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三章
90 混浴の温泉
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体がだるく、動けない僕は担架に乗せられた。
運ばれる事暫くすると、見知った施設が見えてくる。
温泉施設場所だ。
「いま……おそ……」
今からでも遅くありません、帰りましょうと、言いたいのだけど口があまり開かない。
マリエルはニヤっとして通訳してくれる。
「今すぐに入りたい、遅いぐらいだ! やーもう、せっかちねー」
違う、全力で違う。
目玉だけファーへ向けた。
「大丈夫です、いくら女性だけの部隊とはいえ男性に混じり訓練、それに災害などで男性の手当てなどもあります。
これも任務と思えばヴェルさんの裸は恥ずかしくありません」
「ぼくが……し……」
僕が恥ずかしいんだけどっ!。
脱衣所へと強制連行されていく。
僕の目の前で数人の女性達が衣服や武器を外していった。
渾身の力でまぶたを閉じる。
「あら、もっとむっつりって聞いていたけど……ヴェルが安心してお風呂に入れるように目隠しするからねー」
閉じた目の上から目隠しをされる。
これで安心…………な、わけがない。
僕が見える事が無いのは助かる、下手にみて痴漢呼ばわりやスケベと言われるよりはいい。
でも、無数の手が僕の衣服を剥ぎ取っていく。
全部見られる。
マリエル一人なら……いや、それもそれで困るけど、多人数にあまり見られたくは無い。
動けない事を良い事に最後の下着に手がかかった。
不意に体が持ち上がった感覚がした。
「あ、こらっ!」
「ヴェルにいと、お風呂なのだー」
ミントの声と共に体が空中に浮く。
正確に言えば浮いた感じがしたって事だけと……。
大きな水しぶきの音と、背中にあたる水の感触、直ぐに熱くなって体が沈む。
死ぬ。
投げ飛ばされた先が、お湯とわかっていても何も出来ない。
と、おもったら頭の部分だけ浮いた。
「大丈夫なのだ!」
「ごほっごっほ……」
「ヴェルにい顔が真っ青なのだ?」
「ミ……ント、死ぬ、死ぬから……」
よかった……さっきよりは声が出る。
「こらー、ヴェルが死ぬでしょうかっ!」
「ミント副隊長っ!」
「ミントーふくたいちょうー、体は洗って入ってくれー」
「あはははは、皆怒ってるなのだっ!」
そりゃそうだよと、まで言う力がない。
それよりも何とか動くまで回復しないと、下着まで脱がされる。
「おねえさまあああああああああっ!」
叫ぶ声が聞こえた。
僕の記憶では、マリエル、ファー、ミント、アデーレ、チナ、クレイの六人だ。
こんな高い声を出すのは居ないはずの人間だ。
「ナナっ!」
「おねーさまとお風呂なんて夢のようです」
「ご、ごめんなさい。
貸切と思っていたんですけど……お邪魔だったでしょうか?」
コーネリアの声も聞こえる。
「うわ、マリエルさんもいるっ……」
文句を言うのは、フローレンスお嬢様の声だ。
買い物三人組が、温泉へと来たのだろう。
「こんなに居るなら、他の子も誘っておけばよかったわね」
「休日ですし、それは宜しいかと……。
好きな時間に入れるようにしてますし、あまり団体行動を推奨しても、好きじゃない人もいます」
「そっか、そうよね」
声は聞こえるけど、三人は僕にまだ気づいてないみたいだ。
手足の先端に力を入れると、僅かに動く。
ちゃぽんという豪快な音が聞こえたかとおもうと僕の肩に誰かの腕が回った。
僕の体に密着する女性の体。
耳元で悪魔のささやきが聞こえた。
「おやおやおや……、逃げるつもりかい?」
「あ、くーちゃんと、ちーちゃん」
僕が戦った年上の女性、クレイだ。
「試合ではかませ犬だったからなー、少しぐらい反撃してもいいだろう」
反対側ではチナの声が聞こえる。
「あ……の。もうす……ぐ、動けそうなので、介護は必要な……かと」
「おねーさんたちが綺麗に洗ってあげるって言ってるのよー」
僕の胸の部分を触りだす。
「あれ、湯船いる黒髪って……。
ヴェ……ヴェル!」
ばれた。
ばれないほうが可笑しいのものあるけど。
「なななな、おねーさまっ! なんで、この男がここにっ!」
「ヴェ、ヴェルさんって女性ハンターだったんですか!」
脳の処理が追いつかない。
いや、追いついているけど、まだ上手く喋れない。
ってか目隠しされているんだし声しか聞こえない。
一つ一つ訂正したいけど勢いに飲まれる。
「ヴェ、ヴェル今すぐ出るのよっ!」
「えー、彼ちょっとした疲労で動けないのよ。
目隠しはさせているし、もし見られて減るもんじゃないじゃない、むしろ、フローレンスちゃんは減って!」
何を言っているんだ、マリエルは……。
「やですー! ほ、本当にみえてないのよね」
「みえて……ま……せん。
と、いうか……できれば……助けてほしいで……す」
「こんなに可愛い子達とお風呂だなんて、お金とってもいいぐらいよ」
体が動く! まだ気だるさはあるけど、手足が動く。
「すみませんが、もうだいぶ動くので、失礼します。
ミント、出口まで案内してくれるかな?」
唯一味方そうなミントへと頼む。
「一緒じゃないのだ?」
「ああ、うん……。
緊急時でもないし男女は別のほうがいいんだ」
「そうなのだ……?」
僕は温泉の湯から立ち上がる。
ミントは立ち上がった僕の下着を下まで脱がした。
「ヴェルにい、お風呂にパンツはおかしいなのだ、足元も危ないから目隠し取ったほうが早いのだ」
その拍子に僕はバランスを崩してお湯へと落ちる。
顔を上げた時には皆の顔と裸が見えていた。
こここここ……コーネリア、男の人のってあんなに大きいの?。
し、しりませんっ!
おねーさま目が腐りますっ!
ほう、これはなかなか。
あ、やっぱそうおもう。
マリエル隊長……
ヴェルにい褒めらてるのだー。
わーお。
ほう。
などが聞こえてきた。
僕はもう一度湯に入った。
「ヴェルにい、外でないのだ?」
「もう、いいかな……」
僕の肩に手を回すチナとクレイ。
その光景をみてまた周りが騒ぎ出した。
運ばれる事暫くすると、見知った施設が見えてくる。
温泉施設場所だ。
「いま……おそ……」
今からでも遅くありません、帰りましょうと、言いたいのだけど口があまり開かない。
マリエルはニヤっとして通訳してくれる。
「今すぐに入りたい、遅いぐらいだ! やーもう、せっかちねー」
違う、全力で違う。
目玉だけファーへ向けた。
「大丈夫です、いくら女性だけの部隊とはいえ男性に混じり訓練、それに災害などで男性の手当てなどもあります。
これも任務と思えばヴェルさんの裸は恥ずかしくありません」
「ぼくが……し……」
僕が恥ずかしいんだけどっ!。
脱衣所へと強制連行されていく。
僕の目の前で数人の女性達が衣服や武器を外していった。
渾身の力でまぶたを閉じる。
「あら、もっとむっつりって聞いていたけど……ヴェルが安心してお風呂に入れるように目隠しするからねー」
閉じた目の上から目隠しをされる。
これで安心…………な、わけがない。
僕が見える事が無いのは助かる、下手にみて痴漢呼ばわりやスケベと言われるよりはいい。
でも、無数の手が僕の衣服を剥ぎ取っていく。
全部見られる。
マリエル一人なら……いや、それもそれで困るけど、多人数にあまり見られたくは無い。
動けない事を良い事に最後の下着に手がかかった。
不意に体が持ち上がった感覚がした。
「あ、こらっ!」
「ヴェルにいと、お風呂なのだー」
ミントの声と共に体が空中に浮く。
正確に言えば浮いた感じがしたって事だけと……。
大きな水しぶきの音と、背中にあたる水の感触、直ぐに熱くなって体が沈む。
死ぬ。
投げ飛ばされた先が、お湯とわかっていても何も出来ない。
と、おもったら頭の部分だけ浮いた。
「大丈夫なのだ!」
「ごほっごっほ……」
「ヴェルにい顔が真っ青なのだ?」
「ミ……ント、死ぬ、死ぬから……」
よかった……さっきよりは声が出る。
「こらー、ヴェルが死ぬでしょうかっ!」
「ミント副隊長っ!」
「ミントーふくたいちょうー、体は洗って入ってくれー」
「あはははは、皆怒ってるなのだっ!」
そりゃそうだよと、まで言う力がない。
それよりも何とか動くまで回復しないと、下着まで脱がされる。
「おねえさまあああああああああっ!」
叫ぶ声が聞こえた。
僕の記憶では、マリエル、ファー、ミント、アデーレ、チナ、クレイの六人だ。
こんな高い声を出すのは居ないはずの人間だ。
「ナナっ!」
「おねーさまとお風呂なんて夢のようです」
「ご、ごめんなさい。
貸切と思っていたんですけど……お邪魔だったでしょうか?」
コーネリアの声も聞こえる。
「うわ、マリエルさんもいるっ……」
文句を言うのは、フローレンスお嬢様の声だ。
買い物三人組が、温泉へと来たのだろう。
「こんなに居るなら、他の子も誘っておけばよかったわね」
「休日ですし、それは宜しいかと……。
好きな時間に入れるようにしてますし、あまり団体行動を推奨しても、好きじゃない人もいます」
「そっか、そうよね」
声は聞こえるけど、三人は僕にまだ気づいてないみたいだ。
手足の先端に力を入れると、僅かに動く。
ちゃぽんという豪快な音が聞こえたかとおもうと僕の肩に誰かの腕が回った。
僕の体に密着する女性の体。
耳元で悪魔のささやきが聞こえた。
「おやおやおや……、逃げるつもりかい?」
「あ、くーちゃんと、ちーちゃん」
僕が戦った年上の女性、クレイだ。
「試合ではかませ犬だったからなー、少しぐらい反撃してもいいだろう」
反対側ではチナの声が聞こえる。
「あ……の。もうす……ぐ、動けそうなので、介護は必要な……かと」
「おねーさんたちが綺麗に洗ってあげるって言ってるのよー」
僕の胸の部分を触りだす。
「あれ、湯船いる黒髪って……。
ヴェ……ヴェル!」
ばれた。
ばれないほうが可笑しいのものあるけど。
「なななな、おねーさまっ! なんで、この男がここにっ!」
「ヴェ、ヴェルさんって女性ハンターだったんですか!」
脳の処理が追いつかない。
いや、追いついているけど、まだ上手く喋れない。
ってか目隠しされているんだし声しか聞こえない。
一つ一つ訂正したいけど勢いに飲まれる。
「ヴェ、ヴェル今すぐ出るのよっ!」
「えー、彼ちょっとした疲労で動けないのよ。
目隠しはさせているし、もし見られて減るもんじゃないじゃない、むしろ、フローレンスちゃんは減って!」
何を言っているんだ、マリエルは……。
「やですー! ほ、本当にみえてないのよね」
「みえて……ま……せん。
と、いうか……できれば……助けてほしいで……す」
「こんなに可愛い子達とお風呂だなんて、お金とってもいいぐらいよ」
体が動く! まだ気だるさはあるけど、手足が動く。
「すみませんが、もうだいぶ動くので、失礼します。
ミント、出口まで案内してくれるかな?」
唯一味方そうなミントへと頼む。
「一緒じゃないのだ?」
「ああ、うん……。
緊急時でもないし男女は別のほうがいいんだ」
「そうなのだ……?」
僕は温泉の湯から立ち上がる。
ミントは立ち上がった僕の下着を下まで脱がした。
「ヴェルにい、お風呂にパンツはおかしいなのだ、足元も危ないから目隠し取ったほうが早いのだ」
その拍子に僕はバランスを崩してお湯へと落ちる。
顔を上げた時には皆の顔と裸が見えていた。
こここここ……コーネリア、男の人のってあんなに大きいの?。
し、しりませんっ!
おねーさま目が腐りますっ!
ほう、これはなかなか。
あ、やっぱそうおもう。
マリエル隊長……
ヴェルにい褒めらてるのだー。
わーお。
ほう。
などが聞こえてきた。
僕はもう一度湯に入った。
「ヴェルにい、外でないのだ?」
「もう、いいかな……」
僕の肩に手を回すチナとクレイ。
その光景をみてまた周りが騒ぎ出した。
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