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大会編
TENZAN~時空~
しおりを挟む「どすこぉい!!」
馬の耳と尾を生やした少女が、牛の耳と尾を生やした少女の顔面に右の張り手を炸裂させると、馬耳の少女はその場に倒れた。
『…8、9、10!勝者、アサヒ!!』
褐色の肌をした少女同士の闘いを制したのは、午《ンマ》 の干支乱勢・アサヒ。
「ごっつぁん!!」
勝ち名乗りを受けたアサヒは四股を踏み、手刀で心の字を書く。転生前における彼の名は、ブャンバスレン・グルジャルガル。四股名を旭宝山《きょくほうざん》、大相撲の横綱である。モンゴル相撲界きっての天才児と謡われた彼は、学生時代に相撲の特待生として日本に留学、学生相撲で好成績を残し、そのまま角界へ。力士として長年の取り組みを経て横綱となるも、その最期は所属する部屋の親方にビール瓶で頭を殴られるというあっけないものだった。
「悪かゴワスな。優勝はおいどんのもんでゴワス。 お前さんも強かったばってん、おいどんの方が強すぎたでゴワス」
アサヒはリング上で子牛の姿となった対戦相手・シンに言うと、リングを後にした。
「さて、一回戦すべての仕合が終わりました。ここで二回戦の対戦表を確認致しましょう」
実況を務める獣人ヨシ・ツジナリが言うと、場内の大型モニターに二回戦の組み合わせが表示される。
Aブロック
子《ゲッシ》・テル VS 戌《カニス》・エリ
Bブロック
亥《バビルサ》・ウィン VS 辰《ドラガォン》・マイ
Cブロック
巳《レプタ》・ヒカル VS 寅《ティガ》・ヴィーカ
Dブロック
午《ンマ》・アサヒ VS 酉《ハルコン》リコ
「さてさて、12人の干支乱勢達の内、3分の1が脱落し残るは8名となりましたが、優勝候補の予想は出来ましたでしょうか?」
ツジナリは隣に座る解説ゲスト、ヒナコ・ライマンに問う。
「どうだかねぇ?8人の内、半分はまだ仕合をしてないから、あたいにとっては未知数だもん……でも』
「でも?」
「干支乱達のいた世界……「地球」にも「十二支」ってのがあってね、神様が12匹の動物を選ぶ為に獣たちのレースを開催して、その1着になった獣はネズミ。だから干支の一番最初はネズミなの」
「はあ……」
「そして、本来の優勝候補だった「猫」って獣はネズミに騙されてレースに出ることすら叶わなかったから、ネコはネズミを襲うようになったっていうお伽噺」
「お伽噺ですか……しかし、干支乱勢大武繪はそのレースとも違い、100年おきに何度も開催されておりますからね」
ツジナリは笑い飛ばす。干支乱勢大武繪は過去二十度ほど開催されており、子《ゲッシ》の国は唯一、未だに優勝した事がない。
「そうだね。それに、猫の干支乱勢はトーナメントに出場してないもんね……」
ヒナコが不敵に笑うと、リング上では二回戦第一試合が始まろうとしていた。
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