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第一章:神聖リディシア王国襲撃編

リレウ・アンティエール ⑤

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【神聖リディシア城】は神聖リディシア王国を治める国王が住まう城だ。貴族では無いものがそう簡単に入れる場所ではないのだが、国民を愛する国王はパーティーの際や避難の際に身分関係なく迎え入れるようにしている。その事をよく思わない貴族もいるが国王にとってはそんな貴族たちも我が子のように愛している。そんな王様が住まう城の目の前に【転移テネト】をしたエルケイスとリンゲルを門兵が出迎える。

「審判神様に賢者殿!! ただいま門を開けますので少しお待ちを」

『さっさとしろ』

「ありがとね、門兵君」

門兵は急いで、城の門に触れる。すると、門の全てに一瞬だけ淡い緑色の文字が走った。そして、ガチャンと音がし、門がゆっくりと開かれていく。この門は【聖門】と呼ばれ、国王によって解錠の権限を与えられた人にしか開けることが出来ない門。一応、抜け道なるものは存在するが、その抜け道を知っているのは数名のみ。

「国王様が玉座の間でお待ちです」

門兵はそう告げる。その言葉にリンゲルは頷き、エルケイスは『そんなこと分かっている』という意味を込めてひと睨みする。

「あ、その前に君にお願いしたいことがあるんだけどいいかな?」

「も、もちろん構いません!賢者殿のお願いとあらば!」

門兵はビシッと敬礼して答える。

「はは、ありがと。ちょっと、この女の子を医務室に運んで欲しいんだ」

リンゲルは【雲の方舟】で覆われている重傷のリレウを見せる。門兵は一瞬、なにか思い当たるのか、訝しげな表情を浮かべたが、直ぐに頭を振る。

「了解しました!この任務、必ず成し遂げてみせます!」

「うん、頼んだよ。それじゃ、これが【雲の方舟】の手綱だよ。これを掴んでいれば君でも運べる」

リンゲルはそう言って、【雲の方舟】を繋ぐ鎖を生み出して、門兵に手渡す。それを受け取った門兵は、リンゲルとエルケイスに一言告げた後、一足先に城の中へと消えていった。

「さて、僕らも行こうか」

『無駄話は終わったか。僕をあまり待たせるな』

「はいはい、わかったよ」

『本当に分かっているのか、信じられんが、こんな所で言い合っても時間の無駄。さっさと行くぞ』

不機嫌なエルケイスは浮遊した状態で進んでいく。リンゲルはそんな彼を見て『やれやれ』と頭を振ったあと歩き始める。
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