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この愛、届け(後)
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――御堂雲英視点
一体なにがいけないの?
何を作っても幸羅は違うの一点張り。
昔と同じように幸羅に美味しいって言って欲しいから私は美食謳歌部を創部して、食の勉強をしたり、より美味しい料理を作れるようになったり、美味しいと言われる料理店を探したりして頑張ってきたのに。
やっぱり失明の原因が私にあることを責めているんじゃないの?
五年前、私が傍を離れなければ幸羅が失明することなんてなかった。私が悪いのは分かっている。
正直、嫌になったこともあるし疲れた時もある。美食謳歌部なんていつ廃部しても構わなかったけど、幸羅のために、幸羅のためだから諦めたくない。。
一体なんの料理なら心の底から美味しいといってもらえるの? それとも私にはもう無理なのかしら。
「御堂先輩」
屋上で塞ぎ込んでいた私に聞き覚えのある声が掛けられる。
「墨名さん・・・・・・」
「このハンバーグを食べてみてください」
「ハンバーグ?」
五年前のあの時、ハンバーグの材料を買いに行って・・・・・・。そう言えば、あの日以来ハンバーグを作らなくなっていたわね。無意識のうちにハンバーグを作ることが怖くて逃げていたような気がする。
「なぜ、私にハンバーグを?」
「御堂先輩に元気を出してもらいたかったので作ってきました」
「なんであなたが?」
今は勝負中のはず。墨名さんたちも幸羅へ料理を作らなきゃいけないはずなのに。相変わらず変梃さんですわね。
ですけど、折角作ってきてくれた墨名さんの好意を無下にするようなことは出来ない。私は差し出されたハンバーグを一口サイズにして口へと運んだ。形が悪く、焦げもあり、それに作りたてのはずなのに少し冷めている、決して美味しいと言えるものではなかった。
「美味しいですか?」
「正直に言いますけど、マズイですわ」
美味しい要素がほぼ無いはずなのに、何かが私の心に訴えかけているような感覚がある。これは何?
「一緒にハンバーグを作ろうよ。お姉ちゃん。美味しいハンバーグの作り方を教えてよ」
え? 一瞬、目の前にいる墨名さんが五年前の・・・・・・九歳だった時の幸羅の姿と重なり合った。
でも、作ることは出来ない。思い出せないんですの、ハンバーグの作り方が。レシピを見ても全く頭の中に入ってこない。だから私には作ることは無理なんです。
「墨名さん、残念ですが私にはハンバーグが作れないの」
「大丈夫ですよ。私、一応作れますもん」
ハンバーグをただ作るだけかもしれない、だけど小刻みに私の体は震えている。そんな私に墨名さんはそっと近寄り、優しく手を握ってくれました。
墨名さんの優しさに包まれながら、ゆっくりとした足取りで調理室へ。
「さあ、作ろう。お姉ちゃん、まずは玉ねぎは食感を残したいので半月切りだよね」
先ほどから墨名さんは私のことをお姉ちゃんと呼んでいます。お姉ちゃんという言葉と笑顔が相まって五年前の、あの頃の幸羅に呼ばれているような感覚も蘇りなんだか嬉しくて仕方がない。
「顔にみじん切りにするの面倒って書いてありますけど、みじん切りにしなさい」
「はいはい、みじん切りにしますよ。すぐにひき肉と混ぜていいよね、お姉ちゃん」
「待ちなさい。生よりも甘みを引き出すためと馴染みをよくするために玉ねぎは飴色になるまで炒めるのよ」
そこそこ面倒ですねと言いたげな墨名さんの視線を感じたものの、これが私のハンバーグの作り方? ・・・・・・あれ、ハンバーグの作り方覚えている。
「八分くらい時間がかかるとは恐ろしいですね~飴色の玉ねぎさんや?」
お婆さんごっこ? それとも魔女ごっこでもしているの? でも楽しそうにしているから特にツッコみ的なことはしなかった。
「ボウルにひき肉、飴色玉ねぎさん、パン粉、牛乳、卵、塩、こしょうを入れまして練り混ぜましょ~う」
「待って。シナモン、それから一味唐辛子も入れて」
「一味唐辛子? 辛くないですか? 辛いの嫌だよ」
墨名さんの駄々をこねるような姿は幸羅と一緒に料理作りしていた頃の記憶をどんどん蘇らせてくれる。懐かしさと心が温かくなるような感覚。
練り混ぜ作り上げたタネを空気を抜きながら成形していく。
「ハンバーグは火が通ったら中央が膨れるから、ちゃんと中央を軽く押さえてね」
「はいはい、お姉ちゃん」
油を引いたフライパンに成形したハンバーグを並べていく。その後、適度の焼き目を付けた後にオーブンでじっくり中まで火を通して出来上がり。
ソースはフライパンに残った肉汁にウスターソースにケチャップ混ぜるだけのシンプルなソース。
「出来たね~美味しそうだよ」
「・・・・・・」
ただハンバーグを作っただけなのに、なんなのこの気持ちは?
「それでは、試食。いただきま~す」
墨名さんは無邪気な表情を見せながら、出来上がったばかりのハンバーグを頬張っています。
「丁寧にこねて作っただけあってハンバーグが柔らかくて美味しい。誰かを思い、気持ちを込めて作る・・・・・・これはまさに」
「・・・・・・?」
墨名さんは何かを言いかけて言葉を呑み、再び食べ出した。
誰かを思い、気持ちを込めて作る・・・・・・か。
――料理はただ作るだけじゃダメ。そんな泣きべそ掻きながら作ってたら食べる人だって悲しくなるでしょ。笑顔、楽しく、そして愛情も入れて作らなきゃ美味しくならないんだぞ。
ふと脳裏に浮かんだのは一丁前に私が幸羅に言った言葉。
そうか、私は幸羅のためと言い続けて作ってきた料理。そこには罪を償おうとする思いしかなかったのかもしれない。
相手のことを思いながら、食べて欲しい人へ純粋に美味しいと思ってもらえるように愛情を込めて作ることが大切・・・・・・。
「あー、あうー。さっき自分で作ったハンバーグの一部が生焼けだったのかな? 急にお腹が下痢気味なのです。これじゃあ幸羅ちゃんへ料理を作るどころじゃないや~。ちょっとトイレに行ってきます。また後で御堂先輩」
墨名さん、あなたって人は。
私は墨名さんと一緒に作ったハンバーグとは別に、もう一度ハンバーグを作りなおして幸羅の元へ。
「幸羅、食べてみて」
「・・・・・・お姉ちゃん」
いただきますと言ってから幸羅は一口食べた。そしてすぐに二口目、三口目と箸が進んだ。
言葉を発することなく食べ続ける幸羅の頬に涙。その涙を見たと同時に私の視界が次第に滲んでいく。
「お姉ちゃん、これだよ。この味だよ。美味しい」
幸羅は喜んでくれている。私が愛情をいっぱい込めて作った料理を食べて。気付けば私は幸羅と抱き合って泣いていた。
「ごめんね、幸羅」
「ずっと食べたかった味。あたたかい味。お姉ちゃんの味」
幸羅は私の頬を優しく撫でるように、そして真っ直ぐな視線を私に向けてきました。
「幸羅?」
「お姉ちゃん。私、お姉ちゃんの顔が見える」
真っ直ぐ私に向けられた幸羅の目には光が宿っていた。
神様なんて信じない、信じることなんて出来なかったのに。それなのに神様にお願いしたとしても叶えてくれないような奇跡が。私と幸羅は突如として訪れた奇跡と幸せを噛み締めた。
私はゆっくりと瞼を閉じ、深呼吸をした。そんな私に高條先生は優しく肩に手を置いた。
「御堂さん、この勝負は美食謳歌部の勝利です」
「高條先生、幸羅の目が幸羅の目が見えるようになったんです」
「ええ、分かっているわ。元々、幸羅ちゃんの光は完全に失っていた訳じゃなかったの。ただ、一時的とは言え光を失ったショックと雲英さんの罪悪感にとらわれる意識が料理や接し方で伝わってしまい、それによって幸羅ちゃんもまた罪悪感や不安を抱えてしまっていたのね。精神的要因による失明と言ったところ」
「・・・・・・高條先生、なんで?」
「私はあなたたちの美食謳歌部の顧問だったし、それに大切な生徒が悲しむ姿なんて見たくないのよ」
「高條先生、墨名さん、ありがとうございます」
この幸せは神様からの奇跡のプレゼントなんかじゃない・・・・・・高條先生や墨名さんの温かくて優しくて人を思いやる気持ちが形となってできた幸せ。
美食謳歌部よりも、食は人を幸せにする部が存続した方がいい。
なら答えは――
一体なにがいけないの?
何を作っても幸羅は違うの一点張り。
昔と同じように幸羅に美味しいって言って欲しいから私は美食謳歌部を創部して、食の勉強をしたり、より美味しい料理を作れるようになったり、美味しいと言われる料理店を探したりして頑張ってきたのに。
やっぱり失明の原因が私にあることを責めているんじゃないの?
五年前、私が傍を離れなければ幸羅が失明することなんてなかった。私が悪いのは分かっている。
正直、嫌になったこともあるし疲れた時もある。美食謳歌部なんていつ廃部しても構わなかったけど、幸羅のために、幸羅のためだから諦めたくない。。
一体なんの料理なら心の底から美味しいといってもらえるの? それとも私にはもう無理なのかしら。
「御堂先輩」
屋上で塞ぎ込んでいた私に聞き覚えのある声が掛けられる。
「墨名さん・・・・・・」
「このハンバーグを食べてみてください」
「ハンバーグ?」
五年前のあの時、ハンバーグの材料を買いに行って・・・・・・。そう言えば、あの日以来ハンバーグを作らなくなっていたわね。無意識のうちにハンバーグを作ることが怖くて逃げていたような気がする。
「なぜ、私にハンバーグを?」
「御堂先輩に元気を出してもらいたかったので作ってきました」
「なんであなたが?」
今は勝負中のはず。墨名さんたちも幸羅へ料理を作らなきゃいけないはずなのに。相変わらず変梃さんですわね。
ですけど、折角作ってきてくれた墨名さんの好意を無下にするようなことは出来ない。私は差し出されたハンバーグを一口サイズにして口へと運んだ。形が悪く、焦げもあり、それに作りたてのはずなのに少し冷めている、決して美味しいと言えるものではなかった。
「美味しいですか?」
「正直に言いますけど、マズイですわ」
美味しい要素がほぼ無いはずなのに、何かが私の心に訴えかけているような感覚がある。これは何?
「一緒にハンバーグを作ろうよ。お姉ちゃん。美味しいハンバーグの作り方を教えてよ」
え? 一瞬、目の前にいる墨名さんが五年前の・・・・・・九歳だった時の幸羅の姿と重なり合った。
でも、作ることは出来ない。思い出せないんですの、ハンバーグの作り方が。レシピを見ても全く頭の中に入ってこない。だから私には作ることは無理なんです。
「墨名さん、残念ですが私にはハンバーグが作れないの」
「大丈夫ですよ。私、一応作れますもん」
ハンバーグをただ作るだけかもしれない、だけど小刻みに私の体は震えている。そんな私に墨名さんはそっと近寄り、優しく手を握ってくれました。
墨名さんの優しさに包まれながら、ゆっくりとした足取りで調理室へ。
「さあ、作ろう。お姉ちゃん、まずは玉ねぎは食感を残したいので半月切りだよね」
先ほどから墨名さんは私のことをお姉ちゃんと呼んでいます。お姉ちゃんという言葉と笑顔が相まって五年前の、あの頃の幸羅に呼ばれているような感覚も蘇りなんだか嬉しくて仕方がない。
「顔にみじん切りにするの面倒って書いてありますけど、みじん切りにしなさい」
「はいはい、みじん切りにしますよ。すぐにひき肉と混ぜていいよね、お姉ちゃん」
「待ちなさい。生よりも甘みを引き出すためと馴染みをよくするために玉ねぎは飴色になるまで炒めるのよ」
そこそこ面倒ですねと言いたげな墨名さんの視線を感じたものの、これが私のハンバーグの作り方? ・・・・・・あれ、ハンバーグの作り方覚えている。
「八分くらい時間がかかるとは恐ろしいですね~飴色の玉ねぎさんや?」
お婆さんごっこ? それとも魔女ごっこでもしているの? でも楽しそうにしているから特にツッコみ的なことはしなかった。
「ボウルにひき肉、飴色玉ねぎさん、パン粉、牛乳、卵、塩、こしょうを入れまして練り混ぜましょ~う」
「待って。シナモン、それから一味唐辛子も入れて」
「一味唐辛子? 辛くないですか? 辛いの嫌だよ」
墨名さんの駄々をこねるような姿は幸羅と一緒に料理作りしていた頃の記憶をどんどん蘇らせてくれる。懐かしさと心が温かくなるような感覚。
練り混ぜ作り上げたタネを空気を抜きながら成形していく。
「ハンバーグは火が通ったら中央が膨れるから、ちゃんと中央を軽く押さえてね」
「はいはい、お姉ちゃん」
油を引いたフライパンに成形したハンバーグを並べていく。その後、適度の焼き目を付けた後にオーブンでじっくり中まで火を通して出来上がり。
ソースはフライパンに残った肉汁にウスターソースにケチャップ混ぜるだけのシンプルなソース。
「出来たね~美味しそうだよ」
「・・・・・・」
ただハンバーグを作っただけなのに、なんなのこの気持ちは?
「それでは、試食。いただきま~す」
墨名さんは無邪気な表情を見せながら、出来上がったばかりのハンバーグを頬張っています。
「丁寧にこねて作っただけあってハンバーグが柔らかくて美味しい。誰かを思い、気持ちを込めて作る・・・・・・これはまさに」
「・・・・・・?」
墨名さんは何かを言いかけて言葉を呑み、再び食べ出した。
誰かを思い、気持ちを込めて作る・・・・・・か。
――料理はただ作るだけじゃダメ。そんな泣きべそ掻きながら作ってたら食べる人だって悲しくなるでしょ。笑顔、楽しく、そして愛情も入れて作らなきゃ美味しくならないんだぞ。
ふと脳裏に浮かんだのは一丁前に私が幸羅に言った言葉。
そうか、私は幸羅のためと言い続けて作ってきた料理。そこには罪を償おうとする思いしかなかったのかもしれない。
相手のことを思いながら、食べて欲しい人へ純粋に美味しいと思ってもらえるように愛情を込めて作ることが大切・・・・・・。
「あー、あうー。さっき自分で作ったハンバーグの一部が生焼けだったのかな? 急にお腹が下痢気味なのです。これじゃあ幸羅ちゃんへ料理を作るどころじゃないや~。ちょっとトイレに行ってきます。また後で御堂先輩」
墨名さん、あなたって人は。
私は墨名さんと一緒に作ったハンバーグとは別に、もう一度ハンバーグを作りなおして幸羅の元へ。
「幸羅、食べてみて」
「・・・・・・お姉ちゃん」
いただきますと言ってから幸羅は一口食べた。そしてすぐに二口目、三口目と箸が進んだ。
言葉を発することなく食べ続ける幸羅の頬に涙。その涙を見たと同時に私の視界が次第に滲んでいく。
「お姉ちゃん、これだよ。この味だよ。美味しい」
幸羅は喜んでくれている。私が愛情をいっぱい込めて作った料理を食べて。気付けば私は幸羅と抱き合って泣いていた。
「ごめんね、幸羅」
「ずっと食べたかった味。あたたかい味。お姉ちゃんの味」
幸羅は私の頬を優しく撫でるように、そして真っ直ぐな視線を私に向けてきました。
「幸羅?」
「お姉ちゃん。私、お姉ちゃんの顔が見える」
真っ直ぐ私に向けられた幸羅の目には光が宿っていた。
神様なんて信じない、信じることなんて出来なかったのに。それなのに神様にお願いしたとしても叶えてくれないような奇跡が。私と幸羅は突如として訪れた奇跡と幸せを噛み締めた。
私はゆっくりと瞼を閉じ、深呼吸をした。そんな私に高條先生は優しく肩に手を置いた。
「御堂さん、この勝負は美食謳歌部の勝利です」
「高條先生、幸羅の目が幸羅の目が見えるようになったんです」
「ええ、分かっているわ。元々、幸羅ちゃんの光は完全に失っていた訳じゃなかったの。ただ、一時的とは言え光を失ったショックと雲英さんの罪悪感にとらわれる意識が料理や接し方で伝わってしまい、それによって幸羅ちゃんもまた罪悪感や不安を抱えてしまっていたのね。精神的要因による失明と言ったところ」
「・・・・・・高條先生、なんで?」
「私はあなたたちの美食謳歌部の顧問だったし、それに大切な生徒が悲しむ姿なんて見たくないのよ」
「高條先生、墨名さん、ありがとうございます」
この幸せは神様からの奇跡のプレゼントなんかじゃない・・・・・・高條先生や墨名さんの温かくて優しくて人を思いやる気持ちが形となってできた幸せ。
美食謳歌部よりも、食は人を幸せにする部が存続した方がいい。
なら答えは――
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