人から聞いた時、わたし、とても苦しくて嫌な気持ちになりました。今それを想像するだけでもすごく辛い。……嫌、嫌です。お義兄様が他の女性と肌を合わせるなんて、絶対に嫌……」
涙を流しながら嗚咽するすわたしに、お義兄様が困ったように眉根を下げながらも口元に笑みを浮かべた。
「本当に、昔から俺を好いてくれていたのだな。嬉しいよ、クリス」
そう言うと、わたしの涙を唇で吸い取ってくれる。
「安心してくれ、俺もクリスだけだ。房事の実施は断ったからな」
「そ、そうなのですか?」
「クリス以外を抱くなんて、考えただけで虫唾が走る。俺はずっとクリスだけを好きだった。欲しいのは今も昔もクリスだけだ」
「嬉しい」
お兄様から触れるだけのキスを何度かされた後、熱の籠った瞳を向けられた。
「おしゃべりはここまでだ。続きがしたい」
「わたしも早くお義兄様と一つになりたい……」
「……くっ、煽り過ぎた。俺が何年この時を待っていたと思っている」
お義兄様の水色の瞳が欲望の色に染まる。
つい先ほどまで指でかき回されていた濡れた秘所に、お義兄様の熱い屹立が当てられた。それが柔らかく濡れた肉を割り開くように少しずつ入ってくる。
最後にそこに何かが入ったのは、もう四年も前のこと。
久し振りすぎて痛みがあるものの、愛する人とひとつになれる喜びで全身が歓喜にむせび泣く。
「あ……あぁっ」
「クリス」
「早く、お義兄様、早く奥まで……きて」
次の瞬間、わたしの体を太くて硬くて熱いものが貫いた。
「は、んぁああっ!」
11
お気に入りに追加
1,444
あなたにおすすめの小説
愛するお義兄様のために、『悪役令嬢』にはなりません!
白藤結
恋愛
「ふん。とぼけても無駄よ。どうせあなたも『転生者』なんでしょ、シェーラ・アルハイム――いえ、『悪役令嬢』!」
「…………はい?」
伯爵令嬢のシェーラには愛する人がいた。それが義兄のイアン。だけど、遠縁だからと身寄りのないシェーラを引き取ってくれた伯爵家のために、この想いは密かに押し込めていた。
そんなとき、シェーラと王太子の婚約が決まる。憂鬱でいると、一人の少女がシェーラの前に現れた。彼女曰く、この世界は『乙女ゲーム』の世界で、シェーラはその中の『悪役令嬢』で。しかも少女はイアンと結婚したくて――!?
さらに王太子も何かを企んでいるようで……?
※小説家になろうでも公開中。
※恋愛小説大賞にエントリー中です。
※番外編始めました。その後、第二部を始める予定ですが、まだ確定ではありません、すみません。
最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
【完結】優しくて大好きな夫が私に隠していたこと
暁
恋愛
陽も沈み始めた森の中。
獲物を追っていた寡黙な猟師ローランドは、奥地で偶然見つけた泉で“とんでもない者”と遭遇してしまう。
それは、裸で水浴びをする綺麗な女性だった。
何とかしてその女性を“お嫁さんにしたい”と思い立った彼は、ある行動に出るのだが――。
※
・当方気を付けておりますが、誤字脱字を発見されましたらご遠慮なくご指摘願います。
・★が付く話には性的表現がございます。ご了承下さい。
つがいの皇帝に溺愛される幼い皇女の至福
ゆきむら さり
恋愛
稚拙な私の作品をHOTランキング(7/1)に入れて頂き、ありがとうございます✨ 読んで下さる皆様のおかげです🧡
〔あらすじ〕📝強大な魔帝国を治める時の皇帝オーブリー。壮年期を迎えても皇后を迎えない彼には、幼少期より憧れを抱く美しい人がいる。その美しい人の産んだ幼な姫が、自身のつがいだと本能的に悟る皇帝オーブリーは、外の世界に憧れを抱くその幼な姫の皇女ベハティを魔帝国へと招待することに……。
完結した【堕ちた御子姫は帝国に囚われる】のスピンオフ。前作の登場人物達の子供達のお話に加えて、前作の登場人物達のその後も書かれておりますので、気になる方は是非ご一読下さい🤗
ゆるふわで甘いお話し。溺愛。ハピエン♥️
※設定などは独自の世界観でご都合主義となります。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
婚約破棄でみんな幸せ!~嫌われ令嬢の円満婚約解消術~
春野こもも
恋愛
わたくしの名前はエルザ=フォーゲル、16才でございます。
6才の時に初めて顔をあわせた婚約者のレオンハルト殿下に「こんな醜女と結婚するなんて嫌だ! 僕は大きくなったら好きな人と結婚したい!」と言われてしまいました。そんな殿下に憤慨する家族と使用人。
14歳の春、学園に転入してきた男爵令嬢と2人で、人目もはばからず仲良く歩くレオンハルト殿下。再び憤慨するわたくしの愛する家族や使用人の心の安寧のために、エルザは円満な婚約解消を目指します。そのために作成したのは「婚約破棄承諾書」。殿下と男爵令嬢、お二人に愛を育んでいただくためにも、後はレオンハルト殿下の署名さえいただければみんな幸せ婚約破棄が成立します!
前編・後編の全2話です。残酷描写は保険です。
【小説家になろうデイリーランキング1位いただきました――2019/6/17】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる