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第35話 新たなる訓練1

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時間になりエリーがレオンナンドが来たこと知らせてくれた。

未だ寝ぼけているゴロウを揺らすが起きてくれない。
仕方なく小脇に抱えてレオンナンドのもとへと向かう

玄関の前で待っていたレオンナンドはオレの姿を見つけると
「おはようございます」と爽やかイケメンスマイルで挨拶をしてくれた。

朝の爽やかな空気と日差しが相まって
歯がキランッと光って見えた。
いや、確実に光っていた。

「おはようございます。今日からよろしくお願いします」
オレは訓練の師匠に挨拶をした。


朝露がまだ草を濡らす中、体を動かすには最高の環境だが、
オレは昨日、試しに使った魔法で部屋の窓を破壊してしまった事が頭から離れず
一抹の不安が残っていた

森の中で少し開けた場所に到着するとレオンナンドが
荷物を降ろしイケメンマイナスイオンスマイルで
「ダイ様、今日はここで訓練をしましょう!」と声をかける

オレも、小脇に抱えたゴロウを岩の上に降ろし
「はい」と答える


「準備はいいですか、ダイ様?」レオンナンドが慎重に尋ねた。

「…はい、大丈夫です。」と返事をしたものの、
緊張のせいか声が少し出しにくかった。

緊張感していることを察したレオンナンドは小さく頷くと、
木剣をダイに渡し
「今日はまずは基本的な魔力の動きを確認しましょう。
ですが、十分すぎる魔力を持っているダイ様は
魔力を無理に押し込めようとせず、体と剣に自然に流せるようにすることです。
まずはどの程度の魔力なのか確認の為軽くこの剣に魔力を込めて振ってみてください」


ダイは木剣を握りしめたが、体がこわばっているのが自分でも分かった。
昨日バルシュに見せた身体強化だけでオレの予想をはるかに超えていた。
魔力が暴発したら大変なことになるのではないか
近くにいるレオンナンドさんも無事じゃすまない。
そんなことを思っていると

「それでは始め!」とレオンナンドは合図を出した。

オレはうなずき
木剣を大きく振りかぶり、慎重に魔力をに剣流し始める。

だが剣先に向かって流れた魔力はうまく制御が出来ず、
風圧で周囲の木々が大きく揺れ、枝葉がざわめき立った。

「うわっ…!?」ダイは驚いて剣に流れる魔力を止めたが遅かった。
木剣から放たれた魔力が遠くの木々にぶつかり、数本の木が大きく裂けて倒れた。
自分の予想を超えた威力に、ダイは一瞬言葉を失った。


「これほど強大な魔力は始めてみました…」
レオンナンドは驚いたような表情を見せたがすぐに
イケメンスマイルで「素晴らしいですよダイ様!この魔力を自由に使えるようになったら楽しそうじゃないですか?」

ポジティブな言葉をかけてくれるレオンナンドに少しホッとしたが、
それ以上に自分の力に対する恐れがあった。

そんなオレの表情を察し
「大丈夫です、ダイ様。焦らずやっていきましょう。これは時間がかかる訓練です。」
とレオンナンドは冷静に言ったが、その顔にはわずかに緊張が見えた。

「次はもう少し力を抑えてみましょう。」

オレはもう一度深呼吸をして
レオンナンドに「はい」と返事をした。

岩の上で寝ていたゴロウはオレの肩に静かに乗り、
「ダイ、怖がらないで。」と優しく助言した。

「ありがとうゴロウ」

オレは持っている剣を再び構え、今度はさっきよりも力を抑え、
慎重に魔力を剣に通そうとしたが、やはり魔力の流れをコントロールするのは難しかった。
剣に集中して魔力を送ろうとすると、力が一気に溢れ出し、抑えきれない感覚に襲われる。

「くっ…ダメだ、抑えきれない!」
オレは思わず木剣を離したが、再び暴発した魔力が剣先から弾け飛び、
地面に大きな亀裂を生じさせた。地面が激しく揺れ、周囲の木々までもが根こそぎ倒れる。

「ダイ様、力を集中しすぎています! 」レオンナンドが注意した。

「はい!でも、どうすれば…」
オレは自分の力に圧倒されていた。

ゴロウはそっとダイの耳元で言った。「なんかダイの中から魔力が出たがってるみいたい。
ダイが止めようとするとギチギチグラグラってなってるよ」

オレはゴロウのアドバイスにコクリとうなずく

そしてもう一度深呼吸をした。
力を押さえつけようとせず、自然に流れ出す感覚をイメージして、再び剣を振り上げる。
今度は静かに魔力が剣に通り、優雅な光が剣先にまとわりつくように走った。

「…できた!」
感覚で今までと違うことが分かった。


「そうです!それです」レオンナンドは満足げに頷いた。
「その感覚を覚えてください。それが力を制御する鍵です!」


オレはゴロウを見て微笑んだ。
「ありがとう、ゴロウ。君がいなかったら、こんな風にはできなかったよ。」

ゴロウもまた、満足げに頷いた。
「うん、魔力ギチギチしてない!」

こうしてオレは、力の制御に苦戦しつつも、
レオンナンドの協力もあり魔力を使う事への恐怖心が薄れていった。

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