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三章
98 番外 彼女が出会う人 Ⅰ
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頭がガンガンする……。
わたし、世界一可愛いフローレンスはベッドの上で頭をおさえる。
ベットの周りには水だとおもっていたお酒の空き瓶が並んでいた。
少し頭を抑え、鏡台で髪を整えると食堂へ降りる事にした、だって宿なんだし引きこもる事も出来ないしー。
階段の途中で副隊長のファーランスさんがわたしに気づき、近寄ってきた。
微笑みが綺麗な人なんだけど、ちょっとだけ怖い。
「おはようございます」
「お、おはようです」
「お一人ですか?」
「えっ」
うん、ヴェルは居ない。
マリエルさんの所へ行かせたのはわたしだ。
小さく頷くわたしと、それ以上何も聞かないファーランスさん。
はぁ……気の利く女性ってこういう人なんだろうなぁ。
「では、フローレンスさんを村まで送りましょう」
「え、送るっても近いし別に」
だって馬で半日もかからない。
わたしだって乗れる事は乗れる! たぶん……きっと……、ヴェルが近くに居た時は大丈夫だったんだって。
「いえ、送らせてください。
それに、人質に取る場合もありますので」
「あっ……。そんなにやばいの?」
「念には念にという事で、ナナ。コーネリア」
呼ばれてくる二人。
どっちもわたしと年齢が近いのに立派な友達。
その事をお風呂でナナっちに言ったら、あんたのほうが立派よと胸を見て言われた。
ちょっとだけ嬉しいけど、胸が大きくても振られたら意味無いじゃないと、今は思う。
「うわっ、目まっかよ」
思わず声がでた。
だって、ナナっちの目真っ赤なんだもん……。
「ふ、フローレンス目が赤いわよっ!」
「え、ナナこそっ!」
「べ、別に赤くないですしー、そ、そう興奮して寝れなかっただけ。
全然、おきたら……おきたら隊長が居なくて……泣いたんじゃ……」
首を下に向けはじめた。
コーネリアさんが、よしよしと背中をさすってる。
あー……、そういえば皆には残るっていってたっけ、あの人。
コーネリアさんが、私の顔を見てそっとハンカチを渡してきた。
「あ、あの。
フローレンスさんも目に涙が浮かんでいます、これ使ってください」
「へ? あ、ありがと」
涙を抑えて鼻をかむ。
あっ……。
鼻水までつけてどうする、わたし。
「ご、ごめんなさい、鼻までっ」
「大丈夫です、変えのハンカチはまだ数枚あるので」
天使のような子。
村に戻ったらお気に入りの奴で未使用があったはず、それで代えそう。
「では、三人は裏口から出てってください。
二人は昨日の命令が届く前に、フローレンスさんを護衛しながら村に滞在という事になっています。
あの馬鹿、もといマリエル隊長じゃありませんけど、こっちはこっちで徹底的に応戦しますので」
ファーランスさんが、わたし達に微笑む。
「あの、話し合っていたんですか……?」
「何をです?」
「マリエルさんに置いて行かれたのに、笑っていられるなんて……」
思わず聞いてしまった。
だって、周りをみると落ち込んでいる人と、落ち込んだ人を慰めている人にわかれているし。
「そ、そうよ! コーネリアも、おねーさまが行くって知っていたら教えてくれてもいいじゃないのっ! 親友でしょっ!」
ナナっちも、隣にいるコーネリアさんと、ファーランスさんを交互に見る。
「どうでしょう、直接話し合ったわけではないですね。
おそらく、マリエル隊長なら帰ってこないだろうと思ってましたけど。
大体いつもそうなんです、こういう時に、あの人は勝手に行動して、尻拭いをするのは何時も私です。
第七部隊設立の時も、何も相談しなく直で城へ乗り込みましたし。
ああ、そうそう休暇申請の時も、突然に……」
ファーランスさんが笑顔で、恨みを言い出し始めた。
止まらないし、怖い。
助けを求めて横をみると、ナナっちもコーネリアさんも、周りを見て同じく助けを求めている。
「っと、ふくたいちょうー。今後の事をきめましょうっ!」
ファーランスさんの背後から、腕を回す人、ええっと……名前は覚えてない。
「クレイさんっ!」
コーネリアさんが、そう名前を呼んでいる。
そう、そんなような名前だったわね。
しょうがないじゃない、年上の人で、からみがないんだし。
手を振られて、任せとけと合図をしているので、私達は裏口から宿を出た。
馬は二頭で、わたしとコーネリアさん、それとナナっちが乗る。
「急ぎましょう。
全員が全員、私達の味方ではないと聞いています」
コーネリアさんが現実を言ってくる。
わたしとしても、宿の人などに迷惑はかけたくない。
カタリナの町の正式門ではなく、裏道から抜けるらしい。
人目を避けるように移動する。
ヴェルと一緒に入った温泉施設の近くから細い道を入っていく。
小さな、といっても私達が通るには十分な鉄格子が見えた。
ナナっちが鍵を外すとゆっくりと外していく。
私達と馬が町の外へ出ると、最後にナナっちが元に戻しておしまい。
かなり遠回りして村に戻るらしく、恐ろしく時間がかかると途中で言われた。
かっぽ。
かっぽかっぽ。
かっぽかっぽかっぽ。
いい加減馬の音だけ聞いていると、洗脳されそうになる。
「ねー、コーネリア。
この辺ならもういいわよね」
「そうですね……、大丈夫と思います」
と、いうのは。
喋りの事。
馬に乗りながら喋ろうとすると、大声になる。
なので、町からかなり離れるまでわたし達は無言で移動した。
わたしはコーネリアと喋ろうと思えば喋れたけど、ナナっちがかわいそうなので、それはしてない。
それから、わたし達は喋りながら歩く。
話題はもっぱら恋愛話だ。
「で、コーネリアさんはどうなのよー?」
「え?」
「え、じゃないわよ、コーネリア。
フローレンスは、ヴェルに振られた、あたしはマリエルおねーさまに振られた。
あとは、コーネリアの好きな人は誰なのよっ、って話じゃない」
「私は特に好きな人は……」
「一人ぐらいいるでしょー!?」
コーネリアさんはわたしをちらっとみて、前を向く。
なんなんだろう?。
「いえ、別に……。そ、そうだお昼にしませんか?」
「話題それたー」
「で、でも朝食も取ってませんし……」
その言葉で、わたしとナナっちのお腹が鳴る。
もう、強烈に……。
確かにお腹は減った。
馬を適当な木に繋ぎ、私たちは食事を取る事にした。
そして、私は一人もっと森の奥へといく。
なぜと思うかもしれないけど、だって……聞かれたら嫌じゃないの。
全てを終えて、手を洗う。
幸い小さな川があったのでその辺は問題なかった。
「どうせなら、何か食べれる実ぐらいほしいかも。
えーっと……、なんだっけかな。
そ、そう確か赤い実は食べれるとか何とか……」
森の中を見渡す。
黄色い実や赤い実などが成っている。
適当に進むと、わたしは盛大に転んだ。
「いった……。もう木が何かに…………」
途中で言葉が止まった。
だって、わたしがつまずいたのは木ではなく、血だらけで黒髪の男性だったから。
わたし、世界一可愛いフローレンスはベッドの上で頭をおさえる。
ベットの周りには水だとおもっていたお酒の空き瓶が並んでいた。
少し頭を抑え、鏡台で髪を整えると食堂へ降りる事にした、だって宿なんだし引きこもる事も出来ないしー。
階段の途中で副隊長のファーランスさんがわたしに気づき、近寄ってきた。
微笑みが綺麗な人なんだけど、ちょっとだけ怖い。
「おはようございます」
「お、おはようです」
「お一人ですか?」
「えっ」
うん、ヴェルは居ない。
マリエルさんの所へ行かせたのはわたしだ。
小さく頷くわたしと、それ以上何も聞かないファーランスさん。
はぁ……気の利く女性ってこういう人なんだろうなぁ。
「では、フローレンスさんを村まで送りましょう」
「え、送るっても近いし別に」
だって馬で半日もかからない。
わたしだって乗れる事は乗れる! たぶん……きっと……、ヴェルが近くに居た時は大丈夫だったんだって。
「いえ、送らせてください。
それに、人質に取る場合もありますので」
「あっ……。そんなにやばいの?」
「念には念にという事で、ナナ。コーネリア」
呼ばれてくる二人。
どっちもわたしと年齢が近いのに立派な友達。
その事をお風呂でナナっちに言ったら、あんたのほうが立派よと胸を見て言われた。
ちょっとだけ嬉しいけど、胸が大きくても振られたら意味無いじゃないと、今は思う。
「うわっ、目まっかよ」
思わず声がでた。
だって、ナナっちの目真っ赤なんだもん……。
「ふ、フローレンス目が赤いわよっ!」
「え、ナナこそっ!」
「べ、別に赤くないですしー、そ、そう興奮して寝れなかっただけ。
全然、おきたら……おきたら隊長が居なくて……泣いたんじゃ……」
首を下に向けはじめた。
コーネリアさんが、よしよしと背中をさすってる。
あー……、そういえば皆には残るっていってたっけ、あの人。
コーネリアさんが、私の顔を見てそっとハンカチを渡してきた。
「あ、あの。
フローレンスさんも目に涙が浮かんでいます、これ使ってください」
「へ? あ、ありがと」
涙を抑えて鼻をかむ。
あっ……。
鼻水までつけてどうする、わたし。
「ご、ごめんなさい、鼻までっ」
「大丈夫です、変えのハンカチはまだ数枚あるので」
天使のような子。
村に戻ったらお気に入りの奴で未使用があったはず、それで代えそう。
「では、三人は裏口から出てってください。
二人は昨日の命令が届く前に、フローレンスさんを護衛しながら村に滞在という事になっています。
あの馬鹿、もといマリエル隊長じゃありませんけど、こっちはこっちで徹底的に応戦しますので」
ファーランスさんが、わたし達に微笑む。
「あの、話し合っていたんですか……?」
「何をです?」
「マリエルさんに置いて行かれたのに、笑っていられるなんて……」
思わず聞いてしまった。
だって、周りをみると落ち込んでいる人と、落ち込んだ人を慰めている人にわかれているし。
「そ、そうよ! コーネリアも、おねーさまが行くって知っていたら教えてくれてもいいじゃないのっ! 親友でしょっ!」
ナナっちも、隣にいるコーネリアさんと、ファーランスさんを交互に見る。
「どうでしょう、直接話し合ったわけではないですね。
おそらく、マリエル隊長なら帰ってこないだろうと思ってましたけど。
大体いつもそうなんです、こういう時に、あの人は勝手に行動して、尻拭いをするのは何時も私です。
第七部隊設立の時も、何も相談しなく直で城へ乗り込みましたし。
ああ、そうそう休暇申請の時も、突然に……」
ファーランスさんが笑顔で、恨みを言い出し始めた。
止まらないし、怖い。
助けを求めて横をみると、ナナっちもコーネリアさんも、周りを見て同じく助けを求めている。
「っと、ふくたいちょうー。今後の事をきめましょうっ!」
ファーランスさんの背後から、腕を回す人、ええっと……名前は覚えてない。
「クレイさんっ!」
コーネリアさんが、そう名前を呼んでいる。
そう、そんなような名前だったわね。
しょうがないじゃない、年上の人で、からみがないんだし。
手を振られて、任せとけと合図をしているので、私達は裏口から宿を出た。
馬は二頭で、わたしとコーネリアさん、それとナナっちが乗る。
「急ぎましょう。
全員が全員、私達の味方ではないと聞いています」
コーネリアさんが現実を言ってくる。
わたしとしても、宿の人などに迷惑はかけたくない。
カタリナの町の正式門ではなく、裏道から抜けるらしい。
人目を避けるように移動する。
ヴェルと一緒に入った温泉施設の近くから細い道を入っていく。
小さな、といっても私達が通るには十分な鉄格子が見えた。
ナナっちが鍵を外すとゆっくりと外していく。
私達と馬が町の外へ出ると、最後にナナっちが元に戻しておしまい。
かなり遠回りして村に戻るらしく、恐ろしく時間がかかると途中で言われた。
かっぽ。
かっぽかっぽ。
かっぽかっぽかっぽ。
いい加減馬の音だけ聞いていると、洗脳されそうになる。
「ねー、コーネリア。
この辺ならもういいわよね」
「そうですね……、大丈夫と思います」
と、いうのは。
喋りの事。
馬に乗りながら喋ろうとすると、大声になる。
なので、町からかなり離れるまでわたし達は無言で移動した。
わたしはコーネリアと喋ろうと思えば喋れたけど、ナナっちがかわいそうなので、それはしてない。
それから、わたし達は喋りながら歩く。
話題はもっぱら恋愛話だ。
「で、コーネリアさんはどうなのよー?」
「え?」
「え、じゃないわよ、コーネリア。
フローレンスは、ヴェルに振られた、あたしはマリエルおねーさまに振られた。
あとは、コーネリアの好きな人は誰なのよっ、って話じゃない」
「私は特に好きな人は……」
「一人ぐらいいるでしょー!?」
コーネリアさんはわたしをちらっとみて、前を向く。
なんなんだろう?。
「いえ、別に……。そ、そうだお昼にしませんか?」
「話題それたー」
「で、でも朝食も取ってませんし……」
その言葉で、わたしとナナっちのお腹が鳴る。
もう、強烈に……。
確かにお腹は減った。
馬を適当な木に繋ぎ、私たちは食事を取る事にした。
そして、私は一人もっと森の奥へといく。
なぜと思うかもしれないけど、だって……聞かれたら嫌じゃないの。
全てを終えて、手を洗う。
幸い小さな川があったのでその辺は問題なかった。
「どうせなら、何か食べれる実ぐらいほしいかも。
えーっと……、なんだっけかな。
そ、そう確か赤い実は食べれるとか何とか……」
森の中を見渡す。
黄色い実や赤い実などが成っている。
適当に進むと、わたしは盛大に転んだ。
「いった……。もう木が何かに…………」
途中で言葉が止まった。
だって、わたしがつまずいたのは木ではなく、血だらけで黒髪の男性だったから。
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