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二章

64 今後の対応と、周りの変化

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 マリエルの告白を聞いてから何とかごまかしたけど……。
 いや、ごまかし切れてないような気もする。
 取り合えずはあの話は、フローレンスお嬢様達が戻ってきたので、あそこで終わった。
 今は宿に戻ってきている。

「さて、明日も早いし寝ましょうか」
「そうね」
「あの、やっぱり僕は外に居た方が……」
「別にいいじゃない。
 ねー、マリエルさんっ!」
「そうよ、ヴェル一人ってのもね、宿代は払ってあるんだし勿体無いわよ
 それに、アレだけ私のはだ――――」
「わかりましたっ!」

 マリエルが火種になりそうな事を言う前に、僕は観念した。
 それに、裸を見たのは前の世界と言うべきだ。
 今のマリエルのは見てないっ!。
 フローレンスお嬢様が微妙に反応する。

「はだ?」
「マリエルもフローレンスお嬢様も肌が綺麗ですねって」
「ほんとうっ!」
「照れるわねー、そういう事にしておきましょうか」

 じゃぁ灯けすわねと、マリエルが言うとそれぞれベッドへと横たわる。
 三つのベッドの真ん中で僕が寝ている。
 右を向くと、フローレンスお嬢様が僕を見ていた。

「あの……、フローレンスお嬢様何かこわいです」
「いいのよ、監視しておかないとヴェルが襲われたら困るじゃない」
「そんな事はないかと……」

 目線から外れる為に左へと向く。
 マリエルが僕を見ている。

「…………」
「以下同文」

 仕方が無いので仰向けになり天井を見る。
 暫くは緊張していたけど、睡魔が襲ってくる。
 もっとも、家族同様な生活していたんだし間違いなんて……。

 パンパカパーン!
 耳元で大きな音がした。
 突然の音で辺りを見回すと、見慣れた一室に居た。
 本棚があり、粗末なテーブルがある場所。
 
「なんじゃ、あまりおどらんのう」

 オオヒナの声で僕は前を向く、手には小さな筒を持っていてそこから紙テープが飛び出していた。

「いや、これでも十分驚いてるよ、一応寝る前に篭手を付けておいてよかった」
「そうかのう?」
「復活したんだね」
「まだ、本調子ではないかのう……。
 で、どうじゃ? あまり嬉しそうな顔じゃないのう」
「フローレンスお嬢様まで助ける事が出来たのは嬉しい、嬉しいけど……。
 もう少し時間を前にというか」
「それなー、お主がもう少し説明を聞いておけば……」
「いや、あれはオオヒナが――」

 オオヒナと暫く口論を続けた。
 現実と時間の流れが違うとは言え、僕の体感時間でかなりの時間は立っている。

「やめよう……、聞かなかった僕もわるかった」
「そうじゃの……説明しなかったわがはいも悪い。
 お主があの時間に戻ったのは訳があるのじゃ――」

 最初に篭手を付けた日にしか戻れないと、オオヒナから黒篭手のヒミツを聞いた。
 ある意味、これから何十年先に立ってから篭手の力を使わなくてよかったかもしれない。

「なるほど、じゃぁ何十年先に使っても戻るのはあの時になるんだね」

 そして僕は、オオヒナへとここ最近あった事を話した。
 フローレンスお嬢様を助けた事や、帝国にいる事など。

「そういえば、あの時は……。
 聞きたい事が山ほどあって困る」

 オオヒナやヒバリそっくり子の事や顔無しの事、そしてマリエルの記憶の夢の事などだ。

「順番じゃの。
 まず、わがはいそっくりな可愛い少女はヒメヒナじゃ。
 ヒバリの姉妹と言ったほうがいいかのう、察しのとおり普通の人間ではないのじゃ」

 僕は近くの椅子へと勝手に座る。

「オーフェンは敵と言っていた、いや強硬派だっけかな」
「帝国の内部情報まではわがはいは知らん。
 じゃが、わがはいの魔力をたどって来たのは間違いないじゃろう。
 奪うか、壊すか……、まぁそんな所じゃのうかのう」
「物騒な話だね」
「まぁ飲め」

 テーブルの上にこーひーが出された。
 苦味があり、今となっては懐かしい。

「元々ヒメヒナはスズメ亡き後に王国出たからの、スズメが守った世界を回ると。
 一方ヒバリはスズメが守った国を守ると、この辺は同一人格をベースにしたとしても、素材と混ざり合い個体差が出来たのじゃ、そのてんわがはいは、まじりっけ無しのスズメベース、もっともこの世界に捕われているけどな」

 難しい話はよくわからない。
 わかった事は三人は同じ人からの作られ、長い年月で性格が変わったと言うぐらいだ。

「次に、あの娘の記憶じゃったな……。
 お主と縁が深かった物ほど、前の世界の事が夢などで現れてるかもしれんな」
「ずいぶんと他人事で……」
「他人じゃからの。
 前も言ったと思うがな、わがはいは道具でありそれ以上じゃない。
 わがはいの世界というのは作れるが、現実世界では無力じゃ」
「ご、ごめん」
「きにするでない」

 僕が使いたいと言った力だ。
 それで僕が余り文句を言うのは間違っていた。
 それに、オオヒナは篭手の中の住人、何も出来ないのだ。

「最後に顔無しじゃったな。
 鞄に入っていたので、そやつの顔まではわからぬ……。
 か、本音を言えばいい気配はしないのう」
「もし戦った場合は勝てるかな?」
「…………、どうする?
 もう一度時間を巻き戻すとするか?」

 オオヒナが僕の質問を返して来る。
 つまりは勝てる見込みが無いのだ。

「辞めとくよ……。
 一応今回は話し合いだ、フローレンスお嬢様の意見を優先しようとおもう。
 顔無しが本気でお嬢様に惚れていて、お嬢様も望むなら……」
「お主にはマリエルがおるからのう」

 なっ!

「そうじゃないしっ!」
「そう、机を叩くな」
「僕が好きだったのは、前のマリエル。
 前回の記憶が戻ったとして、そのそれが本当のマリエルなのか……」
「なんじゃ、歯切れが悪くなるのう」
「とにかく、今のマリエルは今のマリエルだ。
 記憶だって完全に戻ったわけじゃないだろうし……、戻る」

 僕の意志では、この世界から出る事は出来ない。
 オオヒナがにやにやと僕の顔をみて、手を叩いた。
 体が急速に浮いていく、城を抜け空が見え僕の意識は再度切り替わった。
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