92 / 142
第三章
第85話 伝説の帰還
しおりを挟む
ドミナッツィオーネ帝国本部 某廊下――
夜が更けていることもあってか廊下は人気が少なく、淡い光が灯された通路の窓辺からは月明かりが差し込んでいた。
そんな場所を、まるで心ここに有らずといった様子で自室へと戻ろうとするロー。
勿論、その意識の向く先はダンの行方であり、そして帝国の現状打破という崇高な使命でもあった。
「随分と考え込んでいるな……オールド・ローよ」
「カタリベさんっ⁈ 本部まで来るなんて珍しいですね……?」
声を掛けられるまで気付かなかったローは、少々ビクつきつつも直ぐさま平静を装い、カタリベは特に気にする様子もなく、壁に背を預けながら腕を組んで話を続ける。
「ちょっと世間話がしたくてな。それで寄っただけさ」
「世間話って……こんな時間に?」
違和感のある導入にローが苦笑気味に返すと、カタリベも若干顔を歪ませる。
「いや……私は頼まれただけなんでな。そんな視線を向けるな」
「世間話は頼まれてやるもんじゃないと思いますがね。で? 態々カタリベさんに、こんなことさせるなんて、俺の中じゃ一人しか思い当たらないんですが……誰に頼まれたんです?」
最早気付いてると言わんばかりに顔を綻ばせるローに――
「もう分かってるんだろ? 奴が帰ってきた。私はそれを伝えに来ただけさ」
――カタリベは壁に預けていた身体を離すと背を向けて立ち去っていく。
「ハッ、本当に帰ってきたんだ……って、それだけ? 他に何か……」
「無い。言っただろ? 私は頼まれただけ……世間話をな」
カタリベは一切振り返ることなく、そのまま闇夜の中へと消えていった。
(どういうことだ? 頼まれたってことは、直接会ったんだよな? だとすると、俺の意図も恐らく伝わってるはず……それなのに帰還報告だけだと?)
ローは顎に手を当て、窓辺へと近づきながら思考を巡らす。
(昔のよしみで助けると踏んでいるのか? まさかな……そこまで楽観的とは思えない。仲間の処刑が掛かってるとあれば、尚更妙な賭けには打って出ないはず。つまり、俺なら脱獄の手引きをすると確信してるってことだ。それは何故か? 考えられるとすれば、ダン君は俺が断れないこと知っていて、それを利用しようとしてるということ……となると、これは――)
「気付いたってことか……?」
窓から見える青白い月光が、ローの思考に仄かな光を灯す。
「もしそうなら、断る訳にはいかない……よな? デカい借りもあることだし……」
夜空を見上げるローはダンの想いを汲み取り、自然と上がる口角と決意めいた面持ちで駆け出した。
◆
翌日――
監獄リアビア処刑場――
レイ・アトラス及び、監獄リアビア署員の執行日となる本日。
頭上には、これから処刑が行われるとは思えない程の雲一つない青天が広がっていた。
輝かしい日の光が照らす中、巨大な壁が四方を囲む処刑場。
右側には唯一の出入り口となる獄門をバックにカン・ゴックが佇み、その扉の右手には未だ使用されていない新品同様の処刑台が設置されている。
中央の奥には彫刻が施された背もたれの長い椅子に座るアレン。
左側にはマキナ、オリヴィア、その部下である看守たちが並び、地に膝まづかされていた。
長期にわたって囚われていたこともあってか皆一様に疲労困憊としており、その面持ちからは暗雲が立ち込めるかの如く重苦しい雰囲気が漂っていた。
しかし、そんな刻々と迫る執行時間の中、ただ一人、満面の笑みを浮かべる男が居た。
「おいおい、お前らテンション低いなぁ? こんな雲一つない、処刑日和だってのによぉ」
空を見上げ、喜びを表現するかのように両手を広げるは、元監獄署長のカン・ゴック。
その身体一つ一つの動作には、いつもとは違う高揚感が滲み出ていた。
「なあ、お前もそう思うだろ? 再来の貴公子……レイ・アトラス」
看守たちの前で檻の中に囚われているレイにカン・ゴックは近づき、目線を合わせるように腰を下ろすと小気味良く鉄格子を叩く。
「……もういい……早く……殺せ」
《通称 再来の貴公子 レイ・アトラス》
途切れ途切れの意識で鉄格子に寄りかかりるレイの首には、氷人と同様の断続的に怪光する銀色の首輪がつけられている。
「そんなこと言うなよ~、つまんねえ奴だな~。死にたがってる奴を殺しても何も面白くねえだろ? もっと足掻けや」
「……足掻いたところで……あの人はもうっ……居ないッ……」
嗚咽交じりのレイの瞳から、こらえきれぬ涙が零れ落ち、痩せこけた頬を伝っていく。
「いいね、いいね~! 泣くってことは恋しいんだろ⁈ 会いたいんだろ⁈ つまり、生きたいってことだよな⁈ それでこそ殺し甲斐があるってもんだッ‼」
高笑いを上げるカン・ゴックは、両手で鉄格子を掴むと、煽るように激しく揺らす。
「いい加減にしろ……! これ以上、追い詰めて何になる……! 貴様には人の心がないのかっ……!」
「そうよ……! この鬼畜変態サディストっ……!」
マキナとオリヴィアはレイの心情を慮ってか、最後の抵抗とばかりに射るような眼光を飛ばす。
「かつての上司に向かって酷いこと言うじゃないか~……でも、許してやる。なんせ今日の俺は最高に気分がいいからな」
しかし、今のカン・ゴックには火に油を注ぐばかりで、無邪気な笑みを加速させるだけだった。
そんな姿に痺れを切らしたアレンは、呆れた表情で奥から口を挟んでくる。
「やめなよ、見っともない。それより、さっさと処刑しちゃおうよ。もう執行時間なんだしさ?」
「つれないねぇ~、お前ももっと楽しめよ? これから盛大なサプライズが待ってるんだからなぁ……」
アレンが「サプライズ……?」と小首を傾げる中、カン・ゴックは意味深な笑みのまま立ち上がり、定位置である獄門側へと戻りながら言葉を続ける。
「お前にはまだ言ってなかったが……実は昨晩、エリザベート様からシグナルが送られてきてな。どうやら、お目当てのモンが見つかったらしい」
「え、見つかったの? 本当に……?」
「ああ、本当さ。まーた情けなくとっ捕まって、こっちへ輸送されてるってよ。もうそろそろ来る頃だ。お前も準備しとけ」
カン・ゴックからの目配せに、アレンは踏ん反り返っていた椅子から立ち上がり、呼吸を整えつつ気を引き締めるように顔付を変える。
その様相に異変を感じ取ったのか、マキナとオリヴィアは顔を見合わせ、周りの看守たちも徐々にざわつき始める。
「嘘っ……まさか……あの人が……?」
レイは朦朧とする意識の中、周囲の異様な雰囲気を感じ取り、高鳴る期待に胸の鼓動が速まっていく。
それは不思議と伝う涙を止めさせ、思慕の念が蘇ると共に視線を獄門へと向けさせた。
ギィィ……
獄門の軋む音が鳴る……まるで、レイの想いを受け取ったかのように、視線の先にある扉は開き始めていく。
「漸くお出ましだ! この日をどれだけ待ち焦がれたことか! 待ってたぜ……伝説の男――」
一年間、何処を探しても見つからなかったその姿に……
「――ダン・カーディナレッ‼」
レイは内から溢れ出す想いを押えられず……
「旦那っ……‼」
その思いの丈を解き放っていた。
静まり返る処刑場内……全員の注目を浴びる中――
「待たせたな……相棒」
――伝説となった男が帰還する。
夜が更けていることもあってか廊下は人気が少なく、淡い光が灯された通路の窓辺からは月明かりが差し込んでいた。
そんな場所を、まるで心ここに有らずといった様子で自室へと戻ろうとするロー。
勿論、その意識の向く先はダンの行方であり、そして帝国の現状打破という崇高な使命でもあった。
「随分と考え込んでいるな……オールド・ローよ」
「カタリベさんっ⁈ 本部まで来るなんて珍しいですね……?」
声を掛けられるまで気付かなかったローは、少々ビクつきつつも直ぐさま平静を装い、カタリベは特に気にする様子もなく、壁に背を預けながら腕を組んで話を続ける。
「ちょっと世間話がしたくてな。それで寄っただけさ」
「世間話って……こんな時間に?」
違和感のある導入にローが苦笑気味に返すと、カタリベも若干顔を歪ませる。
「いや……私は頼まれただけなんでな。そんな視線を向けるな」
「世間話は頼まれてやるもんじゃないと思いますがね。で? 態々カタリベさんに、こんなことさせるなんて、俺の中じゃ一人しか思い当たらないんですが……誰に頼まれたんです?」
最早気付いてると言わんばかりに顔を綻ばせるローに――
「もう分かってるんだろ? 奴が帰ってきた。私はそれを伝えに来ただけさ」
――カタリベは壁に預けていた身体を離すと背を向けて立ち去っていく。
「ハッ、本当に帰ってきたんだ……って、それだけ? 他に何か……」
「無い。言っただろ? 私は頼まれただけ……世間話をな」
カタリベは一切振り返ることなく、そのまま闇夜の中へと消えていった。
(どういうことだ? 頼まれたってことは、直接会ったんだよな? だとすると、俺の意図も恐らく伝わってるはず……それなのに帰還報告だけだと?)
ローは顎に手を当て、窓辺へと近づきながら思考を巡らす。
(昔のよしみで助けると踏んでいるのか? まさかな……そこまで楽観的とは思えない。仲間の処刑が掛かってるとあれば、尚更妙な賭けには打って出ないはず。つまり、俺なら脱獄の手引きをすると確信してるってことだ。それは何故か? 考えられるとすれば、ダン君は俺が断れないこと知っていて、それを利用しようとしてるということ……となると、これは――)
「気付いたってことか……?」
窓から見える青白い月光が、ローの思考に仄かな光を灯す。
「もしそうなら、断る訳にはいかない……よな? デカい借りもあることだし……」
夜空を見上げるローはダンの想いを汲み取り、自然と上がる口角と決意めいた面持ちで駆け出した。
◆
翌日――
監獄リアビア処刑場――
レイ・アトラス及び、監獄リアビア署員の執行日となる本日。
頭上には、これから処刑が行われるとは思えない程の雲一つない青天が広がっていた。
輝かしい日の光が照らす中、巨大な壁が四方を囲む処刑場。
右側には唯一の出入り口となる獄門をバックにカン・ゴックが佇み、その扉の右手には未だ使用されていない新品同様の処刑台が設置されている。
中央の奥には彫刻が施された背もたれの長い椅子に座るアレン。
左側にはマキナ、オリヴィア、その部下である看守たちが並び、地に膝まづかされていた。
長期にわたって囚われていたこともあってか皆一様に疲労困憊としており、その面持ちからは暗雲が立ち込めるかの如く重苦しい雰囲気が漂っていた。
しかし、そんな刻々と迫る執行時間の中、ただ一人、満面の笑みを浮かべる男が居た。
「おいおい、お前らテンション低いなぁ? こんな雲一つない、処刑日和だってのによぉ」
空を見上げ、喜びを表現するかのように両手を広げるは、元監獄署長のカン・ゴック。
その身体一つ一つの動作には、いつもとは違う高揚感が滲み出ていた。
「なあ、お前もそう思うだろ? 再来の貴公子……レイ・アトラス」
看守たちの前で檻の中に囚われているレイにカン・ゴックは近づき、目線を合わせるように腰を下ろすと小気味良く鉄格子を叩く。
「……もういい……早く……殺せ」
《通称 再来の貴公子 レイ・アトラス》
途切れ途切れの意識で鉄格子に寄りかかりるレイの首には、氷人と同様の断続的に怪光する銀色の首輪がつけられている。
「そんなこと言うなよ~、つまんねえ奴だな~。死にたがってる奴を殺しても何も面白くねえだろ? もっと足掻けや」
「……足掻いたところで……あの人はもうっ……居ないッ……」
嗚咽交じりのレイの瞳から、こらえきれぬ涙が零れ落ち、痩せこけた頬を伝っていく。
「いいね、いいね~! 泣くってことは恋しいんだろ⁈ 会いたいんだろ⁈ つまり、生きたいってことだよな⁈ それでこそ殺し甲斐があるってもんだッ‼」
高笑いを上げるカン・ゴックは、両手で鉄格子を掴むと、煽るように激しく揺らす。
「いい加減にしろ……! これ以上、追い詰めて何になる……! 貴様には人の心がないのかっ……!」
「そうよ……! この鬼畜変態サディストっ……!」
マキナとオリヴィアはレイの心情を慮ってか、最後の抵抗とばかりに射るような眼光を飛ばす。
「かつての上司に向かって酷いこと言うじゃないか~……でも、許してやる。なんせ今日の俺は最高に気分がいいからな」
しかし、今のカン・ゴックには火に油を注ぐばかりで、無邪気な笑みを加速させるだけだった。
そんな姿に痺れを切らしたアレンは、呆れた表情で奥から口を挟んでくる。
「やめなよ、見っともない。それより、さっさと処刑しちゃおうよ。もう執行時間なんだしさ?」
「つれないねぇ~、お前ももっと楽しめよ? これから盛大なサプライズが待ってるんだからなぁ……」
アレンが「サプライズ……?」と小首を傾げる中、カン・ゴックは意味深な笑みのまま立ち上がり、定位置である獄門側へと戻りながら言葉を続ける。
「お前にはまだ言ってなかったが……実は昨晩、エリザベート様からシグナルが送られてきてな。どうやら、お目当てのモンが見つかったらしい」
「え、見つかったの? 本当に……?」
「ああ、本当さ。まーた情けなくとっ捕まって、こっちへ輸送されてるってよ。もうそろそろ来る頃だ。お前も準備しとけ」
カン・ゴックからの目配せに、アレンは踏ん反り返っていた椅子から立ち上がり、呼吸を整えつつ気を引き締めるように顔付を変える。
その様相に異変を感じ取ったのか、マキナとオリヴィアは顔を見合わせ、周りの看守たちも徐々にざわつき始める。
「嘘っ……まさか……あの人が……?」
レイは朦朧とする意識の中、周囲の異様な雰囲気を感じ取り、高鳴る期待に胸の鼓動が速まっていく。
それは不思議と伝う涙を止めさせ、思慕の念が蘇ると共に視線を獄門へと向けさせた。
ギィィ……
獄門の軋む音が鳴る……まるで、レイの想いを受け取ったかのように、視線の先にある扉は開き始めていく。
「漸くお出ましだ! この日をどれだけ待ち焦がれたことか! 待ってたぜ……伝説の男――」
一年間、何処を探しても見つからなかったその姿に……
「――ダン・カーディナレッ‼」
レイは内から溢れ出す想いを押えられず……
「旦那っ……‼」
その思いの丈を解き放っていた。
静まり返る処刑場内……全員の注目を浴びる中――
「待たせたな……相棒」
――伝説となった男が帰還する。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。
白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?
*6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」
*外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)
妹に陥れられ処刑決定したのでブチギレることにします
リオール
恋愛
実の妹を殺そうとした罪で、私は処刑されることとなった。
違うと言っても、事実無根だとどれだけ訴えても。
真実を調べることもなく、私の処刑は決定となったのだ。
──あ、そう?じゃあもう我慢しなくていいですね。
大人しくしてたら随分なめられた事態になってしまったようで。
いいでしょう、それではご期待通りに悪女となってみせますよ!
淑女の時間は終わりました。
これからは──ブチギレタイムと致します!!
======
筆者定番の勢いだけで書いた小説。
主人公は大人しく、悲劇のヒロイン…ではありません。
処刑されたら時間が戻ってやり直し…なんて手間もかけません。とっととやっちゃいます。
矛盾点とか指摘したら負けです(?)
何でもオッケーな心の広い方向けです。
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる