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三章
108 名を継いだ者達
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盗賊団のアケミ達の力を借りる事になってから早数日。
僕は町の中で騎士達の集団を眺めていた。
場所は王城から正門へと続く道、その道を神聖騎士団と豪華すぎる馬車が通っていく。
神聖騎士団、数日前にこれまた新国王であるマルボイが新しく作った騎士団達。
あの豪華な、いや豪華すぎる馬車にの一つに国王が乗っているんだろう。
うーん、前後あわせて兵士が六人。
腕には白銀の篭手がついている事から聖騎士か……。
「痛っ!」
僕の後頭部に痛みが走った。
振り返ると、変装をしたマリエルが僕の顔をみて、ほほを含まらせている。
「わんちゃん、倒せそうとか思ってるでしょ」
「え。いや…………うん」
いまさら嘘をつく事もないし、素直に頷く。
正直、今あの列に突っ込んで王を暗殺したほうが早いきがするってのは間違いない。
「で、あの馬車に居なかったらどうするのよ」
「という事は影武者?」
「多分普通に乗ってるとは思うけど……、万が一って事。
と、いうわけで王が出て行ったって事は、全体的に町の警備も緩むわよ」
マリエルの言葉に僕は頷く。
作戦は今夜だ。
僕は静に頷くと、王と兵の出国を見送った。
自称秘密のアジトへと戻り軽い夕食を終えた。
結局反国王勢と言うのか、その家族や知人が捕らわれているのは三つの場所とわかった。
城の第二訓練場。
町外れの倉庫。
王都から離れた場所にある森の中にある施設。
部隊を三つに別け同時に攻略する。
僕とマリエル、そしてアデーレは城へと行くことになった。
本当はジャッカルも来る予定だったんだけど、サナエに連れて行かれた。
とりあえず、おめでとうと言ったら、俺はハーレムを作りたいんだ。一人の女に縛られたくないと、力説をしてくれた。
「さて、私達もいきましょうか」
そういうのは、ピクニックに行くような格好で、膝が見えるスカート姿のマリエル。
背中には城へと乗り込むための道具が入っている。
アデーレも簡単な服装で、背中には釣り竿を入れる筒状のカバンを下げていた。
中には弓矢が入っているはず。
僕のほうも武装は特に無い、本当は剣の一つも持っていきたいけどしょうがない。
「了解」
僕が返事をすると、マリエルとアデーレが頷く。
今の二人は両腕に篭手を嵌めていた。
僕らは闇夜の町を見つからないように走った。
場所は城の側面。
川を飛び越え一気に進む、人質を解放した後は城壁の一部を壊し、その騒動にまぎれて人質を川から逃がす。
逃がした先でアケミ率いる盗賊団が隠れ家を提供すると言う作戦だ。
本当に助かる。
もしアケミの協力がなければ、他の施設も襲い帝国領へ亡命させる予定だったから。
それと、最近知った事だけど、あの薬。
僕らの中で色々と納得いかない部分が出始めてきた。
確かに飲めば一時的に力が無くなる、そして篭手をつけると力が戻る。
それを繰り返していくと、篭手をはずした状態でも以前より力が上がっているんじゃという話になってきた。
僕が服用していないので確信はないけど、帝国などにいるハグレに近い感じとマリエルが教えてくれた。
たしかに僕が見たハグレ、フランは篭手をしていなかった。
「おーいっ」
小さくマリエルに呼ばれて前を向く。
アデーレは既に城を囲む川を飛び越えていた。
「あ、ごめん。マリエルも先にどうぞ」
「先に飛んで、ヴェルが来ないから戻ってきたんですけどー」
「ご、ごめん」
もう一度謝る。
まったくもうと、マリエルが言うとあっさりと川を飛び越えた。
僕が川を渡ると二人に追いつく。
後は高い城壁だけなんだけど、今の僕にかかれば駆け上がる事は出来るだろう。
「ん。マリエル」
「なに? 気分でも高まって襲いたくなった?」
マリエルは鎖骨の部分から胸を見せようとしている。
僕はアデーレへと向き直った。
「こう簡単に潜入できるのはいいとして、その罠みたいのはないの?」
「ありますね」
「え」
それは大丈夫よと、僕の背後からマリエルの声が聞こえる。
振り返ると得意そうな顔だ。
「この城ってね、ヒバリ様の道具で結界を張ってるのよ。
対ハグレになるんだけど、門以外から魔力もちが入ると作動するとかだっけかな」
「正確には、能力を使ったまま入ると作動する測定器があります。
城を守る第一部隊と詰め所、あとは王女の寝室にもあると聞いた事がありますけど、ハグレが入ると、青から赤に変わるらしいです。直ぐに討伐の命令が行くはずです」
アデーレが詳しく説明してくれた。
「そ、そうだっけ、でも中に入れば作動もしない。
元の力だけで入れば問題ないわよ」
中でも作動したら聖騎士がおちおち寝てもられないし当然だろう。
マリエルが鞄を下ろすとフックつきロープを取り出した。
毎晩食っては寝てを繰り返していると思ったら、マリエルはちゃんと用意をしていた。
ちょっとだけ自分が嫌悪になる。
「どや!」
「ああ、うん。素直に凄いと思う」
「ありがっと、あとはヒバリ様よね。
ヒバリ様って王に付く側近中の側近で、基本国の政治には口出さないのよ。
でも、国を存続させるには冷酷なのよね……この状況で噂を聞かないって事は恐らく」
殺されているのだろう。
僕も含めて三人は黙った。
「まっ……、それも踏まえて見に行きましょ」
マリエルがフックつきロープを取り出すとぐるぐると回す。
手馴れた様子で城壁の向こうへと飛ばすと、引っかかった先が固定され侵入できるようになった。
「じゃ、私が先にいくわね」
僕達は頷いてマリエルが先に上った。
アデーレに無表情でどうぞといわれてロープを手にする、引っ張っても落ちる事はないだろう。
そして一歩進んだ所で後悔した。
マリエルはスカートだ。
それも膝が見えるスカート……。
二番目に登る僕の目のやり場に困る。
「アデーレ……」
「なんでしょう?」
「いや、知っていて僕を前にしたよね」
「よくお分かりで」
登ってこないマリエルが異変に気づき戻ってくる。
僕が登ってこない事情を説明すると、いまさらスカートの中身でとか言い出したので黙って突っ込みを入れた。
僕、アデーレ、マリエルという順番で登る事した。
城壁の一番上にいくと城が良く見える、見張りの数が思っていたよりも少なかった。
アデーレが小声で、ここまで少ないとはと、呟いている。
目的の第二訓練所を指だけで教えてくれる。
他の兵舎は暗いのに一つだけ兵士が二人立っていた。
反対側へと降り一直線に走る、兵舎の前にいた見張りが僕たちに気づくも……遅いっ!。
僕とマリエルが攻撃をすると、アデーレが直ぐに縄で拘束した。
最後に僕が物陰へと引っ張り込む。
搬送用の入り口ではなく兵士用の入り口から中へと入った。
大きな運動場見たくなっており、中は明るい。
仕組みはわからないけど、天井から光がさしている。
情報通りなら捕らえられた人が集団で生活しているはずなんだけど、全く見当たらない。
いや、一人だけ居た。
背は低く赤い髪の少女、赤黒いローブを羽織っており僕らを見ている。
アデーレが叫ぶヒバリ様っ! と叫んだ。
他に人はいなさそうだ。
なるほど……閉じ込められてたって所か。
僕らは周りを気にしながらヒバリへと近づく。
「ふむふむ、マリエルとアデーレじゃの。そっちの男は……篭手の男か?」
「はい。それよりもここはヒバリ様だけですか?」
「ん、そうじゃのう……ワシだけじゃ。
いやいや、閉じ込められてのう、解除するには他の魔道具がいるんじゃ、お主その黒篭手を貸してくれ」
まぁそういう事なら。
僕が篭手のつなぎ目に手を当てると背後でパチパチパチと拍手が聞こえた。
当然僕は振り返る。
真っ赤な髪のヒバリそっくりな少女がそこにいた。
あっちは真紅の鎧を着て、腰には細身の剣をつけている。
だれ?。いや……見た事がある。
ヒメ……ヒナ?。
マリエルが口に手をあてて驚く、知っているのかな……。
「やぁやぁやぁ、こんばんは。
元聖騎士第七部隊のマリエル隊長と弓師アデーレだね、おっとそっちの君は顔なし……っと今はまだヴェル君だったね」
「ええっと……」
「これはこれは失礼。昔から人との距離が近すぎると色々怒られたのを思い出した。
まずは自己紹介だったね私の名はヒメヒナ。
そこのヒバリと対を成す者で、そうだね、現在は帝国を庇護している客人でもあり……ヒバリを殺す者という所だろう」
ヒメヒナは喋り終わると同時に僕らに、いやヒバリに襲い掛かった。
僕は町の中で騎士達の集団を眺めていた。
場所は王城から正門へと続く道、その道を神聖騎士団と豪華すぎる馬車が通っていく。
神聖騎士団、数日前にこれまた新国王であるマルボイが新しく作った騎士団達。
あの豪華な、いや豪華すぎる馬車にの一つに国王が乗っているんだろう。
うーん、前後あわせて兵士が六人。
腕には白銀の篭手がついている事から聖騎士か……。
「痛っ!」
僕の後頭部に痛みが走った。
振り返ると、変装をしたマリエルが僕の顔をみて、ほほを含まらせている。
「わんちゃん、倒せそうとか思ってるでしょ」
「え。いや…………うん」
いまさら嘘をつく事もないし、素直に頷く。
正直、今あの列に突っ込んで王を暗殺したほうが早いきがするってのは間違いない。
「で、あの馬車に居なかったらどうするのよ」
「という事は影武者?」
「多分普通に乗ってるとは思うけど……、万が一って事。
と、いうわけで王が出て行ったって事は、全体的に町の警備も緩むわよ」
マリエルの言葉に僕は頷く。
作戦は今夜だ。
僕は静に頷くと、王と兵の出国を見送った。
自称秘密のアジトへと戻り軽い夕食を終えた。
結局反国王勢と言うのか、その家族や知人が捕らわれているのは三つの場所とわかった。
城の第二訓練場。
町外れの倉庫。
王都から離れた場所にある森の中にある施設。
部隊を三つに別け同時に攻略する。
僕とマリエル、そしてアデーレは城へと行くことになった。
本当はジャッカルも来る予定だったんだけど、サナエに連れて行かれた。
とりあえず、おめでとうと言ったら、俺はハーレムを作りたいんだ。一人の女に縛られたくないと、力説をしてくれた。
「さて、私達もいきましょうか」
そういうのは、ピクニックに行くような格好で、膝が見えるスカート姿のマリエル。
背中には城へと乗り込むための道具が入っている。
アデーレも簡単な服装で、背中には釣り竿を入れる筒状のカバンを下げていた。
中には弓矢が入っているはず。
僕のほうも武装は特に無い、本当は剣の一つも持っていきたいけどしょうがない。
「了解」
僕が返事をすると、マリエルとアデーレが頷く。
今の二人は両腕に篭手を嵌めていた。
僕らは闇夜の町を見つからないように走った。
場所は城の側面。
川を飛び越え一気に進む、人質を解放した後は城壁の一部を壊し、その騒動にまぎれて人質を川から逃がす。
逃がした先でアケミ率いる盗賊団が隠れ家を提供すると言う作戦だ。
本当に助かる。
もしアケミの協力がなければ、他の施設も襲い帝国領へ亡命させる予定だったから。
それと、最近知った事だけど、あの薬。
僕らの中で色々と納得いかない部分が出始めてきた。
確かに飲めば一時的に力が無くなる、そして篭手をつけると力が戻る。
それを繰り返していくと、篭手をはずした状態でも以前より力が上がっているんじゃという話になってきた。
僕が服用していないので確信はないけど、帝国などにいるハグレに近い感じとマリエルが教えてくれた。
たしかに僕が見たハグレ、フランは篭手をしていなかった。
「おーいっ」
小さくマリエルに呼ばれて前を向く。
アデーレは既に城を囲む川を飛び越えていた。
「あ、ごめん。マリエルも先にどうぞ」
「先に飛んで、ヴェルが来ないから戻ってきたんですけどー」
「ご、ごめん」
もう一度謝る。
まったくもうと、マリエルが言うとあっさりと川を飛び越えた。
僕が川を渡ると二人に追いつく。
後は高い城壁だけなんだけど、今の僕にかかれば駆け上がる事は出来るだろう。
「ん。マリエル」
「なに? 気分でも高まって襲いたくなった?」
マリエルは鎖骨の部分から胸を見せようとしている。
僕はアデーレへと向き直った。
「こう簡単に潜入できるのはいいとして、その罠みたいのはないの?」
「ありますね」
「え」
それは大丈夫よと、僕の背後からマリエルの声が聞こえる。
振り返ると得意そうな顔だ。
「この城ってね、ヒバリ様の道具で結界を張ってるのよ。
対ハグレになるんだけど、門以外から魔力もちが入ると作動するとかだっけかな」
「正確には、能力を使ったまま入ると作動する測定器があります。
城を守る第一部隊と詰め所、あとは王女の寝室にもあると聞いた事がありますけど、ハグレが入ると、青から赤に変わるらしいです。直ぐに討伐の命令が行くはずです」
アデーレが詳しく説明してくれた。
「そ、そうだっけ、でも中に入れば作動もしない。
元の力だけで入れば問題ないわよ」
中でも作動したら聖騎士がおちおち寝てもられないし当然だろう。
マリエルが鞄を下ろすとフックつきロープを取り出した。
毎晩食っては寝てを繰り返していると思ったら、マリエルはちゃんと用意をしていた。
ちょっとだけ自分が嫌悪になる。
「どや!」
「ああ、うん。素直に凄いと思う」
「ありがっと、あとはヒバリ様よね。
ヒバリ様って王に付く側近中の側近で、基本国の政治には口出さないのよ。
でも、国を存続させるには冷酷なのよね……この状況で噂を聞かないって事は恐らく」
殺されているのだろう。
僕も含めて三人は黙った。
「まっ……、それも踏まえて見に行きましょ」
マリエルがフックつきロープを取り出すとぐるぐると回す。
手馴れた様子で城壁の向こうへと飛ばすと、引っかかった先が固定され侵入できるようになった。
「じゃ、私が先にいくわね」
僕達は頷いてマリエルが先に上った。
アデーレに無表情でどうぞといわれてロープを手にする、引っ張っても落ちる事はないだろう。
そして一歩進んだ所で後悔した。
マリエルはスカートだ。
それも膝が見えるスカート……。
二番目に登る僕の目のやり場に困る。
「アデーレ……」
「なんでしょう?」
「いや、知っていて僕を前にしたよね」
「よくお分かりで」
登ってこないマリエルが異変に気づき戻ってくる。
僕が登ってこない事情を説明すると、いまさらスカートの中身でとか言い出したので黙って突っ込みを入れた。
僕、アデーレ、マリエルという順番で登る事した。
城壁の一番上にいくと城が良く見える、見張りの数が思っていたよりも少なかった。
アデーレが小声で、ここまで少ないとはと、呟いている。
目的の第二訓練所を指だけで教えてくれる。
他の兵舎は暗いのに一つだけ兵士が二人立っていた。
反対側へと降り一直線に走る、兵舎の前にいた見張りが僕たちに気づくも……遅いっ!。
僕とマリエルが攻撃をすると、アデーレが直ぐに縄で拘束した。
最後に僕が物陰へと引っ張り込む。
搬送用の入り口ではなく兵士用の入り口から中へと入った。
大きな運動場見たくなっており、中は明るい。
仕組みはわからないけど、天井から光がさしている。
情報通りなら捕らえられた人が集団で生活しているはずなんだけど、全く見当たらない。
いや、一人だけ居た。
背は低く赤い髪の少女、赤黒いローブを羽織っており僕らを見ている。
アデーレが叫ぶヒバリ様っ! と叫んだ。
他に人はいなさそうだ。
なるほど……閉じ込められてたって所か。
僕らは周りを気にしながらヒバリへと近づく。
「ふむふむ、マリエルとアデーレじゃの。そっちの男は……篭手の男か?」
「はい。それよりもここはヒバリ様だけですか?」
「ん、そうじゃのう……ワシだけじゃ。
いやいや、閉じ込められてのう、解除するには他の魔道具がいるんじゃ、お主その黒篭手を貸してくれ」
まぁそういう事なら。
僕が篭手のつなぎ目に手を当てると背後でパチパチパチと拍手が聞こえた。
当然僕は振り返る。
真っ赤な髪のヒバリそっくりな少女がそこにいた。
あっちは真紅の鎧を着て、腰には細身の剣をつけている。
だれ?。いや……見た事がある。
ヒメ……ヒナ?。
マリエルが口に手をあてて驚く、知っているのかな……。
「やぁやぁやぁ、こんばんは。
元聖騎士第七部隊のマリエル隊長と弓師アデーレだね、おっとそっちの君は顔なし……っと今はまだヴェル君だったね」
「ええっと……」
「これはこれは失礼。昔から人との距離が近すぎると色々怒られたのを思い出した。
まずは自己紹介だったね私の名はヒメヒナ。
そこのヒバリと対を成す者で、そうだね、現在は帝国を庇護している客人でもあり……ヒバリを殺す者という所だろう」
ヒメヒナは喋り終わると同時に僕らに、いやヒバリに襲い掛かった。
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